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【エッセイ】社会人が独学でギターをはじめてみた


私には趣味らしい趣味がない。休日は予定があると憂鬱になる程度の出不精であるし、読書や映画鑑賞などの自宅で過ごす際の趣味の代表のようなことはかつては好きであったのだが、最近はそれによる感情の起伏のようなものに疲れてしまうようになり、敬遠しがちである。映像作品ではドキュメンタリーを好み、読書をする際にはエッセイを選んでいるが、センセーショナルな出来事が題材のものは手に取らない。


絵を描くこともするがもっぱら、模写しかしないため、模写したいとの意欲を持つ写真や絵画に出会うまで筆が重い。更に言うならば、そのような作品を積極的に探しにいくことも億劫に感じてしまう。

特段秀でたことなど何もなく、またその努力もしないまま、ただ惰性でスマホを弄り、ゲームアプリなどをして時間を過ごす有意義とは程遠い時間の過ごし方が常だ。


そんな私が唐突に思い立ってギターをはじめてみることにした。

もともと音楽に対する憧れはあった。だが、中学校での音楽の成績は万年3であったし、(5段階評価である)それ以降は、テレビやyoutubeで流れる曲を聴くのみである。縁など全くない。


はじめるきっかけになったのは、ゲームアプリのキャラクターがギターを弾いていたなどという些細な理由からだ。ふと思いつくままにギターの種類について調べ、御茶ノ水の楽器店に飛び込んだ。


三日坊主になることのままある私はアマゾンや量販店(今は3coinsでも販売しているらしい)などで低価格のを購入するというのが常であったはずが、何を思ったのであろうか専門店を訪れたのである。


学生時代に通っていたこともあり、楽器を買うのであればと迷うことなく御茶ノ水へ向かった。

お目当てはアコースティックギターである。いくらかある種類の中から、アコースティックギターを選んだのは、最初に揃える物が少ないという点と、見た目が好きだからという2点だった。


事前にお店について調べもせずに来た私は、アコースティックギター専門との看板に、駅からすぐにある「クロサワ楽器 御茶ノ水店前店」へ飛び込んだ。専門店なら色々ご説明頂けるだろうという安易な考えである。

そこでそのまま、「Martin&Co. DJR-10E-02」を購入してしまった。ご存知の方もいるであろうが、三日坊主の可能性がある人間が買うにはなかなかに良い価格のものだ。当初は1万円程度の低価格のものを買うはずが、音を聴き比べていたら、どうしてもその音を自分でも奏でたくなってしまったのだ。因みに勿論ギターを奏でる知識などないため、親切な店員の方に弾いて頂いた。

付属のギターケースを背負い、帰宅するときの高揚感は久しく感じていなかったもので、どうやら私は形から入る性質だったのだと後で気がついた。 

ギターを購入したはいいが、学び方についてはノープランであった。教室に通うのが上達への近道なのは理解していたが、あまりお金も使いたくない。何より移動が面倒である。


そこで、お得意のスマホを弄り、アマゾンで評価の高い入門書を購入することにした。本屋で読み比べようかとも考えたが、御茶ノ水の丸善にはギターの入門書の取り扱いがなかったのである。

こうして、漸くギターで音を出すという段階にだどりついたのである。


毎日少しずつでもギターに触ることを目標に、入門書を開いた。そして、いきなりチューニングで躓いた。楽器店でおまけでもらったチューナーを使っていたのだが、こちとら音楽初心者である。ドレミはわかっても、ABCなど初見なのだ。ギターを置いてスマホで検索し、そのまま1日の練習が終わるなんてことがざらにあった。そうして、そのままギターに碌に触らないまま、なんていう日が増えていった。


ギターに触らなくても、スマホでギターの弾き方やギターグッズを検索していると、不思議とギターを弾いたような気分になってしまったのである。こうなるとなかなかどうしてギターを取り出すのが億劫になる。そのくせ、一丁前にギターに触れている気分でいるのだ。上達などするはずもない。そんな日々を気がつけば4ヶ月も過ごしていた。


ただ、その間に大きな変化があった。住環境が変わったのだ。要は引っ越しをしていた。

荷物の整理も済み、漸く落ち着いた今、気分も新たにギターを触ることにした。4ヶ月前は毎日1時間練習時間をとるとの目標設定をしていたが、三日坊主の私である。その設定には無理があった。


目標を改め、1日10分ギターを練習することにした。因みにその10分にはチューニングを含めている。先程チューニングで躓いたと書いたばかりだが、メルカリで1800円で譲って頂いたチューナが使いやすく、私でもなんとかチューニングと練習を短時間ながらすることができている。4ヶ月間のネット検索の数少ない成果である。

今のところ半月続いているが、特段上達したという感覚はない。考えてみれば、楽器のような難解な代物がそんなにすぐ目に見えた成果などでるはずがない。ましてや練習時間は1日10分である。

だが、youtuberの方々が初心者向け動画でよく仰っている「指が痛くなる」という症状がでてきた。どうやら、漸くスタートラインに立ったのだろう。これから私のギターが上達するのか、永遠の初心者なのか分からないが、上達を目指して続けていこうとおもう。つらつらと書いていたこの文も一定の何が出た時にまた続きを書きたいとおもう。

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