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11月、ロシアは戦車を修理できるのか?

11月7日 露軍事専門メディア(7,871 文字)
なぜ、ГАБТУ(装甲車両総局)は車両の修理をしたがらないのか?
ГАБТУ:露連邦軍が使用する、ほぼすべての戦車とその他の戦闘車両の車両番号割り当てを行い、管理する部門

ほんの少し前まで、機材の修理が整い、潰れたはずの工場が復活し、我が軍を助けると大いに盛り上がっていたが、今はどうなっているのだろうか?

修理工場は、ハンマーは動かないが、動いている

何でも期待通りでバラ色というわけではない
ГАБТУのトップ、シェスタコフ少将が会議を開き、我々が喜んでから1ヵ月が経とうとしている
そして、工場の代表者たちから、希望の亡霊のようなアピールが編集部に殺到している
バタイスク、ブリャンスク、モスクワの企業を守るために、私は発言しなければならない
これは良心を賭けることになる
市民の良心の問題なのだ

会議について、話を戻します
露国防省主機甲車両部長のシェスタコフ少将が招集した会議には、軍当局の代表者やさまざまな階級の業界関係者が出席しました
署名されている書類について、その内容を順を追って説明します
一つ一つ見ていくと、物事が思うように楽観的に進んでいるようには見えないからです
以下はその資料です


それでは、一つずつ見ていきましょう

「1.企業主と会議参加者の意見に留意すること。」

これは誰も拘束されないので簡単にできますよね?
この点は問題ないと考えていいでしょう

「2.露国防省の 1266、464、338、688 軍事代表の首長は、株式会社9ЦАРЗ(第9中央自動車修理工場)、株式会社172ЦАРЗ(第172中央自動車修理工場)、有限会社『УК』114修理工場、有限会社Спецтехника、 の修理企業の現在の状況と財政状況、および命令の履行と準備について、ГАБТУに報告書を提出するものとします
期限 2022年10月12日まで」

これだけで、すでに全てが疑問視されています
理由は二つあります
第一に、軍の代表者はГАБТУに工場の現状を報告することができません
工場が稼働していなければ、代表者にできることは何もないという単純な理由です
そして、第9工場と第172工場には、5年以上前から代表がいないのです
重要な質問:存在しない代表が工場について何を報告するのですか?
そしてさらに、誰が軍の代表に財務状況の情報を提供するのでしょうか
破産管財人でしょうか?
破産管財人がいれば、彼らはもちろん、軍の代表者に工場の情報を急いで全て提供するでしょう
多分、 問題は、破産管財人は国防省とは一切関係ないことです
そして、破産管財人にはГАБТУのトップの命令さえ、実行する責任は全くありません
彼らには、独自の仕事があります
もちろん、特に露軍や国全体にとって必要な事柄については別ですが、管財人の仕事は資本主義の世界であり、個人的事情は無関係で、あくまでもビジネスです
全てにおいて、この条項は達成できないでしょう


「3.同4社は、企業の現状と財務状況、国家防衛命令を遂行するための企業の準備期間、修理できる機器の名称と数量に関する見積をГАБТУと露国防相国家防衛秩序確保部(ДОГОЗ МО)に報告すること
期限 2022年10月12日まで」

言うまでもなく、工場の資産を接収し、売却する役割を担う破産管財人には、ГАБТУにもДОГОЗにもデータを提供する義務はありません
それに、工場資産を売却するために任命される有能な管理者に、破壊される企業の能力、特に修理できる兵器の名称、どんな兵器を修理できるかについて、現実的かつ適切な評価を下すことができるとは考えにくいです
そんなのバカバカしいじゃないですか
オークションのセールスマンは
「工場は以前と同じように機械を修理することができますよ」 としか報告しないでしょう?

「4.Rostec(露で一次元請になる国営軍需産業企業)と有限会社РТ-Капитал (不良債権処理会社)は、9ЦАРЗと172ЦАРЗ の生産設備、搬入機器、人員を保持し、防衛命令を履行できる安定した財務・経済状況の企業に迅速に譲渡する方法を検討すること
提案書は、ГАБТУと露連邦産業貿易省に提出すること
期限 2022年10月12日まで」

私の知る限りでは、RT-Capitalは(控えめに言っても)ずいぶん昔から、何もできることは無いと回答しています
原則的に、全て筋が通っています
実際、私も過去の記事で予想していたことです
だから、事態を好転させるために、回りくどいやり方で、わずかな借金のために工場を撤退させ、倒産させたのですよね
当然ながら、Rostecの代表も、РТ-Капитал の代表も、「細部の演出」には指一本参加しない
彼らはГАБТУに何も提供しないし、露国防省も、はっきり言って、Rostecには期待してないのです
しかし、それについては後で詳しく話そう

ただ、わずかながらポジティブな点もあります
露には愛国的な人々がいて、彼らにとって、お金を稼ぐことは人生の目的ではないのです
9ЦАРЗのサラトフ工場のためにサラトフの政治、経済人たちが皆立ちあがり、サラトフ州出身である国家議会議長ヴャチェスラフ・ヴォロディンに直談判したのです
情報筋によれば、ヴォロディンはエンゲルス工場についてロステック社のチェメゾフ社長と話し合ったそうです
その結果を待ちたいと思います

