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SNSはもう踊れない

中国のインターネット企業・字節跳動バイトダンスが運営するTikTokは、それ以前のどんなソーシャルメディア・アプリよりも速いペースで、10億件のダウンロードに達した。
ここまでの成功に導いたのが、同社によるアルゴリズム(「いいね」や「リプライ」などユーザー行動データに基づいて、どのようにコンテンツを配信するかを決定するルール)の駆使だ。
アルゴリズムに基づき次々と表示されるユーザー作成のコンテンツが、画面を見つめる人々をくぎ付けにした。

字節跳動バイトダンス傘下のティックトック社によれば、米国のTikTokユーザー数は1億7,000万人に上る。さらに全世界では、10億人を超える規模となる。
シリコンバレーのライバル企業がその成功を模倣したいと考える一方で、米国の政治家は、中国政府が偽情報を拡散させるツールとして利用することを懸念している。
バイデン政権は2023年3月、バイトダンスが持ち分を売却しない限りTikTokの利用を禁止すると強硬姿勢を示した。

バイデン大統領は2021年の段階において、中国のTikTok(動画共有アプリ)と微信ウィーチャット(メッセージアプリ)の米国内での使用を禁止したドナルド・トランプ前政権の大統領令を取り消していて、今回は大きな方針転換となる。
中国との深い関係性が噂されるバイデン大統領においても、TikTokを脅威と見なさざるを得なくなっているのか。

バイトダンス社は売却の意思がないことを明確にしている。TikTokの経営陣は、米議会で禁止法案が可決された場合には、法廷で争う方針を従業員に伝えた。
TikTokは米国で訴訟になっても、勝てる見込みがあると考えている。1億7,000万人の米国人を強制的にプラットフォームから排除することは、憲法修正第1条に定められた言論の自由の権利を奪うことになると主張する構えだ。これは米国の司法制度において、強力なアプローチとなる。

しかし、TikTokを標的にしているのは米議会だけではない。

欧州連合(EU)当局も、最近フランスとスペインでサービスが始まった「Tiktok Lite」と呼ばれる短編動画投稿アプリ簡易版のポイント制度について、中毒性のリスクがあるなどとして、欧州委員会にリスク評価を提出するよう迫った。

Tiktokが対応しなければ、巨額の制裁金を科す構えもみせている。
制裁金は全世界の年間売上高1%に相当する額を一括で、または1日当たり平均売上高の最大5%相当額を数回支払う必要がある。
欧州連合(EU)はまた、安全性が完全に評価されるまで「Tiktok Lite」のポイント制度停止を命じる計画だと明らかにしている。

欧州委のブルトン委員(域内市場担当)はX(Twitter)への投稿で、「Tiktok Liteのサービスは、特に子供への中毒性があるのではないかと欧州委は考えている」と表明。
「Tiktokが安全性について納得のいく証明を提示しない限り、「Tiktok Lite」の『報酬プログラム』停止を含む暫定措置を課す用意がある。「これまでのところ、Tiktokは安全を証明できていない」と続けた。

米下院は3月13日の本会議で、Tiktokの米国内での利用禁止を可能にする法案を賛成352、反対65の圧倒的多数で可決し、今後は上院で審議されることになった。
バイトダンスは共産党の管理下にあるとし、同社に米国事業を切り離して非中国企業に売却することを要求。これに応じなければ、同アプリの米国内での配信を禁じるなどとしている。

面白い(?)のは共和党のトランプ前大統領。
Tiktokを禁止すれば、米IT大手メタが運営するFacebookを利することになるとして、法案に反対し始める。
在任中、対中包囲網強化の一環としてTiktok排除を目指していたが、立場を大幅に転換させた形だ。

おかしな話のようでつじつまが合うのは、ザッカーバーグCEOもまた中国べったりの人物で、前回の大統領選で自らのSNSを駆使し、トランプさんを徹底的に攻撃した”前科”を持つ。
トランプさんからすればTiktokとFacebook、毒には毒をもって制すというところか。

なんだかんだ言ってアメリカも、すっかり中国に浸食されてしまったなぁ。
その上で日本の現状を見れば、お花畑はそのままに、なお一層狂い咲きといった感もあるがどうしたもんだろう。

明日に続く

イラスト hanami🛸|ω・)و

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