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1度目の起業した時のこと①退職まで

大学を卒業してサラリーマンになった。
もう20年近くも昔の話だ。

大企業だが、赴任地は地方都市。決まった瞬間は絶望だった。当時付き合っていた彼女と遠距離になる事がただただ辛かった。食事も喉を通らないと言うことを初めて経験した。

勤めた会社はブラックだった。
普段の帰宅時間は24時近い。月末なんかは3時になったりもした。朝じゃん。
かと言って、出社時間はいつも通り。
あれ、8:30だっけ?9:00だっけ?忘れるくらい昔の話だ。

尊敬出来る先輩がいた。それが救いだった。仕事も人間性も、誰からも慕われてた。そんな先輩に近づきたくて、社畜なんて言葉は当時は無かったが、真剣に仕事には向き合ってきた。

でも、家に(社員寮だが)帰ると愚痴ばっかり。休みの日は同期と、もう無理!絶対辞めてやる!それを肴に呑み歩いた。

そんな同期が先に辞めた頃から、本を読むようになった。自己啓発や、ビジネス本だ。今まで物語しか読んでこなかった僕にとって衝撃だった。たった千円程度で、他の人の人生が垣間見えるのだ。ブラック企業に勤めながら、本の世界を通して、その作者の人生を歩んでいた。逃げ道を探すかのように読み漁った。

そこで、一冊の本と出会った。橘玲さんの「お金持ちになれる黄金の羽の拾い方」だ。その1ヶ月後には上司に会社を辞める話をしていた。

…なんて書くと、その1ヶ月がチープに聞こえるが、大変だった。こんな事をしたいというビジネスの案は前から有った。調べもしていた。ただ、ブラックながらも安定した収入(20代にしてはかなり貰っていた)を捨てて、その道に進んで良いのだろうかと不安しか無く、躊躇していた。

家族がいた。長女は産まれたばかりだ。不安は膨らむばかり。

でも、本が後押ししてくれた。

奥さんに頭を下げた。何度も下げた。良いなんて言うはずがない。勤務地は奥さんの生まれ育った場所だ。ご両親もいる。なのに、僕は自分の故郷で独立する事にしたのだ。繰り返すが、良いなんて言うはずがない。

でも、自分の考えを話し、ただ頭を下げるしか無かった。

そんな1ヶ月だった。自分の両親にも話した。怒られた。笑。

「おまえ、そんな仕事今までやった事無いだろう。」
その通りだ。それが起業と言うものだ。
僕は要領の良い次男で、父親とぶつかってばかりの長男を見て育ったので、飄々と、父親とぶつかる事を避けていた。そんな僕が父親とケンカしたのだ。

「もう、こんな家二度と来るか!」そう捨て台詞を吐き捨てて父親と縁を切った。(今は和睦してます。笑)

そんな1ヶ月だった。

満を持して、上司に話し、そこからが長かった。上司、その上司、さらには営業本部からわざわざその上司が、辞表の撤回を求めに来た。
結局、辞表を出してから、辞めるまでに半年かかった。それでも、自分の持っていた仕事は全て終わらせて辞めてきたつもりだ。辞める時期は会社に託して、筋は通した。今でも当時の同僚と付き合えるのはそのおかげだったと思っている。

そうして、仕事を辞めて、故郷に戻り、起業の準備を始めたのである。

長くなったので、続きは、「1度目の起業した時の事②」で。


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