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書評:藤田直哉『新海誠論』と古代

 藤田直哉『新海誠論』というそのものズバリの本が出版されていた。昨年出た榎本正樹の書籍が新海誠の映画の細部に分け入り準拠作品との丁寧な比較をおこなって新海誠を論じていたので、期待をして開いてみたが榎本の著書や同時期に出た土居伸彰の新書に比べて議論が雑だなと思ったのでメモ程度に批判的書評を記す。これは藤田に限らず、新海誠を論じる際の民俗学的モチーフや考古学的モチーフに対する安易な引用への危惧からでもある。新海誠はある時から神話や古典、民俗学をモチーフにしており、そうした方面から

    • すずめの戸締まりとナショナルなもの

       新海誠監督の「すずめの戸締まり」を見て民俗学っぽいという感想が多く散見されている気がする。それは「君の名は。」や「天気の子」が公開された時も同様であった。「言の葉の庭」以前から新海誠は古典作品の引用をおこなってはいるが、「君の名は。」にはじまる三部作ではより具体的に民俗学的なスピリチュアル要素を押し出して描くようになっていった。では、そうした描写は新海映画にとってどのような意味を持っているのかということを「すずめの戸締まり」の感想を交えながら備忘録的にメモしていく。  「