テレビドラマのつまらなさは、カット割りの多さ!
はじめに
最近「テレビドラマがつまらなくなった」という声はよく聞きますが、その原因を演技力、経済面、ストーリーの他に論じているものをあまり見かけないので、それ以外の要因を自分なりに調べてみました。
始めは90年代、2000年始め頃の作品と比べて、直近のドラマはセリフ量が多いのではないかと思いました。しかし、簡単に調べてみたところ、たいしてセリフ量は変わらなかった。じゃあ、何が変わったのか。
ずばり、カメラと役者が動かなくなった‼
金田一少年の例
セリフ量が多くなったと感じたのもこのためでした。では、どれくらい動かなくなったのか。
カット割りの数の変化で見ていきたいと思います。
カット割りとはカメラの視点です。Aさんの顔が映った映像がBさんに変わる。これで1カットです。
『金田一少年の事件簿』シリーズより、1話における10分間のカット数を数えました。(*あくまで私調べです)
オープニングや提供などを省くため計測場所に多少の違いはありますが、できるだけ冒頭を選びました。
以下、計測結果です。
第1シリーズ1995年 1話 108カット
第2シリーズ2001年 1話 145カット
第4シリーズ2014年 1話 166カット
第5シリーズ2022年 1話 182カット
*第3シリーズはスペシャルドラマのため省きました。
増える一方のカット割り
年が経つごとにカット数が増えていることがわかります。カット数が多くなれば当然カメラは動きません。そして、役者もです。
動いたとしても、カメラの枠内に収まらないといけないため限られた動きしかできませんし、あまり動いてしまうとカット同士がつながりにくくなくなります。
動きが重要になるアクションものでも、手のアップ、足のアップなどごまかしているものはたくさんあります。
こんなふうに、改めて見ると日本のテレビドラマは段々と画が動かなくなったことがわかり、「つまらなさ」の一因だと思いました。
海外のカット数はどれくらいか
では、海外作品と比べて日本のカット割りの数は多いのか少ないのか。
「GYAO」にあったドラマを参考に、上記と同様10分間のカット数を計測しました。
まずは中国
『雲中歌 愛を奏でる』1話 168カット
『家族の名において』1話 157カット
続いて、アメリカ
『スーパーナチュラル』シーズン2 1話 145カット
『グッドドクター 名医の条件』シーズン1 1話 215カット
最後に、日本
『競争の番人』1話 227カット
『ユニコーンに乗って』1話 207カット
カット割り地獄・日本
アメリカの『グッドドクター』は200カットを越えていますが、これは他の作品と選り分けができているということでもあります。
しかし、日本はどちらも200カット越えです。正直、多すぎです。
すでに、カット数が多いと画が動かない理由を説明しました。では、動かないとどうなるか。
役者はその場に突っ立ってセリフを話すだけになります。これ、ある意味、写真ですよね。倍速視聴したくなる人の気持ちもわかります。
動画なのに役者は動かない。カメラは役者の上半身、全身、複数人を順番に繰り返して映すだけ。うーん……これ、おもしろいですかねえ。
次回は、カット数が少なくてもドラマはおもしろくできることを説明したいと思います。
ありがとうございました。
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