欲望と恐怖の処方箋『勝てる投資家は「これ」しかやらない』著者 上岡正明
1 ビフォー 無知な状態
株式投資初心者である私は、たいした知識もないのに、数倍に株価が跳ね上がった銘柄の株式チャートを見て、安直にも
きっとまだ値上がりするぞ
今、買っておかないとチャンスを逃してしまう
急げ
と、欲望に負けて株を買い、結果値下がりして損をする。
買った株が値下がりしていき、みるみる投資した金額の含み損(マイナ ス)が大きくなって
きっとまだまだ値下がりするぞ
今、売らないともっと損をしてしまう
急げ
と、恐怖に負けて損切り(株を手放す)していました。
私には株式投資は向いていないのだな。
そうやって株式市場から退場した10年前。
性懲りもなく再度、株式市場に戻ったきた私が勉強のために読んだ一冊がこの本です。
本の詳しい内容は割愛し、私が気に入った部分だけを抜粋します。
まず理解したことは私の10年前の経験は、著者も含めて株式取引をする人なら誰しもが陥る洗礼だったということです。
2 気づき 必要な負け
著者は株式投資で勝って生き残るために
『しくじりノート』
を書いて、自分の失敗を言語化するという方法をオススメしています。
大事なのは、単に株式取引の記録だけではなく
自分の思考
(どんな気持ちで株を買ったり売ったりしたか)
を記載するということです。
負けや失敗を、可視化して、原因を明らかにして、理解を深める。
このプロセスを経ることが必要なのだというのです。
そうです。
どの分野でもそうですが、最初から上手にできることなんてありません。
最初は負けるのです。
そして負けありきで考えなければいけなかったのです。
特に勝負ごとにあっては、先行優位性もあり、最初は誰でも負けます。
大切なのは、負けや失敗をどう次に活かすかです。
当たり前すぎるくらい当たり前です。
なんなら、仕事で部下や後輩に偉そうに「失敗から学べよ」とアドバイスしてきたことが何度もあります。
自分が体現してもいないのに。
ああ、恥かしい。
3 アフター 心の可視化
それから私はこの本に書いてあるように、買う前提となる戦略シナリオなどを考えた上で、特に
自分の気持ち
欲に目がくらんだ様
恐怖でビビった心境
などをできるだけ詳細に、そして正直に書くようにしています。
なかなか他人には見られたくない言葉がつづられています。
ボイスレコーダーに録音した自分の声を聞いているみたいで気恥ずかしくもありましたが。
不思議なもので、この負の心情描写を読み返すと落ち着くのです。
冷静になれなかった過去を、冷静に見ることで、思考を追体験し、もっとこうすればよかったのか、と改善策が思いついたりします。
また、だんだんと欲望と恐怖の感情の振れ幅に慣れてきたのか、マヒしてきたのか、一時の利益や損失にあまり動じなくなってきました。
残念なのは、まだここで報告できるほどの大きな成果が出ていないので、私が本当にこの本の内容を理解しているか否か判断できないのですが、自分の思考を追体験するという、なかなか貴重な経験(単純に楽しい)をさせていただいております。
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