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【創作】2人で作ったライダースーツ【仮面ライダー】14話

現在 時雨のマンション近くの公園


時雨「・・・」

藤の過去を聞き、言葉が出ない様子

藤「これが、俺がこの時間に来た理由だ」

時雨「なんて言ったらいいか分からないけど… 大変、だったんだね…」

藤「ああ… でも、こうして時雨に会えてよかった」

藤「いきなり巻き込んじゃった時は、心臓が止まるかと思ったけど…」

時雨「私も怖かった… でも、藤くんが助けてくれたから、大丈夫!」

藤「ありがとう… でも、これ以上は巻き込まないよ。ここでお別れだ」

時雨「そんな…! でも、そうだよね。これから、戦いに行くんだもんね…」

藤「ああ、時雨が元気に生きていけるこの時間を、守って見せるよ」

ベンチから立ち上がって、時雨の目を見る藤

時雨も立ち上がる

時雨「うん!この時間をよろしく!」

手を差し出す時雨

藤はその手に答え、固い握手を交わそうとするが…


パンパンパンパン!!


大きく手を叩く音が聞こえた

ハンター「感動の再会ってかぁ? 未来からのお客さぁん!」

この時間のハンターが拍手をしながら現れた

藤「ハンター…!」

時雨の前に片手を出し、守る体制に入る

ハンター「要するにお前は俺たちを潰してぇってことだろぉ? 出向いてきてやったからよぉ、やってみろよ!!」

ハンターが武器を起動し、立ち向かってくる

藤「時雨、ここから動かないで!!」

ベルトを操作し、ライダーに変身する

ライダーとハンターが激しくぶつかる

ハンター「ッ! やるな…」

ライダーの力量を一撃で測り、警戒するハンター

一度は倒した相手だが、未来では志摩のサポートがあった

ライダーも慎重に相手の出方を伺う

ハンターが左手を大きく振りかぶった

ライダーは右腕でその手を受けようとするが、ハンターの左手首の鉤爪が起動され、腕に傷を負う

ライダー「くっ!」

ハンター「この装備は未来では見なかったか?」

続いて右手首の銃から弾を発射する

ライダーはベルトを操作し、風車から突風を吹き起こす

弾は風に弾かれ、ライダーには届かなかった

ハンター「なにっ!?」

ライダー「それは知ってる」

ハンターが怯んだ隙に、素早くハンターの間合いに入り込み、余ったエネルギーを纏った右手の手刀で切りつける

ハンター「ぐあぁ!!」

胴体に大きな切り傷を与えられたハンター

ライダー「組織を潰すつもりなんだ。あんたに手間取っていられない」

左手を固く握り、拳を顔面に叩きつける

声も発さず、ハンターの顔が潰れた

ハンターの体は後ろに倒れ、大の字に広がった体は動かなくなった

ライダー「ふぅ…」

深く息をつき、左の拳を見るライダー

ライダー「なんだか、未来にいる時より、力が増してる…?」

ライダーの違和感は一つの声にかき消された

時雨「藤くん!!」

ライダー「時雨!?」

時雨の方を見ると、戦闘員に捕まった時雨が目に飛び込んできた

ライダー「今行く!!」

時雨の下に飛びよるライダー

水仙「そこまでよ、彼氏くん」

時雨の前に水仙が立ち、その姿を見たライダーは急ブレーキをかける

ライダー「水仙…!」

水仙「あら、私も知られてるのね」

ライダー「時雨を放せ! 彼女は関係ない!」

水仙「馬鹿ね。あなたと一緒にいる時点で関係大アリよ」

水仙「大人しくついてきなさい。そうすれば彼女は無事に家に帰れるわ」

ライダー「くっ…」

ベルトに手をかけ、変身を解こうとする

水仙「ああ、いいのいいの、そのままで。そっちのほうが志摩の好みみたい」

時雨とライダーは別々のヘリに乗せられ、基地へと運ばれた


組織 研究室

ベッドに乗せられたライダー

見覚えのある天井のライトが眩しい

ライダー「またこのベッドか…」

志摩「未来でもここは健在かね。意外に発展しないものなんだな」

