【酒・炎・狩猟】Netflix「地面師たち」独自考察-コンクリートのサバンナで
どうもTJです
今回はNetflixで独占配信中の「地面師たち」をネタバレ有りで徹底考察していく
キャストの演技力などは既に言われ尽くされていることなので今回は省略させて頂き、ここでは今作のキーアイテムとなる「酒、炎、狩猟」を軸に読み解いていく
※以下の考察は全て個人の見解です
あらすじ・キャスト
監督:大根仁
主演:綾野剛、豊川悦司
その他:ピエール瀧、北村一耀、小池栄子、染谷将太など
食うか、食われるか
1話目の冒頭
ハリソンが外国人と狩猟をするシーンからこのドラマは幕を開ける
土地売買の話なのになぜいきなり狩猟?
そんなクエスチョンが湧いてくるが、その理由はすぐに分かる
土地売買もサバンナと同様、弱いものは強いものに食われる(騙される)という弱肉強食の世界と変わらないからだ
そしてこの狩猟は劇中に3度出てくる
冒頭ハリソンと2人の外国人、計3人で行う1話、たくみとハリソンが2人で行う2話、そしてラスト、ハリソンが単独で行う最終話
お気づきだろうか
狩猟するメンバーがどんどんと仲間が減っていることを
これはもちろん、地面師グループの仲間がどんどん減っていくことを意味しており、最後にはハリソンが生き残ることも示唆している
酒と炎
今回の主人公は拓海であり、裏の主人公はハリソン山中だろう
ハリソンは拓海を一流の地面師へと育て上げ、自らと同じタイプと評すが、この2人は最後まで見て頂いたら分かるように決定的に違う(ハリソンだけが異常ともいえる)
その違いを表すアイテムとして用いられているのが酒と炎だ
ハリソンは高い酒を好む
拓海もハリソンに誘われて飲むも、味はいまいち分からない
彼は、自宅でいつもアサヒのスーパードライを飲んでおり、とても庶民的だ
高い酒はなぜ高価なのか
それは大勢の人々が欲しがるからであり、本当にその酒自体に価値があるのかは分からないのだとハリソンはいう
少数で他人が欲しがるものを好むハリソンと、多くの人が簡単に手に入れられるもので満足する拓海
この2人はやはり違う
そして2人を分けるもう一つのアイテムが炎
拓海にとって炎は火事で家族を亡くしたことを連想させるものであり、マイナスなものとして描かれる
1話のラストではお寺の蝋燭を見て涙を流すシーンは印象的だ
一方で、ハリソンにとって炎とは獲物を焼くものに過ぎない
2話ではハンティングで狩った獲物を炎で焼くのはもちろん、仲間だった竹下も爆発の炎で焼かれる
炎と酒
これは拓海とハリソンを決定的に分けるものであり、2人の違いを映すものでもある
このドラマはハリソンが雪山で一人ハンティングをするシーンで終わる
彼はまた炎を起こし、仲間を集めハンティングするのだろうか
なぜ地面師は面白いのか
なぜ地面師たちは面白いのか、そんな根源的な問いの答えを知りたくなる
理由は複数あれど1番は徹底的に人間を描いているからではないか
例えばハリソン山中が辰を追い詰めるシーン
辰は最初は「そうやって殺すのか笑」みたいなカッコをつけるものの、本当に死に際まで追い詰められると恐怖でしょんべんをもらしてしまう
ここには単純なカッコ良さに帰着させない、徹底的に人間を描こうとする製作陣の意図を感じる(性行為が劇中に何度も出てくるのも同様の理由だ)
拓海も今作で言えばバックグラウンドも含め最も人間らしい人物だが、他の地面師たちも最後にはお金を渡したり、家族と過ごしたりと人間らしさを見せる
私たちがなぜ犯罪者集団である地面師たちにこんなにも感情移入してしまうのかと言うのもたまにミスしたり、計画通りに上手くいかなかったりと彼らが凄く人間的だからだ
だからこそ緊張感が凄まじい
その中で一段と際立つ、今作のスパイスとなっているのがハリソン山中だ
彼だけは一切の人間味を感じず、それが見るものの恐怖を最大限まで引き立てる
非常に人間的な、そして現実的な世界観にただ一人現実離れした男がいる
これこそが「地味師たち」に我々が惹きつけられる理由なのではないか
もちろん硬派で実力のあるキャストたちの演技力によっての裏付けがあることは言うまでもない
「もう、ええでしょ!」
そんな声が聞こえて来そうなので、今回はこの辺で終わらせて頂く
ということでいかがだっただろうか
今後も気になった映画、ドラマなどは徹底考察していく予定なので是非スキ、フォロー、コメント等お願いします
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では!