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「ジェンダーって何だ」

シェアハウスに入居してから、漫画をよく読むようになった。王道の「週刊少年ジャンプ」から始まりマガジン、サンデーと、今では主要なコミック雑誌をほとんど読んでいる。

どの作品もそれぞれに刺激とオリジナリティがあり、読んでいて惹き込まれるのだが、漫画を読んでいて時々、ふっと心がざわつく瞬間がある。

「ジェンダーって何だ」

漫画(あるいはコミック)を読んでいると、そんな疑問が浮かぶ。書店のコミックコーナーには胸の大きい、いわゆる巨乳(爆乳?)とされる少女が表紙の作品がずらりと並び、もちろん作中にも1人か2人は露出の激しい女性キャラクターが登場する。

何も、成人向けコミック誌にかぎった話ではない。少年誌と呼ばれるジャンルの週刊雑誌にも共通する傾向である。水着グラビアを一切掲載しない「週刊少年ジャンプ」でさえ、「ワンピース」はセクシーキャラのオンパレードだ。

青少年向けコミックに登場する女性キャラは大きく、以下の2つに分けられる。

・受け身で優しく保護的
・勝ち気で口が悪く、対立的

多少のバリエーションはあるものの、概ね上記のいずれかにカテゴライズできるだろう。

そして、上記2つのカテゴリには「最終的には主人公(男)を受け入れる」という大きな共通点がある。

つまり、青少年向けコミックの女性キャラは原則として男子の理想を具現化する存在として描かれており、それ以上の役割を与えられていないのだ。

日本的コミックを象徴する作品がある。

「からかい上手の高木さん」だ。

コミック誌での連載から人気となり、2023年には永野芽郁主演で映画化された。

ファンの間では人気作品のようだが、私にとっては気持ち悪い作品でしかない。

女性はいつも男子に寄り添う存在で、表面上は嫌っているようでも最終的には母性的な優しさで受け入れてくれる……。

これこそまさに「マザコン的キャラ造形」ではないか。

私は決して、そうした作品を頭ごなしに否定しているわけではない。私自身、「ワンピース」は本誌で毎週欠かさずチェックしているし、マザコン的女性キャラが主流である以上、それを拒否してしまってはほとんどのコミックを楽しめなくなってしまう。

露出が激しく、いつも優しく寄り添ってくれるヒロインには、正直に言って私も憧れる。

ただ、これほどまでに「ジェンダー」の重要性が叫ばれる中で、「一体どっちに行きたいんだ?」と思ってしまうのも事実である。

売れるから、読者に求められているからとコミック業界のみが治外法権であっていいのか。

あるいは、これも1つの多様性であると受け入れるしかないのだろうか……。

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