田舎は嫌い 女はどんな人間でも同列で ちょっと違うことをやるとすぐにいじめられて 何かというと、嫁とか本家とか 序列を作ってマウントがとんできて 何か気に触ると色々言い募られた挙句に 子供までアウト 地域で嫌な噂まで立てられて あなたと生きるために ここに来たけど もうダメ ここはついていけない この地域についていけない ここで生きるために残り全てを耐え忍ぶなんて 無理 洗礼とか、私も前はそうだったとか 正当化される暴力って何? 誰だってわかる 誰だって私の立場ならおかしく
カーテンの隙間から 世の中の良いものを期待させるような キラキラした白い光 早く気づかなければいけなかった ここはそういうところ ほんとうは、そうじゃないのに 本当に 早く、早く、早く 何をやっているの? 遠くに、遠くに 高い声で笑う誰か 黒々とした監獄の扉を握りしめ 出られない 動けない 息が息が 圧倒する何か 静かにケシズミから煙が立ち昇り 充満する死
ホテルには、4のつく番号がない。よくある話で、死を忌み嫌う風習から由来するんだよな。その日泊まったホテルもそうだった。渡されたキーは、313。次の部屋は315。エレベーターを降りて、館内表示に従ってその部屋に向かい、鍵を回してドアを押したそのとき。 いらっしゃいませ。お酒とお茶のどちらがよろしいでしょうか。 にこにこ笑いながら聞いてきた奴がいた。白い浴衣の着流し姿。背が相当高くて、黒い髪が足元までたっぷりと波打っている。途中三つ編みにして、まとめようとしたみたいな塊があっ
彼女の頬を撫ぜるように赤っぽい髪の先が滑り降りていくのを、僕はぼんやりと眺めていた。その向こうに、古びた窓枠に収まったやや曇りがかった硝子を通して、するりと横切って行く白い花びらが見えた。穏やかな愛すべき時間を、僕は彼女と構成していた。 何を考えているの? 黙り込んでいると彼女は言った。 照れちゃうよ、そんなに見つめられたら。 ごめん。 僕は気づかないうちに、いつの間にか彼女の顔をじっと見つめていたらしい。視線を逸らした先に、青いヒヤシンスの水栽培ポットがあった。薄い青の透
あの人はおかしい この人は嫌い あの部屋の人はちょっといい でも、その人はちょっと 今日は新しい職場の1日目で、人生何度目かの極度の緊張に晒されている私の近くで交わされるお喋りを聞いていた。 私のことを言われている訳じゃないのは、わかっているけど、いつもこの手の会話は勘弁してほしいし、混ざりたくない。 なんでそんなに人のことを気にする? 人を悪く言うことで、集団の中で相手のことを貶め、自分を相対的に良く見せる効果が、悪口にはありますって、先生が言っていた。そうだなあと
気づいたら、僕はそこにいて、クリーム色の手すりを触ってその下を見ていた。空が紫がかって、街のネオンが瞬いているのを他人事のように感じながら、闇に紛れ込もうと必死になっていた。何もない自分は何も無くなってしまうことで、自分の意味を確かめようとしている。僕が今いることの絶望みたいなものに十分に満たされて、身体の重さに押しつぶされそうになり ながら、手すりを掴む。 うふふ 白いものが、手すりにまとわりついているのは気づいていた。ただ、誰かそこにいたとしても意味を持たない。もう僕
がんばれと 励ましてくれる人もきっと 毎日辛い思いをしていて 休んでもいいんだ あなたの笑顔が見たい 生きて 一緒に笑おう
きっと奴らは、私が当然落ち込んで死んじゃうんじゃないかと思っていたようです 自分たちは何の罪もないと思っている無責任な人たちのために死ぬ必要がどこにあるのか、この私の命を必要ないと思わなければならないのか、普通に考えたら、何もないけど それでも、心無い言葉がありとあらゆる人から吐き出されるなか、普通ならどこかから飛び降りて木っ端微塵になってしまおうと思ってしまうのは間違いないのです 知らない人すら、私を非難する 会ったことも話したこともない人が、 私を知っていると言う 嫌な
おだやかな 洗濯、掃除、ごはん 片付け、 加湿器の水汲み 子供と話す 笑う 話を聞く 笑う おだやかな 時間