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夜食カフェ『マカン・マラン』のシャールさんに会いに行こう マカン・マランシリーズを読んで


2022年の12月に読んだ 著者 古内一絵 
『マカン・マラン』シリーズ1部から翌年の3月の最後の4部作目
そして、このシリーズの始まりとなる物語を読んだ感想をInstagramに投稿したものをまとめてみました。

二十三時の夜食カフェ マカン・マラン      


商店街の裏路地を進みハナミズキのある中庭が見えてきたとき搭子は軽く息を呑んだ

ハナミズキの根本に『マカン・マラン』のスチール看板が立てかけられ、その奥の玄関には炎のともったランタンが柔らかな影を落としている

その文章で、このお話が面白くなくないわけがないと思わされてしまう。
実際に面白かった

シリーズ第1部であるこの本について語ります🎵

人知れず常連だけが通う
夜食カフェ『マカン・マラン』のオーナーは
ドラァグクイーンのシャール

彼の作るお料理が、とても美味しそう 
料理嫌いの私でも料理をすることが楽しめそうと思わされる
その人に合わせた

身体に優しいご馳走で持てなしてくれる
そこに添えられたシャールの言葉がとても温かい
🌱春のキャセロール
🌱金のお米パン
🌱世界で一番女王なサラダ
🌱大晦日のアドベントスープ
の4章からなるお話

さくらが、シナモンティをひと口飲み言った「私、空っぽなんです」
真っ直ぐさくらを見ながらシャールが言う「空っぽなら埋めていけばいいんじゃないかしら」「足りないなら満たせばいい。空っぽなら埋めればいいのよ」

きっと誰かと比べたり、思うように行かないことに自分の非力さを感じることって誰にでもあるはず

そんなときこんな言葉はしっくりと染みてくる

十二月に入ると街の風景が一変する・・・
人の動きが早くなる

まるでDVDを1・5倍に加速して見ているようだ

年末に読むのが丁度いい。そんな季節に読むのがオススメな1部

女王さまの夜食カフェ マカン・マランふたたび

シリーズ2部

昼はダンスファッション専門店シャール 
夜はここで働くドラァグクイーンであるお針子たちの為にオーナーが作る賄い料理を振るまう

夜食カフェ『マカン・マラン』

インドネシア語で夜食を意味する言葉

そんな、お店に集まる常連客たちはいったいどんな風にそこにたどり着いたのか
不思議の国アリスの世界に迷い混んでしまったような場所


ここは、まるで深い海の底のようだ。形も色も違う魚たちが、思い思いに揺蕩(たゆた)っている。少しでも弱いものを皆で突きまわそうとする殺伐さがどこにもない。

これは第1話の「蒸しケーキのトライフル」の主人公である真奈が

感じたマカン・マランの様子

1話ごとに主人公が代わるけれど、時々あれ~なに読んでるんだっけと思うほど、その人生に引き込まてしまう

それぞれの悩みが深く、もしかしたら今の自分の悩みが、この本を読めばどうしたら良いのか解決の糸口を見つけることが出来るかも

そして結局、悩みは人との付き合い方、
それは親子であって同じ
そこから生まれてくるけれど、
悩みを手放す方法も人にある
もし私に今、ひとには言えない悩みがあるのなら是非訪れたい

夜食カフェ『マカン・マラン』シャールの言葉に触れたいし、元ヤンキーのジャダにもお目に掛かりたいけれど、まあ悩みという悩みはなく、好きなことをしている私だけど


きまぐれな夜食カフェ マカン・マランみたび

すっかりこの作品に魅了された3冊目
昼はダンスファション専門店
夜は常連さんが集う夜食カフェ
ドラァグクィーンのシャールの料理と言葉、そして周りのひとに触れ変わっていくそれぞれのお客の姿を描いていく物語

今回も最初から引き込まれる

はじめの主人公である弓月綾は
日頃の晴れない鬱憤をツイッターを使ってあらゆるモノを酷評して自分の存在意義を確認して生きている
それがマカン・マランで、
「この世に本当に魔法があるとしたら、それはきっと自分自身しかおこせないものよ」というシャールの言葉と渡された保存瓶とレシピ

そこから変わっていく気持ち

きっと、彼女は変われるだろうと思わせるラストに繋がる

さて、このシリーズを読み進めるにあたり感じたことをちょっとまとめたので是非参考に


🌱ここに出てくる手料理の表現を料理好きでなくても、本を読んでいる間なら何か料理を作ろうかなという気持ちにさせてくれること(料理のモチベーションが上がる)
🌱毎回出てくる主人公たちの名前や関係性を図にあわらしたらもっともっと楽しめそう。なぜなら常連になっていく彼ら、彼女らのその後の姿も描いているから これは私には必要ってだけで記憶力が良い人なら問題なし


さよならの夜食カフェ マカン・マランおしまい

『マカン・マラン』シリーズ4部作の最終巻
これで最後~寂しすぎるなんて
気持ちも途中湧きつつ、
ほんとこの作品に出会えたことに感謝したくなる。

『マカン・マラン』に運命のようにたどり着いた人たちのその後の姿がちらほらと、これも嬉しい。

最終章の主役は
ドラグァクイーンのシャール

マカン・マランに訪れた人びとに特別、体に優しい賄い料理を振る舞いながらかけた言葉は魔法の呪文のように人びとの心に染み渡る

それでもシャールは思う

「本当に魔法を使ったのはここにきて自分とかかわってくれたすべての人たちだ」と。

そうそれは、誰にでもどんな出会いでも起こる魔法だと言えそう

職場の前向きな先輩の姿や嫌だなぁと思える人であっても出会ったことで自分を変えるきっかけとなる 
例えばヤンキー上がりのドラグァクイーンのジャダの

感謝の気持ちって大事よね。親切に慣れっこになるもはただの無作法よ

っ言葉

もちろん、シャールの

友達と友情って言葉に期待すぎるのってあんまりいい結果を生まない気がするわ


そのあとにも言葉は続くけれど

かけられた言葉をどう感じどう動くかは、
その人次第だけれど

出来れば優しい言葉を掛けたい

そんな気持ちにさせる1冊

どの1冊からでも楽しめるけれど
やっぱり順番に手にとって読んで欲しい


ここからは、マカン・マランシリーズの原点

快晴フライング 

舞台はプールのない中学校
あることがきっかけで部員が減り
大会出場さえままならなくなる

なんとか残った部員は
アニメオタク、お調子者
泳げないプールを歩くだけの歩行要員と個性的これで本当にやっていけるのだろうか
そんな現状を変えよう3年生の龍一は立ち上がる
簡単にいえば そんな感じのストーリー
既にだいぶ大人な(笑)私には中学生に感情移入出来ないかもと読み始めてみたものの
実に奥が深い
変わりたいと願う気持ち
変えようとする努力
変わってしまったことの悲しみ
変わってしまったことの受容
若いから、歳だからそんなこと関係なく
認めること それは他者だけでなく自分自身もそんな風に思えた
そして関わる大人たちの中には愛すべき 
ダンスファッション専門店のオーナー 
シャールや従業員のヤンキー上がりのジャダ
そして中学教師 柳田
彼らは「マランカラン」シリーズの登場人物たち。
この物語があって生まれたというべき原点の本も一緒に味わってみて





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