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【創作】2人で作ったライダースーツ【仮面ライダー】4話

2限の講義が終わり、昼食を食べに行く藤と男友達

男友達「あ、あの子…」

藤「え? あっ」

朝の不審者女子大生を発見

藤「ちょっといってくる」

拾ったキーホルダーを渡しに行く藤

藤「あの…」

女子大生「え? あっ…!」

こちらを見るなり、手で口を覆う

藤「これ、多分、君のだよね?」

キーホルダーを渡す

女子大生「あっ… あれ?」

リュックを確認し、落としていたことに気づく

女子大生「ありがとうございます! それと、朝はごめんなさい!」

お礼と謝罪で2回頭を下げる

藤「いや、いいよいいよ。それより、君、えっと…」

女子大生「あ、私、時野谷(ときのや)って言います」

藤「時野谷さんも、バイク好きなの?」

時野谷「はい!その、ずっと藤くんのバイク、かっこいいなって思ってて…」

藤「そうなんだ!ありがとう!」

今時珍しいバイク好きを見つけて、喜ぶ藤

それから、藤と時野谷の仲は深まっていった

お互いに色々なことが分かってきた

時野谷の下の名前が時雨、ということ
お互いに親の影響でバイクが好きになったこと
時雨はバイクの免許を取るためにお金を貯めていること
藤は高校からバイト漬けで、最近ようやくバイクを買えたこと

そして…

藤「ライダースーツのデザイン?」

時雨「そう、バイク自体はもちろんなんだけど、ライダースーツもすっごくかっこいいなって思う」

時雨「だから、最近はライダースーツのデザインを考えてるの。お金もかからないし。楽しいよ?」

大学の食堂で時雨の意外な趣味を知る藤

藤「ライダースーツか… バイクのことばかり見てて、そっちは深く考えたことないな… 今持ってるやつも親父のお下がりだし」

時雨「じゃあ、私の考えたライダースーツ着てよ! ずっと温めてたのがあるの!」

藤「え?」

時雨「駐輪場で藤くんとバイクを眺めながら、こういうのが似合いそうだな~って、考えてたからさ…」

突然のストーカー発言をかましながら、リュックをごそごそといじる時雨

時雨「これ!どう?」

渡されたデザインは爽やかな青を基調としたものだった

時雨「スーツって黒が多いでしょ? ああいうのももちろんかっこいいけど、風の中を颯爽と走るんだから爽やかな感じがいいかな~って」

デザインのこだわりを語り始め、止まらなくなる時雨

そんな彼女の話を聞きながら、藤の中には心地よさが満たされていく

藤「今度、バイクに乗って、どこか行こうか」

時雨「それでね?ここの差し色は… え?」

藤「そのスーツ、好きだな。うん、それを着ていこう」

時雨「い、いいの?藤くんのバイク、乗って…」

藤「うん、時雨と一緒に乗ってみたくなった」

時雨「そ、それって…どういう…」

体中が熱くなる

藤が時計を見て慌てる

藤「あっ!もう行かなきゃ!それじゃ、スーツよろしく!」

パパっと荷物をまとめて行ってしまう藤

時雨「バイク乗りって… 皆こうなのかな…?」

火照った顔を両手で押さえ、少しため息


月日が経ち…

藤「おお! かっこいい! サイズもぴったりだ!」

時雨「そりゃ、この私のデザインですから」

業者に頼んだオーダーメイドスーツが完成した

費用は二人で半分こ

藤「じゃあ、行こうか」

ヘルメットを渡される

バイクにまたがる藤の後ろに座りタンデムバーを掴む

バイクにエンジンがかかり、排気音が鳴り響く

ハンドルが回り、発進する

風を切って走るこの感じ

昔、一度だけ、親の後ろで感じたこの心地よさ

でも、あの時とはちょっと違う

今、私が命を預けているこの人は、

多分、私の、好きな人

彼は、どうして私を乗せてくれたんだろう

今日、分かるかな


40分ほど走り、山道に入った

藤「このスーツ!すごく良い!」

インカムで子供のようにはしゃぐ声が聞こえる

気に入ってくれたようでよかった

藤「もう少ししたら、休憩しようか」

さっき、看板が見えた。そこで一息つこう

と、思っていたその時

バイクの目の前に突然人影が現れた

藤「…っ!」

ドンッ!!

激しい衝撃が襲い掛かる

急ブレーキは間に合わなかった

バイクと共に倒れる藤と時雨

唯一倒れていなかったのは轢かれたはずの人影

謎の男「本当にこんなんでいいのか…?」

倒れた藤の胸倉をつかみ、片手で持ち上げる

藤「ぐっ…」

藤の頭は混乱している

何が起こってる…?
時雨は…? 時雨は無事なのか?

なんとか首を動かし、時雨を見る藤

倒れている時雨が視界に入る

捕まれている腕を放そうともがく藤

藤「がっ… ぐっ…」

謎の男「なんだ? 人を轢いておいて、元気じゃねえか」

胸倉をパッと放し、藤を地面に落とす

藤「…?」

地面に伏した顔を上げ、男を目で追う

謎の男「目撃者は消せって、ご命令でね…」

男が時雨に向かっていく

藤「や、めろ…」

なんとか這いつくばって止めようとする藤

だが、思うように体が動かない

謎の男「安心しろよ、気ぃ失ってるから痛くねえよ」

男が時雨の首を掴み、持ち上げる

ゴキッ!

一瞬の躊躇もなく、時雨の首が砕かれた音がした

藤「ハァッ…! ハァッ…! ハァッ…!」

目の前で起こったことが信じられず呼吸ができなくなる藤

謎の男「おいおい、大丈夫かよ? 今運んでやっから、くたばんじゃねえぞ?」

時雨を無造作に落とし、藤を抱える男

藤の意識が途絶えた


続く


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