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【創作】2人で作ったライダースーツ【仮面ライダー】12話

廃墟の街

怪人とライダーが激しくぶつかる音が響く

怪人「威勢よく登場した割には大した事ねえな」

怪人と互角の勝負

ライダー「こいつ、ハンターと同じくらい強い…!」

志摩「藤、聞こえるか?」

ヘルメットの無線が入る

志摩「そいつはカブトムシ怪人だ。私が改造したときよりも強力になっている。おそらく、再改造でもされたのだろう。」

ライダー「弱点とかは?」

志摩「私の作品にそんなものあるものか。実力で押し勝て」

ライダー「無茶言うよ全く…」

志摩の傲慢さに呆れるライダー

カブトムシ怪人「おらあ!!」

怪人が勢いよくタックルで突っ込んでくる

ライダー「トォッ!!」

ジャンプで空中に飛び、体を捻らせるライダー

カブトムシ怪人の背後を取る

ライダー「ハァッ!」

羽を殴りつけるが、甲殻には通用しない

ライダー「くっ!!」

カブトムシ怪人「ふんっ!!」

後ろ回し蹴りでライダーを弾き飛ばす

反射的に腕でガードするライダー

衝撃を和らげるも、確実にダメージが蓄積される

さらにそこへ、

戦闘員怪人「おい、いつまで遊んでいる」

仲間の怪人がカブトムシ怪人に近寄ってきた

カブトムシ怪人「もうすぐ終わるって、あいつ聞いてたほど強くねえ」

戦闘員怪人「水仙様が奴の首を待っているんだ。さっさと片づけるぞ」

ライオン怪人「なあ、もしかして、二人で終わりそうなやつか?」

さらにライオン怪人まで参加

カブトムシ怪人「見ての通りよ」

膝を着いているライダーに手を向ける

ライオン怪人「そうか、ここは二人に任せる。俺は別の仕事があるからな」

戦闘員怪人「別の仕事?」

ライオン怪人「じゃあな」

ライオン怪人は大きな右手を振って、その場から去っていった

カブトムシ怪人「待たせたな、とどめの時間だ」

ライダーに歩み寄る二体の怪人

ライダー「くっ…こんなとこで、倒れていられないのに…」

絶対に時雨を取り戻す…!

ライダーは覚悟を決めたのだ。この壁を乗り越えるなにか…!

なにか力を…!


颯「がんばれ!お兄ちゃん!」

桜「負けないで!」


ライダー「!」

遠くからライダーを応援する声が聞こえる

さっき助けた二人だ

自分の勝利を信じてくれている

ライダー「俺も、信じなきゃな!」

体から力が湧き、立ち上がるライダー

頭からスーッと言葉が消えていく

敵の動きがよく見える

この感覚だ。これで勝てる

カブトムシ怪人の重い一撃が眼前に迫る

最小限の動きで腕を躱し、関節を極める

カブトムシ怪人「なにっ!?」

戦闘員怪人がナイフを手に襲い掛かるが、右足のキックで牽制するライダー

戦闘員怪人「くっ!」

キックの勢いでカブトムシ怪人を戦闘員怪人に投げつけるライダー

カブトムシ怪人の重い体重が戦闘員怪人にのしかかる

戦闘員怪人「おい!重いぞ!どけ!」

カブトムシ怪人「野郎!調子に乗りやがって!」

敵が動けない隙にベルトのスイッチを操作する

ライダーの両腕に青い風のエネルギーが蓄えられていく

両手で手刀を構えるライダー

起き上がったカブトムシ怪人に左手の風力エネルギーを三日月型に飛ばす

カブトムシ怪人は咄嗟に右腕でガードし、抵抗する

しかし、斬撃の切れ味は鋭く、右腕の前腕が切断された!

カブトムシ怪人「ぐわああああ!!」

素早くカブトムシ怪人に近づくライダー

右手の手刀をカブトムシ怪人の切断面にねじ込む

ライダーとカブトムシ怪人の右腕が繋がり、怪人の体内にエネルギーが流し込まれる

カブトムシ怪人「や、やめろおおおおお!!」

体の節々から青いエネルギーが漏れ出る怪人

体がエネルギーで満タンになり、カブトムシ怪人の体がはじけ飛んだ

地面に倒れていた戦闘員怪人の体にカブトムシ怪人の飛沫が飛んだ

戦闘員怪人「おのれ…!まだ私がいるぞ!」

戦闘員怪人は体に付着した体液を拭いながら立ち上がった

ライダー「お前は…何の怪人だ?」

パッと見で特徴が掴めない敵に戦闘法を探るライダー

戦闘員怪人「私は数いる戦闘員の中でも優れた戦闘員!水仙様に認められ、再改造の恩恵を承った最強の戦闘員なのだ!」

誇り高く絶叫する戦闘員怪人。ナイフを逆手に構え、隙を見せない

ライダー「なるほど、でも俺は負けない」

戦闘員怪人「私こそ。水仙様にお褒めの言葉をいただくまでは…」

ライダー「街の皆と、大切な人を救うまでは…」


戦闘員怪人・ライダー「「負けられない!!」」


常人の目では追いつくのがやっとの速さで攻防が続く

戦闘員怪人のナイフ捌きは確かなものだ

一本のナイフを両手で入れ替えながら、ライダーを翻弄する

ライダーも本能で攻撃を躱し、与える

攻防の最中、ライダーが突然、空中へとジャンプ!