「5.同4社は、生産再開のための措置を講じること
生産能力を増強するため、国家防衛命令を履行している企業と共同納入契約を締結するよう、業務を整理すること
6.ДОГОЗ МО は、確実に、露国防省に有限会社『УК』114修理工場の代表権を割り当てること
期限 2022年10月20日まで」

一般的に、5条のポイントは、防衛命令の負担はあるが、財務・生産状況は通常通りという条件で、再稼働する工場を引き継いでくれる会社を探すことでした
当然ながら、露にバカはいないし、いても少数です
ですから、ДОГОЗ МОの頼みを快く引き受けてくれる人は見つからなかったのです
ちなみに、期待は高かったようです
防衛命令というのは、まともな経営者なら自発的に行うことは無いものです

「7.企業の能力と需要に基づいて、同4社で修理する軍事機器とその数量を決定すること
期限 2022年10月20日まで」

これまで指摘した問題点により、実施されていません

「8.ГАБТУとДОГОЗは同4社の武器、軍事機器、装甲車の装備の修理に関する国家契約を結ぶ組織の需要と能力に基づき、企業の準備と防衛命令について提案を準備し、説明する
期限の定め無し」

実現できていない理由は、おそらく、貴方にも理解してもらえるでしょう
そもそも、変な言い方ですが、ГАБТУの役人たちは興味が無いのです
シェスタコフ少将が、どういうわけでこの会議を招集したのかとても理解できないが、その一方で、彼の部下たちは、工場を蘇生させるという仕事について、最悪の悪夢を見ているでしょう

本当に必要なのは、技術的な仕事がどこでどのように行われているかを理解することなのです
しかし、実態はそのような感じで、誰も修理にまったく興味がないのです
理由はいくつかあるが、その筆頭は報告書の記載の仕方です
ウェブサイトやレポートの
「...軍は82.3%の新型ハードウェアを受け取った」
という美しい数字で、オーバーホールしたハードウェアの事が分かるわけがありません
オーバーホールは、ゼロから新車を作るよりさらに高額になることだってあるのです
「分解-診断-置換-再組立」の工程をもっと増やしてほしい、それは理解できる
しかし、新車製造の作業費用がオーバーホール費用の半分であることも、よくあることです

採算が合わない?そんなことはない!

例えば、ウラルのミアス工場は、カラシと同じように飾り気は無いが信頼性の高いトラックを作っています
現在、露国防省のトップには、国家防衛の一環として装備品のオーバーホールは製造業者でも受注できるという意見があります
理論的にはそうです
しかし、実際には、工場はサプライチェーンの中で「組み立て」ているため、非常に難しいのです 「分解-再組立-再組立」とは違うのです
工場の通常の製造工程を混乱させるようなことがたくさん起こります
その結果、古いトラックをオーバーホールするよりも、新しいウラルのトラックを作る方が簡単なのです
これでは選択肢の一つになりそうですが、ニュアンスが違いますね
実際、工場の組み立て能力は有限です
例えば月に100台…
(注:この箇所は何度読んでもよく分からなかったので省略します。おそらく、生産台数以上に前線で損失が出ていると言いたいのではないだろうか。公式発表に矛盾することになるため、極度に破綻した文章になったのだと思われる。)
だから、オーバーホールをしなければならないのです

そして、私たちの場合、それをどうするのでしょうか?
国境から270km離れたヴォロネジ工場で修理する?
いや、600kmもあるサラトフまで運ぶ?
いやいや、簡単でしょ!?
ボロボロになったトラックを、たった2,000キロメートル先の製造工場まで運ぶだけです
それが簡単なのは、贅沢なロジスティクスと最新鋭の鉄道機材があればこそです
そうですね、戦車ならニジニ・タギルの工場があります…まだ、近い(ウクライナ国境から直線距離で2,000km)
クルガンにも、軽装甲車の生産工場が設置される予定です(ウクライナ国境から直線距離で1,500km)
そして、BMP(兵員輸送車両)を修理のために戦場から3,000kmの道のりを運搬することになるのです
ベルゴロドから計算するとほぼ3,000です
かつてソ連では、極東から国を横断して運んだストレラ10SAMを、リュベルツィーや地元の農機具工場、モスクワのトーチマーシュ工場で修理するという、そんなドタバタもやってました
しかし、そこは生き方の違う国、ソ連です
余裕があったのでしょう

戦争が続いている今日、機器は何週間もかけて製造工場に届けるのではなく、迅速に修理する必要があります
もちろん、露鉄道はやってくれるでしょう
旅客列車の後ろにも載せて、そこから大きなマージンが発生します
やっぱりデタラメです

