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「セカスト」で購入を失敗しない、リユース服選びのノウハウ


この記事は約13,000文字です。有料記事です。

吉祥寺で20年古着屋を営み、買取をしてきた元古着屋店長の岡本と、 私(元アパレルデザイナーの型紙屋店主)で作った「ふつうの人がリユース古着を失敗しないで買うため」の記事です。
内容は2人がそれぞれ持っているノウハウ集結。
記事は私、ポルカてんちょが書いております。

ターゲットとコンセプトは「転売、せどり目的ではない、40代以上の女性が、自分や家族が着るための、ちょっと質の良い服を、失敗なく、お値打ち価格で手に入れるための知識と技術」です。
古着を選ぶときに、破れや汚れなど、どこを見れば状態の良いものを買えるのかについての話と、あといろいろです。

以下のことなどは含まれていません。

●  それぞれの個体に似合うものを選ぶノウハウ
●  現在の流行や特定のブランドなどの話
●   洋服以外の物

質の良いものを、質の良い状態で手に入れたとき、後から調べてみると、しっかりとした物作りをしているブランドだった、などということはよくあります。そういう風に、良い古着と出会っていく、そういう体験価値につながるような記事を意図しています。

私たち2人、よくリユース古着を見に行きます。結構行きます。
いわゆる「セカスト」や「トレファク」というようなお店です。もともとオリーブ少女で生粋の洋服好きである岡本とは、普段からファッションの話で盛り上がることも多い。買い物に一緒に行った時、彼女がどうやら「古着屋ならではの洋服のチェックの仕方」で商品を選んでいることに気がついたのですが、それが私にとってとても興味深かった。

服の、人が繰り返し着る事によって起こる、破れやすい箇所、傷みやすい箇所、どんな変化を伴いやすいかという傾向を知っている。それはそのまま、古着屋で彼女が買取をしていたときに得て実践していた知識だ。
当然、個人が中古を買い物する時にも応用できる。
私の仕事のように、一から製品を作るのとはまた別の視点。

それが面白くて、私の持つ洋服の知識と合わせて一緒に note を作ろうと言いだしたのは、私です。それでこの記事が書けた。

コロナ以降は特に顕著に、世の中にリユース商品を扱う店が、雨後の筍のように増えている。
そこでお買物を楽しむ人ももちろん増えたのだけど、リユース商品を買った後に「ここを直したい」とお直し屋に持ってくる人も多いのだそうです。買ったはいいけれど、家に着いてから不満が見えてくるからです。
そしてお直しは「直せる所と直せないところがある」し、直せたとしても結果的に買った値段より高くつく。
「家に帰ってから破れている事に気がついた」などは特に多いのだそう。
買取と販売を高速で回転させて勝負するリユース古着屋は、洗濯もしていないだろうし、ポケットの中も見ていないことが多いようだし(実際ポケットによくチケットやお金などの物が入っている)つまりそれは「買う側が状態をチェックをする」というスタンスで、それに準じた価格設定なのです。だから、あらかじめ購入者である我々が知っておいた方が良い知識は多く、失敗しないためには大事な要素が結構あると思う。

リユースショップでの買い物は、知ると本当に楽しいと思う。
景気後退、そして材料費が高騰して、一から上質なものを作るのが難しい今、ちょっとそこらへんに行けば、良いものが手に入るという事に個人的にめちゃめちゃテンションが上がるのですが、生活のライフハックも兼ねて、その楽しさを皆で分かち合えたらと思うのです。

今、私はカシミア100%の薄いセーターを着てこれを書いているのですが、めちゃくちゃ軽くて暖かくて、手洗いできる。800円。
パートナーに買ったイタリア製の絹のメンズジャケット、500円。
デザインとシルエットが綺麗な、定価数万円のコート、700円。

元アパレルデザイナーとしては、このレベルの洋服がこんな値段で買えてしまう時代に憂いたこともあったのですが、時流にはもはや逆らえないし、やはりこのご時世、庶民にはありがたい。

古いものから新しいもの、カジュアルブランドからハイブランドまでめちゃくちゃたくさんある、選び放題のリユース天国。信じられないほど安く良いものが手に入るのですが、逆にあまりにも種類やブランドや状態がいろいろすぎて、選ぶのが難しいと感じる人も多いかもしれません。

ブランドとして名を馳せている、ヨージヤマモトやコムデギャルソン、ヴィヴィアンウェストウッド、あるいはルイヴィトンやグッチ、セリーヌなど誰もが知っているハイブランドなどの、バッグや財布や靴、貴金属などは、型番があり、相場があり、ショップの店員さんにも知識があるので、激安にはそう出会えないかもしれないけれど、選び方はそんなに難しくない。

逆に洋服は、ブランドが多すぎるしデザインも多いし、サイズ表記もバラバラで、状態も素材もあらゆる要素が散らかりすぎていて体系的にするのが難しい分野。素人には難易度が上がる。
ただ、店員さんもそれは同じで、買取ごとに細かく調べる時間も余裕もないので、よくわからないものは値段をかなり安くつけている傾向がある。
(私の個人的な経験から話している推測です)

けれどもそこにこそ「掘り出し物」があって、信じられないほど安く買えてしまうという豊かな体験価値があるのが洋服のリユースの世界。

先日、大阪で私は、何人かの女性と一緒にリユース古着の買い物同行を実施して、実際に彼女たちがほんの数時間で、クオリティの高い商品を自ら掘り起こせるようになったのを目の当たりにしたので、たくさん良い品物が埋もれている今のうちにこの知識のいくつかを皆で共有したいと思った次第です。

実際にどう選ぶのか目で見て吸収したい、骨格を知って自分で似合うものを選べるようになりたい、みたいな要望はリアルじゃないと難しいのでnoteにできないけれど、リユース古着の買い物同行(有料)はリクエスト開催をしています。興味があれば楽しいと思う。
でも、選ぶのは自分でできるから、どんなところを注意したら良いかなどについて知りたいという人は、このnoteでよくわかるかと思います。

リユース古着屋の店内

お店に入ると、いきなりですが、明らかに、せどり(仕入れて転売する人)だろうなぁという、スマホを片手に何やら調べまくりながら商品選びをしている人がめちゃくちゃ多い光景が目に入ります。
場所にもよるのでしょうか、私が住んでいるところに一番近いリユース古着屋は平日の朝も、休日の午後もそんな風景。
皆さん副業時代の波に乗っている感じです。
でも、同じせどりでも、それぞれ分野がまるで違うのだろうと思う。
せどりの初心者は「靴」からなんて話があるようですが、靴を見ている人もいるし、財布やバッグなどを見る人、洋服でも、オフィスカジュアルの人、アウトドアブランドの人、モード系ブランドの人と、それぞれ。

私なんかはそのどれでもないんですが。
そもそも仕入れですらない。
個人的に買う分には好みなので分野は関係ないですが、私は「良い素材で形の綺麗な、流行ではなく普遍的に着られる物を安く買いたい」が目的なので、ブランド名も関係なく、まずは一丁目一番地のチェックポイントである、良い素材感と状態を求めて、端から全部見ていきます。
その前に、お店全体がどんな風にまわっているのか、そこの注意ポイントから見ていこうと思います。

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