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【創作】2人で作ったライダースーツ【仮面ライダー】8話

組織 研究室

研究員「主任! Nのエネルギー反応が確認されました!」

研究室に声が響く

志摩「何!? 一体場所はどこだ!?」

研究員「T地区です!」

志摩「あの女の力を借りるのは癪だが… 部隊に通達しろ! 奴を捕らえる!」

水仙とハンターが部隊を率いてNの捕獲に乗り出した


戸部の家

戸部「この技術… まさかあいつの研究か?」

藤「なにか分かったんですか?」

一通りの運動能力やベルト装置の解析が進み、一息入れていた二人

戸部が何かに気づいたらしい

戸部「いや、ずいぶん昔のことだったから忘れていたんだが、大学の同級生に生物と機械を融合させて、肉体の強化を図る研究をしていた男がいてね。」

戸部「結局、倫理的観点から、その研究は凍結されたんだけど、彼の書いた論文や実験データに似ているんだよ、君の体の構造が。」

藤「志摩…」

戸部「え…? そうだ! 志摩って名前だ!」

戸部「急に大学から姿を消したと思ったら、あんな場所で研究を続けていたのか…」


ワーッ!!

逃げろー!!


突然、街の方から悲鳴が聞こえてきた

慌てて外に出る二人

街の人々が逃げ惑っている

戸部「皆…どうしたんだ?」

藤「あ、あれは!?」

街の入口付近に戦闘員の集団と戦車のような兵器を引き連れた組織の軍団が見えた

部隊の長である水仙がスピーカーで声を上げる

水仙「ごきげんよう!突然ですが、皆さんには人探しに協力していただきます!」

水仙「この町に、私たちを裏切ったわる~い子がいるの!それを皆さんで探してきて下さ~い!協力していただけない場合は…」

戦闘員たちが一斉に銃を向ける

水仙「この町が無くなりますわ♡」

ハンターがバズーカ砲を上空に打ち上げる

花火のように砲弾が爆発し、大量のビラがまかれる

ビラには変身前後の藤の姿が描かれていた

水仙「探しているのはその男。それじゃ、手早くお願いね。」

突然のことに戸惑い、動きの悪い人々

水仙「…チッ」


バン!!


人々の動きにイラついた水仙が近くにいた男の腕を撃ち抜いた

男「ぐわああ!!」

鋭い痛みに倒れこむ男性

水仙「次は誰かしら?」


うわああああああ!!


叫び声を上げながら、藤を探し始める人々

藤「あいつら…!」

組織の悪辣な行動に立ち向かおうとする藤

戸部「ま、待て! あの数に勝てるわけがない!捕まって再改造されるのがオチだぞ!!」

戸部は必死に藤を止める

藤「僕はこの町を守るって決めたんです。行かせてください!」

戸部を振りほどいてヘルメットを被る藤

高くジャンプし、いくつかの建物を飛び移っていく

藤「俺はここだ!!」

水仙たちの前に着地する藤

水仙「あら、もう出てきちゃったの? つまらないわねえ」

水仙の言葉に耳を貸さず、撃たれた男性に駆け寄る藤

藤「大丈夫ですか!」

男を抱え、近くにいた人たちに預ける

藤「すぐに手当てをお願いします!」

男は数人の人に抱えられ、運ばれていった

ハンター「ずいぶんと優しくなったじゃねえか。今更そんなことしたって、お前がやってきたことは無くならねえぞ」

ハンターが前に出て、挑発する

自分から全てを奪った男を目にし、藤の怒りは最高潮に達する

ギリギリと拳を握る藤

藤「お前たち… 許さないぞ!!」

ハンターめがけて、飛び掛かる藤

真っ向から受け止めるハンター

戦闘員が近づこうとするが、水仙が遮る

水仙「やめときなさい。邪魔よ。」

藤とハンターの攻防が続く

ハンター「おいおい、お前こんな弱かったか? こないだまで、一日何十人殺してたってのに…よお!!」

ハンターの重いパンチが藤の胸に突き刺さる

藤「ぐぁ!!」

後方に飛ばされる藤

ハンター「組織史上最高傑作『N』様が聞いて呆れるぜ」

襟元のほこりを払いながら、余裕の表情を見せるハンター

藤「俺は…そんな名前じゃない…」

膝に力を入れて立ち上がる藤

ハンター「ほう…? じゃあ、なんて呼べばいい?」

藤の目に、先の騒動で倒されたバイクが目に映る

藤「ライダー… 


俺は、ライダーだ!!」


組織と戦う覚悟を決め、新たな自分を受け入れた男の目に復讐の炎が灯る

ライダー「うおおおおおお!!」

再びハンターに飛び掛かり、戦闘を始める

ハンター「ちょっとはやる気になったか! ハンターとライダー、どっちが強ええか決めようぜ!!」

先ほどよりも勢いの増した攻防が続く

ライダーの攻撃もハンターに当たるようになり、お互いの体力が削られていく

その様子を複雑な思いで見守る男が一人

志摩(洗脳が解けたことで、戦闘能力が著しく衰えている…。これなら奴の回収は簡単だな…)

