見出し画像

清水の春は清見(はるみ)から

第1回「清水いはらマルシェ」が終了した。
自分ではそんなに深刻に捉えていないつもりでも、やってみるまでは不安だったらしい。ここ2~3日、夢で疑似体験を繰り返した。悪夢までならなかったのは不幸中(?)の幸いである。

頭の中でいくら組み立てようと、実践の場はまるで違う。
出店者による7時からの搬入と準備、それで8時オープンで間に合うのか。
搬入時、場内に車両が殺到し、トラブルにはならないか。
(車による)来場者はどれくらいあるのか。構内に入りきらない場合、外の交通整理をどうすればいいか。
スタッフは足りるのか(前日夜、体調不良から2名欠員)。
考えても今さら仕方ないのだが、気になったままでいる。

当日朝。6時半を過ぎるころから、ぼちぼち出店者がやってくる。屋内への車両入場を許可し、荷物を下ろし次第、速やかな移動を要請する。

前もって下見に来ていた蒲原かんばらの塩辛屋さんは、社長でもある息子が山梨に出店のため、急きょ母親が駆り出される。
女性の年齢を当てる自信はないが、どう見ても80歳は超えていて、むしろ90に近いんじゃいないかという小柄なお婆ちゃんである。助っ人についてきたお母さんも同世代で、会話ひとつするたび、何かと不安が増していく。
出入りがいちばんラクそうな場所を選んだが、折りたたみの机(古くて脚がガタガタしている)を拡げる動作からして、大丈夫なんだろうかと気がかりでならない。机も人も。

生産者の関係では、地元清見はるみが目玉になる。
完熟するまで樹上じゅじょうでならし、大きなツブツブにたっぷり含まれた果汁が特徴だ。全国で栽培されている清見とは、格段に味が違うらしい。
1999年、清水の柑橘試験場で、清見オレンジにポンカンを掛け合わせてできた高級柑橘かんきつで、市場にでればそれなりの価格になる。
それが一袋500円で売られているのだから、知っている人ならまとめ買いしても不思議じゃない。この時期だけの、清水のウリである。

100年を超える樽に、昔ながらの製法で作られた味噌。
地元中学校に通う歴代の子供たちから愛され続ける唐揚げ弁当。
天然がもめ昆布を原料にした「長寿昆布」を、50年来手作りで製造し続ける老舗しにせ店。
あら汁がウリのマグロ屋さん(マジうまい)。
お客さんが自ら製作を体験できるレザー小物のお店。
バランスボールを使ったエクササイズが体験できるヤングママの教室。

もちろん、露店でおなじみのたい焼き・たこ焼き・鶏の炭火焼・豚バラ網焼き、富士宮焼きそばや厚焼き玉子の実演販売、自家焙煎のコーヒー店など、中に外にのきを連ねている。

正直、事前にはどんなマルシェになるのかイメージが湧かず、キャンセルやら急な申し込みやらも続いたし、不安がなかったわけじゃない。
案ずるより産むがやすしとは言ったもので、ふたを開けてみるととてもバランスのとれた市場が現出した。

心配された搬入車両だが、測ったように時間差で出店者がやってきて、大した混乱もなく所定の位置で準備が進んでいく。
時間を守らず開始直前に着いたところも多少あったが、その場の配置転換で何とかなった。

いよいよ8時10分前、あとはお客さんを待つのみである。
って、準備終わらんうちからお客さん、どんどん場内に入って来とるやないかい。

イラスト hanami🛸|ω・)و

この記事が参加している募集

ふるさとを語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?