浮遊の間にベルトにエネルギーを蓄える

戦闘員怪人「逃がすかっ!」

怪人もジャンプし、ライダーを捕えようとする

待ってました、と言わんばかりにベルトのスイッチを再度押し下すライダー

すると、ベルトから突風が吹き荒れ、怪人に直撃する

戦闘員怪人「なに!?」

風圧で地面に叩き落とされる怪人

ライダーは空中でキックの構えを取り、怪人の後を追う

ライダー「はあああああ!!!」

鋭い落下エネルギーが怪人を襲う

戦闘員怪人「うおおおおおお!!!水仙様あああああ!!」

憧れを叫びながら、怪人は散っていった


颯「お兄ちゃん!」

颯と桜が笑顔で駆け寄ってきた

颯「お兄ちゃんすげー!」

桜「かっこいいー!」

ライダーの周りではしゃぐ二人

ライダー「二人とも、ケガはないか?」

颯「大丈夫だよ!」

桜「颯兄ちゃんとお兄ちゃんが守ってくれたもん!」

元気な二人を見て、安心するライダー

その時、

おい!と叫ぶ男の声が聞こえた

男「あんた、前もここで戦ってた奴か?」

前、というとハンターと戦った時のことだろう

ライダー「はい、そうです」

男「なんでまたこの町にいるんだ! あんたのせいでこの町はあいつらに襲われるんだぞ!!」

ライダー「それは…」

女「そうよ!私たちは普通に暮らしていきたいだけなの!騒ぎを持ってこないで!!」

住民たちからの鋭い声が突き刺さる

颯「待ってよ!このお兄ちゃんは悪い人じゃないよ!!」

ライダーの前に立ち、庇い立てする颯

男「良いとか悪いとかじゃないんだ!その人がここにいること自体が問題なんだ!」

桜「そんなぁ…」

子供二人の顔が悲しく沈む

ライダーは二人の頭に手を置き、目線を合わせる

ライダー「ありがとう、二人とも。でも、皆の言っていることは間違っていないよ」

颯「お兄ちゃん…」

ライダーは住民に向き合う

ライダー「皆さんを巻き込んでしまい、ごめんなさい!俺はもうすぐここから出ていきます。この町の平和を願っています。」

ライダーは下げた頭を上げた後、高くジャンプし、姿を消した


町のはずれ

ライオン怪人「えぇ、やはり二人は破れました」

通信の声が入る

皇「それは計画通りでなにより。引き続き監視の方をお願いします」

ライオン怪人「了解」

通信が切れる

ライオン怪人「ふぅ… 実験の様子を見張れって言われても、俺にはさっぱりなんだよなあ… 」

ライオン怪人の目線は高台の戸部家に向けられていた


戸部の家

変身を解いた藤が戻ってきた

戸部「大丈夫か?藤くん」

藤「ええ、なんとか勝てました」

戸部「そっちじゃない。その後のことだ」

藤「それも…大丈夫です。早く実験を成功させましょう。」

戸部「藤くん…」


数日後

志摩「とりあえず、完成したか…」

最後の実験台が完成した

戸部「これに賭けるしかない…」

藤「早速、始めますか?」

志摩「いや、まだだ」

志摩がストップをかける

戸部「もう、やれることは全部やったぞ?」

志摩「タイムマシンは、な」

志摩「問題は君だ、藤」

藤「え?」

志摩「前の戦いで、二人の怪人に苦戦しただろう?あの程度の力では過去に戻ったとしても、勝てる保証はない」

藤「でも、あれは再改造されていたから…」

志摩「甘いな、組織では怪人が数多く生み出されている。数で圧倒されるんだぞ」

藤「前回の戦いで感覚は掴みました。」

志摩「確かに奴らを倒した時の動きはよかった。しかし、常にあれを引き出せるか?」

藤「それは…」

志摩「そこで、このチップをベルトに組み込む」

机から小さなチップを取り出す

戸部「それは?」

志摩「ライダーを『N』に戻すチップだ」

藤「!!」

戸部「志摩!お前まだそんなものを…!」

志摩「勘違いするな。いざという時の最終手段というやつだ」

志摩「このチップを起動すると、藤の思考はNに上書きされる。Nの実力なら、過去の組織の奴らに負けることはない。水仙とも互角に渡り合えるはずだ」

志摩「使うかどうかは藤に任せる。いいな?」

藤「…分かりました。チップを入れてください」

戸部「藤くん!」

藤「俺は絶対に時雨を助けます。そのためなら、なんだってするって決めたんです」

藤の決意は固い

志摩「よし、チップを組み込んだら実験開始だ」

遂に、過去の救済が始まる


続く


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