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娘たちのこと その三

今日は娘たちのことについて、特に印象深かったことについてお話します。

度重なる病気による失態にも関わらず、私が近所からスポイルされずに済んだのは、娘たちの母親であるから、という部分が大きい。特に長女は、神童のようだ、どうしたら長女のような子に育つのか、秘訣を教えてほしいと聞かれたぐらいである。

長女のことで特に印象に残っているのは、まず頑固なほどに自分を曲げないこと。正しいと思ったら誰に何と言われようとそれを貫くこと。
エピソードとしては、三女が生まれたばかりの時に、うちにしつこい勧誘の電話がかかってきたことがあり、それでなくても三女はよく泣くのに、度重なる電話の呼び出し音に悲鳴に似た鳴き声で泣いていたときのこと。
電話に応対していた私は三女の世話をするために、一時的に電話を長女に代わってもらった。長女はしばらく黙って電話の受話器を持っていたが、相手の話が途切れたのか、不意に

言いたいことはそれだけですか?では切ります。

といって受話器を置いたのである。まだ小学三年生だった長女に、幼さの残る声でそう言われて、面食らったのか、以後かかってくることはなかった。

また、授業中に教室が騒がしいと、

静かにしてください。授業が聞こえません。

とはっきり言うと、個人面談で、先生に感謝されたこともある。

誰の前でも臆さない堂々とした長女は、あがったことがないと、言っていた。

それで、クラスメイトはどう反応していたかというと、母親の私からすると、それはちょっといじめっぽいと感じることも、当の長女は人の負の感情に気づかないところがあり、普段通りに過ごしているから、周りも拍子抜けするのか、いじめに発展することはなかった。

むしろ、長女と仲良くなりたいと人は寄ってくるけれど、自分でも言っていたけれど

去る者は追わず、来るものは拒まず

で、特定の誰かと仲良くなることはなかった。

それでも、彼女が転校するときに、クラスメイトが色紙を書いてくれたが、女子は彼女とのエピソードに触れて、長文が続いていたが、男子は、困ったことがあったらいつでも連絡しろよ、と連絡先の電話番号の列挙が綴られていた。

高校、大学と優等生のまま過ごし、就職先も狭き門をくぐり、今がある。

挫折らしい挫折はもちろんあったのだろうけれど、鉄の女はさらに磨かれていったのである。


どうしたら、長女のような子に育つのか、私が知りたいぐらいだ。