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溶けないアイスクリーム - 稲荷餅屋荒巻商店の葛アイスキャンディ。別府そぞろ歩き。27歩目。
和菓子?洋菓子?
「甘いものだと和菓子と洋菓子どっちが好きですか?」。
スイーツ好きの証であるこの質問には、決まって笑顔でこう答える。
「和菓子派です」。
パフェやケーキの写真をSNSに頻繁に投稿するせいか、洋菓子好きと勘違いされることも多い。
しかし、私は幼少からの和菓子派である。
幼い頃から祖母の家にあった和菓子を食べてきて、その繊細な甘さと奥深い味わいに魅了されてきた。
洋菓子の甘ったるさは、幼い私には刺激が強すぎた。
老舗の和菓子店
そんな和菓子好きにはたまらない、別府市南部地区の松原町にある和菓子店「稲荷餅屋荒巻商店」。
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松原公園の目の前に佇む老舗のこのお店は、どこか懐かしさを感じさせる外観で、訪れる者を優しく迎え入れてくれる。
店内に入ると、目に飛び込んでくるのは美しい和菓子が並ぶショーケース。
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決して広くはない店内だが、その限られた空間には、お団子、おはぎ、お饅頭、どら焼き、そして大分の郷土菓子である石垣餅など、様々な和菓子がぎっしりと詰め込まれている。
まるで宝石箱のようなショーケースを前に、どの和菓子も美味しそうで思わず足が止まってしまう。
その中の石垣餅は和菓子屋のお菓子というよりは家庭のおやつのイメージだ。
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【石垣餅】
大分県の台地は、かつて米づくりには不向きな土地だった。
しかし、水路が整備されると、小麦をはじめとする穀物栽培が盛んになり、昭和20年代には4万haを超える広大な麦畑が広がっていたという。
そんな小麦文化から生まれたのが「石垣餅」だ。
農作業の合間に作られた素朴なおやつで、その名の通り、石垣のようにゴツゴツとした形をしている。
材料は小麦粉とさつまいもだけとシンプルで、素朴ながらも噛み応えのある生地が特徴だ。
地域によって呼び名も異なり、「きりこみもち」や「こねこみもち」など、その土地ならではの呼び方が親しまれている。
私にとって石垣餅は、子供の頃に祖母が作ってくれた懐かしい味だ。当時は石垣餅なんて名前では呼ばれていなかったが、お芋の入った甘いまんじゅうは、いつも心待ちにしていた。
一口頬張ると、優しい甘さとともに、祖母の温かい笑顔が目に浮かぶ。石垣餅は、大分っ子の原風景と言えるだろう。
私はふと懐かしい思い出に浸っていました。
しかし、今回の目的は、ショーケース内の美味しそうな和菓子達ではなく、目の前の誘惑に負けず、しっかりと意志を貫かなければならない。
【溶けないアイス】
今回の目的は「溶けないアイス」という謳い文句の「葛アイスキャンディー」だ。
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莓ミルク、みかん、パイン、フランボワーズ、ピーチ、マンゴー、ぶどう、ラムネ、コーヒーミルク、あずきミルク、抹茶ミルク、フルーツミルクなどのメニューが並び、どれも美味しそうで迷ってしまうが、
私の視線は一際目を引くポップに釘付けになる。
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「期間限定 メロン」の文字が輝いている。
期間限定という言葉に弱い私は、迷うことなくメロン味を選ぶ。
手にしたアイスは、ひんやりと冷たく、まるで宝石のように輝いて見える。
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一口食べると、普通のアイスとは全く違う食感だ。
もっちりとした弾力と、シャリシャリとした歯ごたえが絶妙に混ざり合い、今まで味わったことのないような感覚が口の中に広がる。
溶けないアイスというだけあって、時間をかけてゆっくりと味わうことができる。
一口食べるごとに、初夏の暑さも忘れさせてくれるような、爽やかな甘みが広がっていく。
葛アイスキャンディーを片手に、私は再び商店街を歩き出す。
一歩一歩、ゆっくりと歩きながら、初夏の陽射し、風の音、そして口の中に広がるメロンの甘みを味わう。
この瞬間が、永遠に続くような気がした。
【稲荷餅屋荒巻商店】
◻️住所
大分県別府市松原町1-15
◻️営業時間
7:00〜18:00
◻️定休日
水曜
◻️電話番号
0977-23-2534
◻️駐車場
なし
界 別府の葛アイスバー
「稲荷餅屋荒巻商店」のオリジナルの半分ほどの小ぶりなサイズは、夜のお散歩にぴったり。一口頬張ると、夏の暑さを忘れさせてくれるような、優しい葛の風味が口いっぱいに広がります。
季節ごとに表情を変えるフレーバーは、まるで別府の移ろいゆく景色を映しているよう。
初夏には爽やかな柑橘系、秋にはほっこりとした栗など、その時々で訪れる別府の夜を彩ります。
数量限定のため、夜の催しの時間帯にしか味わえない特別な一品です。
大切な人と分かち合えば、別府の夜はより一層思い出深いものとなるでしょう。
界 別府でしか味わえない、葛アイスバーの淡い甘み。夏の思い出に、ぜひお試しください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
また次の記事でお会いしましょう。
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