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\公務員は副業できるのか⑨/

前回の奈良県生駒市に続き、許可基準を明確にして兼業を促進している事例として、宮崎県新富町の事例を見ていきます。
今回は、令和2年(2020年)3月付け『公務員の副業・兼業に関する調査研究報告書』(公益財団法人 東京市町村自治調査会)からの引用です。

新富町では、高齢者の見守り・買い物支援等、担い手不足が地域にとって大きな問題であり、貴重な人材である公務員がNPOに参画するなどの形で地域に貢献する仕組みが必要な状況でした。

そこで、「副業として対価が介在することにより、公務員のモチベーションが上がり、地域側も業務として期待することができるのではないか」という町長の発案により、2018年10月より、「地域貢献活動を行う職員の営利企業等の従事制限の運用について」という名称で内規の運用が始まりました。

その主な要件は、次のとおりです。
・対象職員は、在職1年以上で、直近の人事評価の総合評価が中位以上であること
・公益性が高く、継続的に行う地域貢献活動であること
・町内の地域の発展、活性化に寄与する活動であること。
・本町産業の発展に寄与する活動であること。

内規を作成する際に生駒市の基準から変更した点としては、副業制度の対象となる活動について、農繁期に手伝いをして報酬をもらうことを想定して、「本町産業の発展に寄与する活動」との条件を加えたことがあります。

また、神戸市や生駒市と異なり、「営利を主目的とした活動」が禁止されていないことがポイントとなります。
町長がコンビニのアルバイトを認める意向という記事があったり、新聞配達を認める方針と紹介されたりしていることから、「非営利団体」でなくても認められる余地があるということでしょう。

これまでの活用実績は、以下のとおりです。

・神楽の舞い手 3名
・少年スポーツのコーチ 4名
・スポーツの審判 1名

このラインナップについては、「現在は教育分野に偏りがあるので、農業など産業分野での副業が増えてほしいと考えている。事例が増えれば徐々に広がるのではないかと思っている」というコメントがされています。

筆者としては、新富町において営利企業での兼業事例が生まれることに期待しています。

新富町の事例紹介は以上です。

ここまで、神戸市、生駒市、新富町の事例を紹介してきましたが、これらの他にも、次のような長野県、福井県、茨城県笠間市、北海道鹿部町などでも独自の基準を導入しているようです。

次回は、これまでの議論をまとめ、総括します。

〈公務員は副業できるのか⑩に続く〉

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