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【創作】2人で作ったライダースーツ【仮面ライダー】7話

男の家

男「汚いところだけど、まあ入って」

ギリギリ家という体裁を保っているオンボロ小屋に藤を入れる

男「まあ、座れっ…て」

焦点の合わないうつろな目をして突っ立っている藤の両肩をグッと押し込み無理やり座らせる

藤を座らせた後、家の横に併設された巨大なろ過装置から水をコップに汲む

男「こう見えて、物いじりが好きでね。ちゃあんとキレイな水になってるんだ」

自作の全自動ろ過装置を自慢する

藤「…」

目の前に水を置かれても反応がない

男「ったく… 本当に壊れたおもちゃみたいだな…」

頭をボリボリと搔きながら呆れる

男「壊れちゃったなら、直さないとな」

男は布巾やら工具やらをカゴいっぱいに持ってきた

藤の体に施された改造に驚きながら、スーツを脱がし体を拭いてやる

藤の体には痛々しい手術跡が走っており、感触も人間のような柔らかさが感じられない

男「お前も、被害者ってわけだ」

上半身の洗体が終わり、下半身も脱がそうとする

が、どうしてもベルトが外れない

男「なんだあ? 上のスーツと違って完全に体と一体化してる」

ベルトをカチャカチャいじると、風車の周りにスイッチが4つ付いていることを発見する。

興味本位で4つのスイッチを同時に押す

キュピーンという音と同時に脱がした上半身のスーツと下半身のスーツに装着された装備が消え去り、アンダースーツのみが残る

仕上げにベルトの帯が風車型の装置に収納された

風車は目立たないサイズに変形し、腹部に取り付いたままだ

男「どういう科学力だよ、こりゃ…」

目の前のSFをなんとか飲み込み、残りの洗体を終わらせた

男「ふーっ、男の体を洗うってのは全然楽しくないな」

一息つく男

すると、

藤「あり…がと…ござ…」

男「ん?」

藤「ありがとう…ございます…」

少しだけ、人間に戻れた藤

男「へっ どういたしまして」

ようやく、二人の目が合った

その日は、それ以上言葉を交わさず、夜を明かした


翌朝

男が起床する

男「ふわぁ~っと… ん?」

藤が寝ていた方を見ると、姿が無い

辺りをキョロキョロすると、窓の外に人影が見えた

扉から外に出る

藤は、高台にある男の家から、
廃墟となった町とそこで懸命に生きている人たちを眺めていた

藤がたどり着いていたのは、生き残った人々が助け合い生きている集落のような場所だった

藤「こんな状況になっても、皆、一生懸命生きているんですね…」

男「そうだ、もう生きるのが嫌になったって人もいたが、お互い励ましあって、なんとかやってる」

伸びをしながら、答える男

藤「俺、組織の奴らを許しません。 戦います、この力で。」

拳を握り、決意を固める藤


ぐ~っ…


男「…まずは、飯だ」

藤「…はい」

食料を求めて、街に降りていった


組織 基地内 水仙の部屋

志摩「頼む! お前の力なら奴を倒せるだろ!?」

水仙に対し、鬼気迫る勢いで詰め寄る志摩

水仙「チッ うっさいわねえ。 後がないからって暑苦しいわよ…」

そんな志摩をあしらう水仙

ハンター「いい加減出てけよ、先生」

何故か水仙の部屋に居ついているハンターに押し飛ばされる

志摩「ぐっ!」

部屋の壁に背をぶつける志摩

志摩「奴をなんとかしないと、次に危ないのはお前たちだぞ…」

必死に警告をする志摩

水仙「大丈夫よ。あなた、さっき自分で言ったじゃない。お前なら倒せるだろって」

水仙「そうよ、勝てるわ、あたしなら。 あんたが死んだあとでね!! アハハハハハハハハ!!!」

志摩「貴様…!」

思わず水仙に掴みかかろうとする志摩

ハンター「おい…」

前に出てきたハンターにたじろぐ志摩

志摩「く、くそっ…」

踵を返し、部屋から出ていく志摩

水仙「お墓にあいつの首でも手向けるわね~」

閉まる扉の隙間から水仙のふざけた声が聞こえてきた


廃墟の町 男の家

藤「へぇ、戸部さんは科学者なんですね」

戸部「ああ、結構いい企業のチーフだったんだよ?」

藤を助けてくれた男は、戸部という

少ない朝食を食べながら、軽くお互いの自己紹介をした

戸部「さて、腹もふくれ…てないけど、作戦会議しますか」

藤「作戦会議?」

戸部「倒すんだろ? 組織の奴ら」

藤「…はい」

藤の顔つきが真剣になる

戸部「まずは、君の体を調べないとね」

藤「俺の体…」

戸部「君があの姿になった時、何ができるのか。まずはそれを知りたい」

戸部「早速、変身してみてくれ」

藤「へん…しん…?」

戸部「あの姿になる時、君の体は人間を超えるものになる。あれはもう別人になってる。変身だよ」

藤「なるほど…」

正直あまり納得はしていないが、とりあえず変身とやらをすることにした

ベルトのスイッチに指をかけ…


「変身!」


風車が勢いよく周り、空気を吸い込む

風車の周りから装置が展開し、帯が腰に周る

アンダースーツの上にプロテクターがどこからともなく装着される

顔面にヘルメットが重なり、後頭部分が閉鎖される

キュピーンと音が鳴り、ヘルメットの複眼が光る

改造人間の変身が完了した


藤「これが…俺…」

初めて自分の意志で変身したため、改めて改造人間であることを実感する藤


戸部「まあ、別に掛け声はいらなかったんだけど…。 それよりも、やはりすごい技術だ。ここの環境で解析できるかな…」


戸部の研究が始まった


続く




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