期待してもいいですか

『一人で生きていくつもりはないよ』

最近暑くなってきたので衣替えをしました。
あいつは片付けが大の苦手なので、この手の作業はとっても嫌がる。

夏服がまとめて入った袋をそのままにしておいていいほど広い部屋ではないため、しかたなく私が片付けはじめる。

この家は私がいなかったら今頃きったない汚部屋になっていただろう。私という存在に感謝しろ、という皮肉をこめて

『うちがいなかったら一人で生きてけないね』

というと

『一人で生きていく気はないよ』

とニヤリとした顔であいつは言った。

『何？それってプロポーズ？笑』

ニヤニヤしながらあいつはまた携帯に視線を戻した。

ついこの間まで俺たちはまだいいよね、って言っていたくせに、最近は子供ができたら〇〇を習わせたいね、何人子供欲しいね、結婚式呼ばれたらオーダースーツ作りたいんだ

なんて“結婚”という文字をちらつかせた話題をよく振ってくる。

基本わたしの人生観として期待すると裏切られた時にダメージが大きいので、人に期待はしないようにしているのだが、、

ちょっとだけ期待してしまっている私がここにひとり。