呑気に研究の準備を進める志摩が話す

ライダー「忘れかけてたよ、あんたが最低なやつだって」

志摩「ほう? 未来で私は良いやつにでもなったのかね。先ほどの発言は撤回しよう。やはり時の進みは常に物事を発展させる」

ライダー「良いやつってほどじゃない。この状況を起こした目的もいまいち分かっていない」

志摩「まだお友達にはなれてないようだ。悲しいね」

ベッドの上の装置が動き、ライダーの体がスキャンされる

志摩「ん?これは…」

ヘルメットの中に何かを見つけた様子

装置を操り、ヘルメットの右側の小さなソケットを開ける

中からは小さなチップが出てきた

チップを手に取り、分析の機械にかける

志摩「ほう…! これはこれは…」

志摩「ふむ、君の体の仕組みについてはもう解決した。次はこの時間に来た方法を探っていこう」

ライダー(なんとか脱出しないと…)

腕や足を動かすが、固定装具がそれを許さない

志摩「無駄だ、君よりはるかに大きなパワーを持った個体でも動けないんだ。諦めろ」

志摩はテキパキとライダーの調査を続ける


組織 時雨の部屋

無機質な部屋に机と椅子だけ置かれた場所に閉じ込められた時雨

時雨「藤くん…大丈夫かな…」

部屋の扉が開き、甲高い声が響いた

水仙「あら、妬けるわね。こんなときでも彼氏の心配?」

水仙が入ってきた

時雨「心配に決まってるでしょ… ていうか彼氏じゃないし」

水仙を睨みつけ、怯えた様子を見せない時雨

水仙「可愛いわね。本当は怖いのに威勢を張って…」

右手で時雨の頬を撫でる

時雨「やめてっ! 何しに来たの?」

手を払い、質問をする

水仙「別にぃ? 囚われのお姫様の様子を見に来ただけよ」

水仙「案外元気そうで安心したわ、また来るわね、お嬢さん」

手をひらひらさせながら、部屋を出ようとする水仙

時雨「二度と来ないで、おばさん」

水仙を煽る時雨

水仙の顔が一瞬、引きつった

踵を返し、コツコツ!とヒールを鳴らし時雨に歩み寄る水仙

パァン!と平手打ちをかます

時雨「ッ!」

水仙「調子に乗るのもいい加減にしなさい?あいつの研究が終わったら地獄の苦しみを与えてあげるわ…」

扉を叩きつけるように閉め、水仙は出ていった

時雨「藤くん…助けて…」

時雨の目には涙が溜まっていた


研究室

扉が開き、怒りの表情を浮かべた水仙が入ってきた

水仙「志摩!まだ終らないの!?」

ご機嫌ナナメの声がつんざいた

志摩「水仙…何を怒っているんだ。未来の技術の解析がそう簡単に終わるわけないだろう…」

水仙「うるさいわね… 早くあの小娘を黙らせたいのよ!私は!」

水仙の言葉を聞いて、ライダーが反応する

ライダー「時雨に手を出すな!約束だろ!」

水仙「あの女の方から喧嘩を売ってきたのよ。それに、もう一発手を出しちゃったりして…」

右手の甲をさすり、目を流す水仙

ライダー「き、さまぁぁぁぁ!!」

ライダーの全身に力が入る

今まで湧いたことの無い力がみなぎる

解析装置の数値が跳ね上がる

志摩「ま、待て!!まだ研究が終わってない!!」

ライダー「うおおおおおおおおお!!」

両腕の固定装具が弾き飛び、ベルトを叩きつけるように操作する

右手に貯めたエネルギーを水仙に向かって放つ

志摩は咄嗟に身をかがめた

攻撃が当たる瞬間、水仙は体を変身させ、怪人となった

衝撃で研究室の扉が破壊され、水仙は研究室外の広い空間に飛ばされた

両足の装具も外し、ライダーが水仙の下へ歩いていく

ライダー「よくも時雨を傷つけたな… 絶対に許さないぞ…」

ライダーの怒りが頂点に達する

ベルトの風車が回り続け、エネルギーが充填されつづける

水仙「危ないわねえ… でも、彼女のためにそこまで怒れる男って素敵…♡」

ライダーと水仙の戦いが始まる


続く


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