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お見合いの話

みなさんは、お見合いというものをしたことがあるだろうか。

料亭やホテルなどで、仲介者が入り、「ではあとは若い人同士で‥」という昔ながらの伝統的なアレである。

自慢じゃないが、私は10回以上そういうお見合いをしたことがある。

そのとき仲介の方から、「お見合いは3回して決まらない人は、何回やっても決まらないのよねー」と言われた。

お見合いは恋愛感情ではなく、条件のすり合わせだ。
なので、「絶対譲れない条件が1つあって、後はどうでもいい」という人は向いているらしい。
例えば、「年収1000万以上であればいい」「身長が180センチ以上ならいい」「長男でなければいい」という具合に。

しかし私は真逆だった。

まず、恋愛感情があることは絶対条件だったし、どんな人がいいかと問われたら「フィーリングの合う人」と答えていた。
かなり漠然としている。
「フィーリングの合う人」というのを細かく追及するときりがない。
「頭もそこそこよくて、顔もまぁまぁカッコよくて、身長170センチ以上で、運動神経がよくて、給料も安定していて、ウマがあって、生命力がありそうで、私がときめく人」
まぁ間違いなく、お見合いに来るタイプの人ではない。
こういう人は自分で見つけられる。

そういうわけで、3回で決まるはずもなく、不毛なお見合い合戦は続いた。

「私はお見合いで結婚できるタイプではない。」と自分では確信していたものの、「もしかしたら自分の理想の人と、お見合いで出会えるかもしれない」という一縷の望みもどこかにあった。

そして私の親は「女の幸せは結婚で決まる。20代までに結婚できないと行き遅れだ。30代で良縁は望めない。」と本気で信じていた。

そのため、私が泣きながら「もうお見合いはしたくない」と言うと、半ギレで「じゃ、あんたは自分で探す努力をしてるの?週末ずっとうちにいるじゃない。私がどれだけ、いろんな人に頭をさげて頼んでると思ってるの?なんの努力もしないで!結婚しなくてもいいとか言うけど、私たちが死んだらどうするつもり?」と怒り狂ってきた。

親のメンツのために、お見合いをする日々。

仲介人のアドバイスどおり、白もしくはパステルカラーの薄くひらひらした服を着せられ、ピンク系のメイクをさせられ、借りてきた猫よろしくにこやかにほほえんでいなければならない。

両親から「相手にも仲介者にも失礼な態度はとるな」と固く言われているため、「もう帰りたい」とも言えず、あちらが言い出すまでひたすら笑顔で相槌を打ち続けなければならない。

もう地獄でしかない。

疲労困憊で帰ってくると、すぐに先方に返事をしなくてはならない。

もちろんお断りするのだが、仲介人から「1回ではなかなかわからないものですよ。もう一度会ってみたらどうですか?」と説得される。
両親からも「いい加減にしなさいよ。自分がどれだけえらいと思ってるの?」とキレられる。

この地獄の日々が、何をきっかけにしてどう終了したのか、もう覚えてはいない。
(おそらく私が30歳をすぎたことで、お見合いの話自体が減ってきたのだと思う。)

結局、私は両親が言うところの「行き遅れ」の36歳で元同級生と恋愛結婚した。

思い返しても、お見合いで得たものは、教訓を含め何ひとつない。
ただただ私の中の黒歴史として刻まれているだけだ。

強いていうなら、「向いてないものは向いてない」ということと、「noteのネタにできている」ということくらいかもしれない。











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