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自分で選択する人生への挑戦⑨~ZOOMで占ってもらう~

こうして私は、無事ZOOMデビューを果たした。

求職活動2ヶ月目にはいったある日、妹から「気が向いたらやってみて~」と知り合いの占い師を紹介してもらった。
もともと占いは好きだし、人生の岐路に立たされてる今、やらない理由は何もない。

早速予約してみた。

ZOOMで対面したその人は、同年代くらいの話しやすそうな女性だった。
簡単に今の状況を説明し、「これから先の人生で、何をするべきか模索している。」と伝えたところ、「どんな仕事に興味がありますか?」と聞かれたので、「地域活性化に関わる活動と、文筆業に興味があります。」と答えた。
すると、なぜか急に「海外はどうですか?」と訊ねられた。

「海外?何のことだろう。」と思ったが、言われてみれば、小学生の頃の夢が「アフリカに井戸を掘りに行くこと」だった。小学校の卒業文集にも書いていたし、二十代の時に「海外青年協力隊に行きたい。」と両親に言い、猛反対されて諦めたこともある。
休職してからもハローワークより先に「JICA」に行き、資料をもらってきたが、夫に相談すると「別居しないといけないような仕事や、治安の悪いところには行かないで欲しい。なぜ日本ではダメなのか。どうしてそんな仕事を選ぼうとするのか。」とちょっとした口論になってしまったため、選択肢からなくなっていたのだ。
「英語ができない」「任期が長い」「年齢が若くない」「海外で役立つ技術や、スキルがない」とないない尽くしで、自分自身尻込みしていたので、夫や親に反対されたときは内心ほっとしていた。
やりたい、でも怖い。
やらない理由を他人のせいにできることに、心のどこかで安堵していた。

そんなことを思い出しつつ、「あ、そういえば、小学生の頃に‘’アフリカに井戸を掘りに行きたい‘’って思ってましたねー。」と、冗談っぽく話した。すると彼女は、一瞬「あ!」という表情になり、「それだと思います!やりたいこと!草原みたいなところで、外国の子供たちと笑っているんです。キラッキラした顔で。化粧とかもしてない感じで。」と言った。

その瞬間、急に胸がぎゅーっと苦しくなり、涙が込み上げてきた。
え、何、何?なんで??突然の感情で、自分でも驚いた。

「子供たちが、背中とかにわーって乗ってくるんです。みんなすごく楽しそうで。日焼けして、泥だらけで。先のこととかは何もわからない、目の前のことしか考えられないような状況で。」と話し続ける彼女に、私は「いやー、それ以上言わないでー。涙が止まらなくなる!」と思いながら上を向いた。

悲しいわけでも嬉しいわけでもない。
ただ私がやりたいと思っていたことを、きちんと言語化されただけだ。

「子供たちの笑顔があなたを待っています!」とか「あなたの価値観が変わります!」というフレーズは、これまでもたくさん見てきた。それなのに今、彼女のその言葉が、急に私の胸をえぐってきたのだ。

自分のイメージがきちんと言語化されたことで、涙がでたのは初めての経験だった。
それだけ強い想いが自分の中にあったということに、自分自身も気がついていなかったのだ、ずっと。

自分の中で蓋をして、なかったことにしていた思いが、明確に言語化されたことで「ここだよ!」と主張してきて、もう見ないふりをすることはできなくなってしまった。

占いが終わってからも、私はしばらく放心状態だった。
さっきの胸をえぐられるような感覚がまた残っている一方で、ものすごくデトックスされたようなすっきりした脱力感もあった。

言葉というのは不思議なものだ。

人を心を動かし、行動させ、現実を変えるだけの力がある。
正確な言葉にはそれだけの力がある。

その力に圧倒され、ぼんやりした頭の中で、これから動きすかもしれない未来のことを考えていた。
(つづく)




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