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「仏壇を仕舞う」49歳ラストデーは大きな区切りの日

偶然だったのだろうか

今年の6月19日で50歳を迎える。その前日、私は「やろう」と決めてなかなかできなかったことを実行することになった。

それは「仏壇を仕舞うこと」。

仏壇を供養してくれる業者を見つけ、魂抜きをしてくれるお寺もセットで依頼したら、実行可能な日が「6月18日」だった。
翌日は50歳。40代ラストデーに大きな大きな「整理」をすることになった。

日付を言われた時、鳥肌が立ってしまった。


我が家の仏壇の意味

今から19年前、息子が7カ月の時に他界した夫。我が家に仏壇を置いたのは息子のためだった。

「お父さんがいない」と思ってほしくなかった。仏壇をお父さんだと思ってくれたらいいなと思った。

ある時「お父さんはどこにいる?」と聞いたら仏壇を指さした。私の選択は間違っていなかったと思った。

息子を「見守る」役割

夫が仏様になった時、これから私たち夫婦は息子をそれぞれの役割で見守るんだと思って生きてきた。私は一緒に生活をしながら見守り、生きる術を教える。夫は私がいないところで空から見守る。だから絶対この子が不幸になることはないと思っている。

なので息子が家を出た時、この仏壇は我が家に必要なのだろうかと思うようになった。仏様がここに来る必要はない。なので仏壇を仕舞おうと思った。

本当は去年息子が家を出たタイミングで行いたかったが、バタバタで向き合う時間がなく、時期を逃していた。

今年は息子は二十歳になる。私は50歳。このタイミングがベストだと思って業者を探したら、Xデーは私の誕生日前日、40代ラストデーとなった。

これは偶然ではないと思ってしまった。


お父さんの写真がほしい

仏壇を仕舞うにあたり、春の帰省時に息子に話をした。

「あなたのところへお父さんは行ってくれたらいいからさ。なので部屋の片隅に手を合わせる空間を作ってくれたら嬉しいな。」

「そっかー」と言って、一つお願いをされた。

「お父さんの写真がほしい」。

社会人になりたての頃の写真をたくさん会社からもらっていたので、それをすべて持たせた。

その数日後、息子からLINEで写メが届いた。
写真立てにはお茶らけた父親の写真、吸っていたたばこ、ビール、お花が一輪が飾られていた。

選んだ写真がいかにも父親の顔で、息子そっくりだった。
感謝の言葉しかなかった。


戒名のヤツ、もらおうかな


きのう、息子に「あしただよ~」とLINEした。すると息子からの返信。

「戒名のヤツ、もらおうかな」。

まさかの位牌を引き取りたいとの申し出だった。
びっくりだったけど、涙が出てしまった。

「なんで泣くと?」

めっちゃくちゃ喜んでる仏様の顔が浮かぶ。この子を初めて病院のエコーで見た時、小躍りして喜んだ時みたいに、嬉しかっただろうなあ。よかったね。

あとは任せたよ

きょう、住職が来てお経を読んでくれた。
「一つの区切りだと思っています」と伝えると、住職はこう言った。

「ポジティブに捉えたら物事はそうなりますよ」

正解はないけど、私がこれでよかったと思ったらこれでいいんだ。

お経を読んで供養が一通り終わった後、住職は仏様からの伝言を伝えてくれた。

「“あとは任せたよ”と言っておられましたよ」

区切りをつけた49歳ラストデー。新たな気持ちで人生の後半戦をスタートさせようと思う。でもさ、息子のことはあの子が死ぬまで頼んだからね。







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