【W杯】日本代表は、優勝を目標にするべきだったのか
カタールで行われたサッカーW杯、日本代表は大会前の予想を覆し、ドイツ、スペインを破って死の組と言われたグループを首位で通過。惜しくもクロアチアに敗れベスト16に終わり、目標にしていたベスト8にはあと一歩届かなかった。
今回問題にされているのは、目標をベスト8ではなく優勝に設定していたらもっと高いステージへ行けたのではないかという問いである。
ある人が言うには、
「優勝を目標にして戦うチームにベスト8を目標にするチームが勝てるわけない」
「わざわざ自分から低い目標設定にする意味が分からない」
「低い目標設定にすることでその程度の実力しかないという自己暗示にかかってしまうのでは」
というような意見である。
私はこれに真っ向から反対したいと思う。
私から言わせれば、サッカーを知らない人の意見であり、世界を知らない人の意見だと言わざるを得ないからだ。
なぜ日本代表がベスト8を目標にするかと言えば、強豪国にとっての優勝と同じくらい日本にとってはベスト8の難易度が高いからだ。決して低い目標設定ではないのである。
その証拠に今大会あわせて過去4度挑戦しているが、未だその壁を破れていない。
そして、選手や監督がベスト4や優勝を目指していないわけでもない。選手は目の前の試合に勝つ為に最高の準備をしていたし、ベスト8を超えないとベスト4も優勝もないことを誰よりも分かっているだけだ。
ちなみに、2010年の岡田ジャパンは選手に「本気でベスト4を目指さないか」と言いチームを結束させ、結果はPK戦の末ベスト16に終わった。
2014年のザックジャパンは、本田圭佑選手が優勝を公言していたがグループステージで1勝も出来ずに大会を去っている。
この結果が何を示しているかと言えば、W杯は目標設定云々で勝てるほど甘い舞台では無いという事だ。
こうした現実を顧みても優勝を目標に設定しろと言うのか聞いてみたい。目標を優勝に設定したら選手の能力が向上するのか。実際の実力差を見せられた時に、選手が現実に打ちのめされチームに対する信頼を失くしバラバラになりはしないか。
また、どんな大会でも一辺倒に優勝を目標設定していたら、もはやそんな目標設定に価値はないだろう。
実際、W杯に出場したことがない国は出場することが目標だし、得点したことない国は得点することが目標、勝ったことがない国は1勝を挙げることが目標なのだ。今大会のカタールやカナダがそうであるように。
だからもうこうしたよく考えたら分かるような薄っぺらい意見を言うのはやめて欲しいものだ。
サッカーを心から愛する私としては、こうした意見はW杯に対する嘲笑や侮辱にも聴こえて大変不愉快だし、サッカーを知らない評論家が特に言うことが無かったためにサッカー知識がなくても評論出来そうな所を見つけてつついているようにしか見えない。
そんな単純な目標設定で勝てるのであれば、選手は多大な犠牲を払ってサッカーをしたりはしない。金や実力や名声、一般の人が羨むであろうあらゆるものを手中に収めたスター選手が試合に負けて涙を流すこともない。
選手個人が優勝を目標にするのは、努力してる張本人だからいい。むしろ優勝を目標にしてくれた方が応援する立場の私としても嬉しい。
只、仮にベスト8を目標にしていたからって結果が出なかった時にそれを非難したり、根拠のない自分勝手な主観を基にした「優勝を目標にしないと勝てない論」をぶち上げ、それを選手やチームに投げつけるのは本当にやめてもらいたい。
しかしだからといって私は日本代表が優勝しなくていいと言っているわけではない。
結果が出たら最高だ。だが、W杯という4年に一度の最高の舞台で、国を背負って精一杯戦ってくれている、私からしたらそれだけで十分なのであり、そこに程度の低い評論が入り込む余地など毛頭ないのである。
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