おしゃべり

ある時母が施設に入っている
おばあちゃんの荷物を整理していると
古い日記が出てきたらしい

母は見てはいけないと思いつつも
数ページほど読んでみると
そこには普段口にしなかった
おばあちゃんの心情がありありと
書かれていたそうだ

『私が孫を預かって大丈夫だろうか』
『実はこの時こう思っていたが。。』

母はこの日記を読んで
心に刺さるものがあったそうだ

助産師だった私のおばあちゃん
母にとっては義母にあたり
なかなか折り合いが合わず
一緒に住んでいたが途中から
別々に暮らすようになった

一緒に住んでいた時はよく
母はおばあちゃんとお茶を飲みながら
たくさん話しをしたそうだ
(おばあちゃんの長話に付き合っていた的な)
しかし日記に書いてあるような
心の内については一切
口にしたことがなかったらしい

早くにおじいちゃんを亡くした
おばあちゃんの心の内をさらけ出し
受け止めていたのは日記にだけ
だったのだなと後になって分かった

今はもう誰のことも分からなくなり
生きるのに最低限必要な栄養
を注入し入院し続けているおばあちゃん
記憶が無くなる前にたくさんたくさん
色んなことをお話したかったな



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