しかし…

志摩(なぜ洗脳が解かれたかが分からない今、再び奴を洗脳したところで同じことの繰り返しになるのではないか?そうしたら、次こそ私は即刻処分される…!なにか、なにか方法はないか!?)

ボスに最終通告をされている現状を打破しなければ、志摩にとってこの戦いは何の意味も持たない

志摩(とりあえず、Nのスーツの解析をして… それでも原因が分からなければ? ボスになんと報告する!? なにか…なにか… ん?)

志摩の目に高台のろ過装置が映る

志摩(あの装置… どこかで見覚えが…? そうだ!あれはあいつの…! この環境であんなことができるのは… 絶対にそうだ… )

もはや、改造人間の戦いには一切目を向けず、熟考し始める志摩

志摩(ここは賭けだ…!)

志摩はごそごそとマイク付きのヘッドホンを取り出す

こそっと部隊から離れ、人のいない廃墟に忍ぶ

バチッ!!とライダーとハンターの拳がぶつかり、反発した力でお互いに距離を取る

ハンター「へへっ、楽しくなってきたなあ!」

ライダー「ハァッ…ハァ…」

徐々に追い詰められるライダーの頭に声が響いた

志摩「聞こえるかね?N」

ライダー「!? なんだ、この声…」

突然の囁きに驚きを隠せないライダー

ハンター「ん?」

相手の挙動を見て、首をかしげるハンター

志摩「今から言うことをよく聞くんだ。」

志摩「私はあのハンターを倒す手段を知る唯一の人間だ。奴を倒したければ、私に手を貸せ。」

ライダー「な、なにを言ってるんだ?」

意味の分からないSOSに混乱するライダー

志摩「とにかく!奴を倒したいなら、私に手を貸すことを約束しろ!さあ、どうするんだ!!」

切羽詰まった状況で知性のカケラもない要求をする志摩

ライダー「なんだか怪しすぎるけど、今はそれしかないのか…?」

志摩「そういうことだ… 契約成立でいいかな?」

ライダー「分かった… あいつを倒す方法は?」

志摩「よし、私が合図を出したら、ベルトのスイッチを押せ。あとは流れに身を任せるだけだ。」

ライダー「なに!?それだけか!?」

志摩「いいから私を信じろ。それじゃあ、合図を送るぞ」

ライダー「なんだよ、合図って…」

もうなにがなんだか分からないライダー

ハンター「おい! 真面目にやれ!」

いい加減キレたハンターが右腕に装着された銃撃を放とうとする

その瞬間

ハンター「な、なに!?」

突然、ハンターの体が痺れ始める

ハンター「か、体が…うごかん…」

目の前の出来事に困惑する組織の部隊

水仙「ど、どうしたのハンター!?」

遂にハンターは膝を着いてしまった

ライダー「あれが合図か!」

ベルトのスイッチを押し、風車からエネルギーを溜める

スーッと頭の中に動きのビジョンが見える

右足にエネルギーが溜まったことを感じ、上空にジャンプする

空中で前宙、体を広げ、右足を突き出す

ライダー「はああああああ!!!」

動けないハンターにライダーキックが炸裂する

ハンター「うがああああああああああ!!!」

ハンターの体が地面にめり込み、バチバチと火花を上げる


ドーン!!


遂にハンターの体が赤黒い炎に包まれた


炎と煙の中に立つライダー

両の複眼が怪しく光る

次はお前の番だ、と水仙を睨みつけるが、体力が限界だ

ライダーは焼き立てのクレーターに倒れ伏した

志摩(くそっ!倒れるな! ……仕方ない!)

志摩「…まさか、ハンターを倒すとはな…」

冷静を装い、水仙の前に現れる志摩

水仙「もうちょっと骨のある男だと思ったのに…」

ハンターとの関係など無かったかのような水仙
すっかり冷めてしまったようだ

水仙「さあ、さっさと回収して、ちゃっちゃと帰るわよ!」

戦闘員たちがテキパキとライダーをカプセルに収納し、部隊は引き上げていった

高台から全てを見ていた戸部

戸部「だから言ったじゃないか…」

廃墟の町に、乾いた風が吹いていた


続く



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