【創作】2人で作ったライダースーツ【仮面ライダー】10話
戸部の家
聞きなじみのないバイクのエンジン音で目が覚める戸部
戸部「なんだ…?」
外に出てみると、藤がいるではないか
戸部「藤くん…?藤くんか!?」
藤「はい… ご心配を…」
戸部「よかった…!でも、どうやって…?」
志摩「久しぶりだな、戸部」
感動の再会に飽きた志摩が入ってくる
戸部「あんたは… 志摩か?」
志摩「夜通し走って疲れてるんだ、上がってもいいかな?積もる話もある」
戸部「そうだな、俺もあんたに聞きたいことがある」
家に入る一同
各々、腰を下ろし、ヒビの入ったコップの水を飲む
一息ついたところで、戸部が切り出した
戸部「で、どうして藤くんと志摩が一緒なんだ?」
志摩が基地での出来事を話す
戸部「…なるほど、街での戦いも、君が助けてくれたのか」
志摩「まあな、ハンターを改造したのは私だ、奴の動きを制限させるコードを書くくらい朝飯前だ。散々偉そうな口を叩いていたが、生みの親には敵わんということだ。」
言いながら、藤の方をじろりと見る
藤「俺を改造したのも、あんただよな?」
志摩「その通り、私の最高傑作”だった”最強の改造人間『N』」
志摩「今までは、頑丈な体を持つ人間に対し、一つの記号、つまり動物や機械を適合させてきた」
志摩「しかし、どうしても、複数の動物や機械の適合が上手く機能しなかった」
志摩「そこで、ベースの人間のレベルを下げることにした。平均レベルの身体能力を持つ若い肉体。そこに複数の記号を組み合わせることにした」
志摩「だが、これも失敗だった。どうしても素材同士が喧嘩してしまう」
志摩「必要なのは『調和』、お互いの素材が体の中で循環することがポイントだった」
志摩「そして私は辿り着いたのだ。自然のエネルギーを利用することを」
志摩「人間とその他を繋ぐ鍵。それは、どの生命や創造物にも共通して必要とされる自然エネルギー」
志摩「最終的に、人間と動物、そしてエネルギーを蓄えるための装置として、風力を受けやすいバイクを選んだ。」
志摩「藤、君が被験者として運ばれてきたのはその頃だった。」
志摩「コンピューターの容量が戦闘データで埋まってしまい、バイクの乗り方を知っている人間が必要でね。バイク乗りをターゲットにしたんだ」
志摩「そして、平均的な肉体を持つ被験者と基地の近くで捕まえてきたバッタを適合させることにした」
志摩「結果は御覧の通り、私の理屈がピタリとハマった瞬間だよ!ハッハッハッハッハッハ!」
志摩「『自然(Nature)』の申し子の誕生だ!」
立ち上がり、手を広げ演説を終えた志摩
話を黙って聞いていた藤の顔が険しい
藤「そんなことのために、時雨を殺したのか…!」
藤「あんたは…!そんなことのために!!」
志摩に掴みかかる藤
志摩「ぐっ…!私は、そんな指示は出していない…!そういうのは水仙がやるんだ…!」
惨めな言い訳をする志摩
藤「あんたがそんな研究しなければ…!時雨は…!」
戸部「藤くん…!今は止すんだ!」
なんとか間に割って入る戸部
戸部「君の話はもうたくさんだ…もうどこにでも行ってくれ」
志摩に冷たく言い放つ戸部
志摩「待て、まだ話は終わっていない」
藤「これ以上何を話すっていうんだ…!」
志摩「私がここに来た理由だよ」
戸部「なに?」
志摩「あのろ過装置を見て、ピンときた。この環境であれを作れるのは君くらいのものだと」
志摩「そして、君と私の技術力があれば、あの研究を完成させられる」
戸部「あの研究って?」
志摩「かつて私たちが所属していた研究室で行われていた、時間移動の研究だよ」
藤「時間移動…?」
戸部の顔がこわばる
戸部「馬鹿を言うな!あの研究はもう結論が付いただろ!時空を超えることなんて、絵空事だって!」
志摩「そんなことはない、あれは実現可能だ。というか、もうほとんど実現している」
戸部「は…?」
志摩が藤に向き合う
志摩「藤、いや、ライダー。君こそがタイムマシンだ」
志摩から語られる真実に…
藤「あんた… いよいよ気が狂ったようだな…」
怒りと呆れで家の外に出ていく藤
志摩「おい!最後まで話を…」
戸部「聞くよ」
志摩「…ほう…」
戸部「聞かせてくれ、君の理論を」
組織 研究室
皇「ほう…! これはこれは…」
志摩が破壊したはずの研究データをサルベージし、研究内容に没頭する皇
水仙「何か面白いものでも見つかった?」
水仙が研究室に入ってきた
皇「ええ、とてもこの世のものとは思えないものが…」
皇「それより、どうですか?怪人たちの調子は?」
水仙「あんたの言った通り、怪人同士でトレーニングさせてるわ。本当にあんなので強くなるの?」
皇「もちろんです。同等かそれ以上の者と戦うことで、命というのはより強固になるのです。あなた自身、覚えがあるのでは?」
水仙の過去について、意味深に問う皇
水仙「チッ…うるさいわねえ… それより、見つけた面白いものってなんなの?」
皇「おっと…無神経でしたかね? お詫びにお教えしましょう。とある、粒子について…」
戸部の家
志摩「誰にも言っていなかったことだが、大学の研究室で私は未知の粒子を発見していた。ただ、それの特性を理解することができなかった」
志摩「しかし、組織で改造人間の研究を進めている時、その粒子がわずかな反応を示した」
志摩「ライダーのベルトに反応したんだ。あの風車の回転に合わせて」
志摩「試しに、ベルトに粒子を一粒組み込んでみた。風車の回転に合わせ、粒子が消えたんだ。正確には消えたように見えた。人間の目では追うことのできないスピードで動いていたんだ。」
戸部「それって…まさか…」
志摩「そう、時間を超える時に必要となるスピードのエネルギーを生み出す粒子なんだよ」
志摩「さすがにライダーに時間旅行してもらうわけにはいかないからな。そこで実験は止めたんだ」
志摩「しかし今なら、その実験も可能だ。組織の基地から粒子も持ってきたしな」
戸部「実験の続きをしたくて、ここに来たってわけか」
志摩「そうだ、まずはここの設備を整える。その後、私と君で実験開始だ」
戸部「肝心の藤くんはどうする?君は彼の全てを奪ったんだぞ」
志摩「なに、ぬかりはないさ。彼に報酬を与えればいい」
戸部「報酬?」
志摩「奴の過去を、救ってやるのさ…」
不敵な笑みを浮かべる志摩であった
続く
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