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張騫の旅路

ただ歩く
その長蛇の隊列は、タクラマカンの砂漠を黙々と進んだ
どこにあるかも定かで無い西域の
月氏の国を目指して
百頭をも超えるラクダをつらね、黙々と炎天の熱砂を巻き上げ進んだ

隊列の先陣を行く張騫の重圧
月に行くよりも過酷な旅路
もうそのまま、この土地に残ろうかメロスの如き煩悶
そんな凡人のような迷いは
彼には無かっただろうか
したたる汗も枯渇
全身の渇き
見上げれば、遥か西を染め上げる金の夕焼け

月の砂漠を征く
ラクダの背には金と銀の鞍
そんな歌があったけど
姫や王子をのせることなく
フタコブラクダのコブの両側には
ずしりと重い
絹の錦を背負って進む砂の海
バサバサと長いまつ毛のラクダよ
従順にもその重き荷を
背負って
オアシスでは
たっぷりの水を
君にこそ飲ませたい

道なき砂漠を超えて沙漠へと
長く連なる
絹の隊列
その途上ではソグドの民にも会っただろう
西域の果てのオアシスの人々

還りし時には従者は一人
メロスの如く
彼は漢へと帰還した 

その偉業は後にこそ
私たち未来に語られる

[追記]

漢字間違えてました💦
蔵→鞍
ここでお借りしたのはヒトコブラクダかもしれません。素敵な砂漠写真ありがとうございます。
当時の中央ユーラシアの旅では
フタコブラクダだったろうと想像します。
VIVANTで話題のあのラクダさんと、たぶん山羊も連れたすごく長い隊列での旅だったろうと思います。

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