小説「北の街に春風が吹く~ある町の鉄道存廃の話~」第6話-⑤
・第六話 存続協議会 その三
今日の会議にこちらから提案を行うことで、今後の話し合いに一石を投じることが出来ればと思っていた。
「こんなこと、勝手に考えて……出来るわけないじゃないか」
鉄道会社の本音とも思える声が会場で聞こえる。鉄道会社の堅い扉は容易には開かれない。さすがに自治体側からも本音と思われる声が上がり始める。
「私たちだって、無策のままの鉄道に資金援助を呑むわけにはいかない」
沿線の自治体、鉄道会社の出席者の誰もが感情的になり、相手に対して罵声があがる。