【創作】2人で作ったライダースーツ【仮面ライダー】16話
組織 基地内 時雨が囚われていた部屋
藤「落ち着いた?」
藤が来た安心と緊張からの解放で腰が抜けてしまった時雨が落ち着きを取り戻す
時雨「…うん、ありがと」
藤「それじゃ、そろそろ行こうか」
藤が基地からの脱出をするために立ち上がろうとしたその時
『あー、あー、聞こえるかね? N』
基地のスピーカーから志摩の声が響いた
『君の体については調べが済んだ。タイムトラベルについてはまだ分かっていないが、もう一度君を捕らえるのも難しい』
『基地の車庫に君のバイクが置いてある。好きに出ていきたまえ。もうこの基地は放棄することになった。』
『それでは、未来の私によろしく。』
放送が切れる
時雨「今のって…」
藤「どうやら、帰れるみたいだ」
藤「正直、かなり怪しいけど、とりあえず車庫に向かおう」
二人は車庫に向かって歩き出した
組織 基地内 車庫
車庫には戦闘員が使うバイクや戦闘車両がずらっと並んでいる
藤が自分のバイクを見つけた
藤「…あった! ここに連れてこられた時に運ばれたのか…」
時雨「これで帰れるね!」
バイクに小走りで近づく時雨
藤「ッ!危ない!」
咄嗟に時雨に駆け寄る藤
時雨「えっ?」
ズガガガガガガガガガッ!!
無数の銃弾が二人を襲う
咄嗟に変身したライダーは時雨を全身で庇う。
ライダーの周りに発生する気流が銃弾の雨を退けた
射線に目を向けるライダー
周囲の煙が晴れ、目に飛び込んできたのは、
黒いボディに身を包み、自分と似た頭部を持つ男
男の両手には巨大なガトリング砲が抱えられていた
『おっとすまない、忘れていたよ。懐かしきこの時代から、未来へ帰る君へのプレゼントだ』
再び志摩の声が響く
ライダー「志摩!」
『そいつは君から取り出したチップを解析し、ハンターを再改造した作品。安直だが、「N2」、とでもしておこう』
『未来へ帰る前に後輩と遊んでやってくれ。結果を見れないのは残念だが、私も自分の身が大事でね。今度こそ本当に失礼させてもらうよ。」
放送が切れ、車庫の扉が開いた
一台の車両が発進する
車両の後部座席の窓が開いており、志摩のにやけ面が目に入った
志摩は車両から放送をしていたのだろう
ライダー「いつも自分の保身ばかりだな、志摩」
呟いて、N2に向き合う
ライダー「時雨、離れて」
時雨「うん」
時雨は大きな車両の影に隠れた
N2はガトリング砲を地面に捨て置き、空手の状態で一歩、二歩、と向かってくる
ガトリング砲に隠れて見えていなかったが、腰には風車のベルトまで付いている
かつて、Nであった自分を彷彿とさせる…
N2がベルトを操作し、風車が回る
ライダーの気流がN2のベルトに流れ込んでいく
風による防御壁は通用しないようだ
ライダーも相手に応えるように歩を進め、お互いの距離が縮んでいく
二人は徐々にスピードを上げていき、やがて、助走をつけたお互いの攻撃がぶつかりあった
N2の力はかなりのものだ
一撃でハンターとは別格の強さだと分かる
N2に表情があったなら、にやり、と笑っているだろう
N2はぶつかりあった腕をすぐに放し、姿勢を下げ、ライダーの足を掬うように蹴りを回す
ライダーは足元を取られないよう小ジャンプ、蹴りを躱す
一瞬、宙に浮き、体勢を変えられなくなったライダーにN2の両拳が叩き込まれる
ライダー「ぐふっ!」
腹に衝撃が乗り、後方に吹き飛ぶライダー
それを追うN2。吹き飛ぶライダーに追撃を加えていく
空中で何度も攻撃を食らい、最後には後頭部を鷲掴みにされ、顔面を車庫の壁に叩きつけられた
時雨「藤くん!!」
N2の凶暴さに唖然とする時雨
壁に顔をめり込ませ、その顔を支えにし、宙で静止するN2
時雨に目を向け、「次はお前だ」と言わんばかりだ
顔から手を放し、床に着地
時雨に近づいていく
時雨「…!」
言葉にならない恐怖が時雨を襲う
ライダーは両手を壁につき、壁から頭を引きはがす
剥がした勢いで反転し、空中で体を捻る
落下エネルギーを右足に込め、N2に蹴りを食わらせた
N2は咄嗟に両腕でガードをしたが、衝撃で後方に体を後ずらせる
ライダーのヘルメットに深い傷が走る
叩きけられた右側にはヒビが入っている
N2の体制が崩れた隙に、ベルトにエネルギーを溜めるライダー
そのエネルギーを両手に還元し、一発、二発、と竜巻状のエネルギー弾を投げつける
二発の弾をそれぞれ片腕で相殺するN2
爆発の煙から弾を追ってきていたライダーが現れ、お返しの顔面パンチを与えた
再び体がよろけるN2
N2の頭部 左側にもヒビが入る
ライダーはN2のベルトに風を纏った手刀を加える
が、寸前で手刀を掴むN2
手刀の周りに発生した気流がN2の両手を細かく切りつける
膝蹴りでライダーの顔面を蹴り飛ばす
ライダー「ぐっ! はぁはぁ…!」
ダメージが蓄積し、呼吸が乱れるライダー
N2の両手も立て続けに攻撃を受けつづけ、火花が散っている
ライダーが両手の指をまっすぐ伸ばす
ゆっくりと、外側に伸ばした両腕を下から肩あたりまで上げる
腕の動きに釣られ、ふわっと風が舞い上がる
その風で体を包むように左腕をベルトに沿えるように右下に、
右腕を顔の前で左上に、力強く素早く伸ばす
舞い上がった風がライダーを包み込むように吹き荒れる
N2は両の拳を握りしめ、左腕は力こぶを作るように曲げ、右腕を左の力こぶに触るように構える
両の拳はギリギリ…と力強く握られている
お互いのベルトの風車は激しく回転し、2本の竜巻が発生する
風に飛ばされないよう、車両にしがみつく時雨
時雨「す、すごい風…!」
構えを取った二人がにらみ合い、極限まで力を込める
キュピーン!とお互いのベルトから音が発し、パワー全開を告げる
二人は空中に飛び上がり、前宙
バッ!と体を広げ、右足を伸ばす
2本の右足がぶつかり合い、激しい衝撃が車庫中に広がる
ライダー「はあああああああああ!!!」
お互い譲らない蹴り合い
衝撃でヒビの入ったヘルメットが剥がれ、藤の右目が露わになる
N2のヘルメットのヒビも剥がれ、内部の機械がむき出しになる
同時に火花を散らしていた両腕も綻び始める
時雨「がんばって… がんばれ藤くん!!!」
暴風の中で聞こえた声
ライダーの中で闘志が燃え、右足にさらに力が入る
ライダー「うおおおおおおおおおお!!」
遂に、N2の右足も綻び始め、全身をライダーに突き破られた!
飛び蹴り体勢のライダーの背面で激しい爆発が起こる
N2、そして、かつてNであった自分をも乗り越えたようだった
続く
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?