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なぜディズニーは「タイタニック」石田彰版のソフト収録を拒み続けてきたか


2024年2月8日、旧twitter(X)を開くとこんなニュースが飛び込んで来ました。金曜ロードショーで観た石田彰の「タイタニック」が円盤化!!!!!!


ということで、ここでは、収録不可能だと思われた「タイタニック」日本テレビ(石田彰)版がなぜ4K UHDに至ったかについて簡単に解説していきます

まず、「タイタニック」にはソフトに収録されている吹替版とは別にテレビ局が独自に制作した吹替が、3バージョンあります。

ソフト版はディカプリオを松田洋治が、フジテレビ版旧録版(2001年)は妻夫木聡が、日本テレビ版は石田彰が、フジテレビ新録版は内田夕夜が演じました。また、飛行機の機内上映版として草尾毅が演じた吹替版も制作されました。


日本テレビ(金曜ロードショー)が制作した石田彰の吹替は、ファンからの人気が根強く、放送を待望されてきましたが、2008年から10年以上ものあいだ放送されることはありませんでした。

その理由のひとつに、日本における「タイタニック」の権利を持っていた20世紀フォックスがディズニーに買収されたことが考えられます。

ここ数年ディズニー・キャラクター・ボイス・インターナショナルは、吹替の「オフィシャル化」を進めています。「オフィシャル化」とは、数ある吹替のバージョンをディズニーが定めた「公式版」に一本化し、ほかの吹替版のテレビ放送、配信、ソフト収録を認めず、事実上「封印」してしまうことです。

シュワちゃんの声はこれ、トニー・スタークの声はこれ、という風にキャラクターや映画のイメージを定着させ、あらゆる言語の吹替を責任をもってコントロールするためだと言われています。

たとえば現に、2022年に21年ぶりに金曜ロードショーで放送された「クール・ランニング」は計4回の放送で初めて「オリジナル吹き替え版」いわゆる日本テレビ版が使用されず、ディズニーが公式と定めるソフト収録の吹替が放送されました(待望していたファンはがっかり!)。

「タイタニック」日本テレビ版も、事実上封印されてしまい、テレビ放送や配信ましてや4K UHDへの収録の望みはないかと思われました。

しかし、2021年「タイタニック」日本テレビ版は金曜ロードショーで無事放送されました。明確な理由は不明ですが、おそらくディズニー映画を自社で制作した吹替版で数多く放送してきた実績とディズニー側との信頼関係(蜜月関係)があったことで、金曜ロードショー側がウォルト・ディズニー・ジャパンと掛け合い、本国ディズニーの方針を動かすことが出来たのだと考えられます。

このように、ソフト収録不可能と思われていた「タイタニック」日本テレビ(石田彰)版は、その圧倒的な人気、ディズニー映画を狂ったように放送し続けては新作の宣伝しまくる金曜ロードショーとの信頼関係によって、吹替のバージョンを1カ国1種類しか認めないディズニーの方針に、「金曜ロードショーで流しちゃったから、石田彰のやつも公式で!」という既成事実が打ち勝ったと言えるのではないでしょうか。

現在ディズニーによって多くのバージョン違いの吹替が非公式とされ、封印されています。その悪き慣習を変えるのは、映画や吹替、声優を愛するファンの声に他なりません。


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