私の感覚を理解するのは私だけ #28
太宰治『走れメロス』についてだけ #20
夏だ。
甲子園を見ていた。
どこを応援しているでもないが、必死にボールを追いかけ、走り、頭から飛び込みむ。
声が枯れるほど応援をする仲間、エールを送るチアリーディング、演奏で盛り上げるブラスバンド。
全てが一つとなって青春を作っている。
若い事が全てではないが、若さはそれだけで価値がある。
高校野球だけでなく若い人たちにはエネルギーと輝きがある。
なんだか彼らの姿を見ていたら涙が出てきた。
ところで俺たちのメロスは歌いながらごきげんに歩いている。
誰か喝を入れてやってくれ。
さあ、そんな呑気な彼にもついに第一の試練の時が来た。
おっと、ここにきてなんと川が!!!
ここからの文章は四字熟語や激しい表現、一文少し長めに感じたり、、などを使うことで、読むスピードも自然と速まり川の荒れ狂う状態が読み手にもビシビシと伝わってくる。
通常は船で渡るような川なのだから、川幅もきっとあるに違いない。
メロス、ここで初めて危機感を持つ。
ゼウスにさえ哀願している。
行くしかない。
飛び込み荒れ狂う波をかき分けるメロス。
読んでいると本当に伝わってくるのだが、この川の表現からどれだけの荒れようなのか、力づくなのか。
メロスは川を渡っているのではない。川と戦っているのだ。
さあ、今までの呑気さにゼウスも若干お怒りになったのではないか。
「おまえ、いくら何でものんびりしすぎだろ。急げ」
きっと空から見ているオリュンポスの神々がそんなことを言いながら、メロスで遊び始めたのかもしれない。
行け!メロス!
その危機感はもっと前に持つべきだったと思うが仕方ない。
川を乗り越えろ!!
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