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妻、がん、自然療法6

2017年2月
母は1月末に実家に戻り、東京での新生活が始まった。このころ僕の読書、自然食が行き過ぎ、治療も自然療法がいいのではないかと、副作用の対処策として薬でなく、自然由来のものを使うべきなのではないかと思い始めていたというか、始めてしまった。
玄米菜食も慣れてきて、妻の体調は落ち着いていたが、皮疹への対処策として薬をやめ、生姜のしぼり汁を使って皮疹を抑えようとした。その翌日から酷い皮疹が顔に出始め、すぐに生姜は中断したが、妻はもう外出しなくなった。僕は猛省したが、大筋が間違っているわけではないとは思っていた。東洋医学的な要素だけでもだめで、標準治療をあくまでベースに、副作用を抑えること、体調を整えること(がんができない、またできたがんを排除する)に玄米菜食をはじめとした東洋系の考え方を取り入れることを一旦ベースにしようと腹に決めた。また読書を続けていく中で思い至ったが、生姜により皮疹が酷くなった可能性は勿論あるが、そのタイミングは丁度妻が玄米菜食を開始して二週間程度経ったタイミングで、好転反応だったのではないかと。好転反応とは治療の過程で一時的な反応が起こる東洋医学の用語で、読んだ書籍によると、玄米菜食を初めて丁度二週間程度で悪者が体から出るということであった。しかも弱い(悪い)箇所に反応が出やすとのことで、妻の皮疹等の症状にも納得がいく部分があった。また言い訳もあるが、好きな言葉はこの頃から“好転反応”になった。
妻の皮疹はその後すぐに収まり、僕が会社を休むような事態にはならず一週間程度で元に戻った。月末に僕の弟の結婚式があり、妻は「私の皮疹が治らなかったら結婚式には出ない!」と頑なだったので、一安心した。
二月中旬、紹介状を書いて頂いた東京の総合病院の初診をむかえた。時間がかかることは想定していたが、朝9時の血液検査から始まり、担当医に会えたのはお昼を過ぎていた。優しそうな医師であったが、手違いで関西の病院からの画像等データが届いておらず、何とも捉えどころのない、診断をされ、こちらからの質問にも曖昧な回答で、僕はもう少しで声を荒げそうになっていた。肝心な妻の状況は変わらずの状況であった。
もう別の病院を探そうと心に決め、病院のロビーで会計を待っていると看護婦から声をかけられ、関西からのデータは届いていた。手違いで先生の手元に来ていなかったとの謝罪があった。
ん?あの医師のデスクは散らかっていた。PC 脇に書類が積み重なっていて、CDが入っていそうな未開封の封筒もあったな・・・・・・ってお前が見てなかっただけだろ!!と更に怒り狂い病院を後にした。

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