機器の修理はできるだけ戦場に近いところで行うべきです
同時に、中規模の修理やオーバーホールなども通常の業務で行われるべきです
もちろん、オーバーホールは金銭面でも非常にエネルギーが必要で、修理したトラックが新車と同じように儲かるということはありません
でも、ごめんなさい、お金以外より神聖なものは全く無いんですか?
このままでは大変なことになってしまう
動員された男たちのために、ユニフォーム、リュックサック、医療キット、ショーツ、ソックスだけでなく、間もなく、トラック、フィールドキッチン、洗車場の購入までも貢献しなければならなくなります
これらも、十分な量を確保できなくなるからです
軽率に署名したГАБТУのトップであるシェスタコフ少将やクーソフ設備修理部長の部下が何もしないのに、なぜ、我々の「ГАБТУの下位互換のボランティア」が必要なのでしょう
まあ、それは見ればわかりますが

繰り返しますが、ГАБТУの諸君は、軍隊が必要とする修理基地の再建という点では、何もしようとしなかったのです
戦時中であるにもかかわらず ГАБТУには、そんな有名スペシャリストが揃っている
当然、会議の参加者の多くは、自分の名前が出ることを非常に嫌がっただろうが... 申し訳ない、これはほんの始まりに過ぎません

「すべての事故には、苗字と名前と立場がある」
ソ連のレールの上で生涯を過ごした鉄道人民委員、ラザール・モイセビッチ・カガノビッチはそう言っていました
同じように、私たちも、不具合や時間の無駄などには、すべて名前と役職名を併記すべきです

今回は、シェスタコフ少将とクーソフ大佐が、理由は定かではないが、会議を開き、問題解決の方法を説明し、静かにそれぞれの道を歩んでいたのです
将校諸君、これは祖国を守ると言われている人たちの所業ではない
これは、私益が第一の民間のスパイたちのやり方だ

このような手紙を書き、このような言葉を言わなければならないのは非常に残念だが、残念なことに、私たちの国防省については、膨大な数の紳士士官に関して書くことができる
そして、これらの紳士的将軍や大佐が、同志である将軍や大佐にとって代わって役職についているのは残念なことです

今はこういう時代だ
ドルを得られなくても、名誉を得ればルーブルを得られる
何も無くても、生きることができる
バタイスク、ブリャンスク、モスクワ、サマラから手紙をくれた多くの人たちの希望に十分に応えられない事を申し訳なく思います
すべての自治体がサラトフのように結束しているわけではありませんが、私たちは、軍隊が必要とする仕事をする企業の問題提起を続けていくことを約束します
結局のところ、この国のいくばくかの人は、お金ではなく、名誉のために生きているに違いないのです
だから、つい最近 9 ЦАРЗ が НПО Высокоточные комплексы に譲渡されるという計画の内部情報が明らかになったのです
この結果は喜ぶべきことだが、他の工場がどうなるかはまだ分かりません
Rostecも国防省も全く必要と考えていない(当時、直接そう言われた)
そう、露国防省には理解不能に見えるのです

戦闘行為で故障し、破壊された軍用機器を修理してきた、そしてこれからも修理できる元軍需工場… それは不要なのか?
もちろん彼らには不要です
なぜなら、そうなると、モスクワの居心地の良いアームチェアに座って、空虚な聖典を編纂して給料と官給を得ていた人たちは、働かざるを得なくなるからだ!!!!
読者の皆さん、お分かりになりますか?
彼らは何年も座ってるだけで、部隊に入ってくる新しい装備の報告書やレポートを書くだけで、他にやることがなかったのです
そして今、ГАБТУは居心地の良い世界を捨て、支払い、提供、譲渡、承認、計算などを始めなければならなくなったのです
誰が必要なんだ?
同志シェスタコフ少将?
軍隊の登録所や入隊所も同じで、座っているだけで誰も動かない
(正確には、まともな金では誰も動かない)
そこに突然、動員だ!というわけです
それで、その結果、国中が大激怒したのです
ГАБТУの方がマシだと思いますか?
いいえ、そんなことはありません
デスクからデスクへ書類を送り、華麗な報告書を作るのは、どこでも同じことです
そうです、ГАБТУにとっては、工場や防衛省全般は不要なのです
彼らのレトリックは
「戦車に不足は無い。T-62を800両再復帰させた」
そして、すぐに、その機械が現代の戦闘においてもどれほど有用であるかと、賞賛を始めた人たちがいるのです

この戦車の方がそんな人たちよりマシだが、神が審判を下すでしょう

ドローンが無くても、イランから買えます
トラックが無いのか?
なら、インドと中国があります、彼らから買おう
何が問題なのか?
問題は、仕事をしなければならない人たちがまったく働こうとしないことです
国防省の将官、大佐の皆さん、恥を知りなさい
ズナメンカ(モスクワの最も古い通りの一つ、日本で言う「霞が関」)にあるビルのオフィスの窓から、自分たちが、いかにこのことに無関心であるかを思い知り、苦しみ、恥じなさい
(終わり)

コメントから引用1:
筆者は、今、よくこれほど危険なテーマを提起したものだ
なぜヴォロディンだけがチェメゾフと話すことができたか?
なぜなら、二人とも保証人(注:プーチン)の友人だからです
シェスタコフ将軍を非難することなく、誠実な愛国者に何ができるかを想像してみよう
チェメゾフ一味からビジネスを奪おうとしたとたんに、でっち上げの容疑で逮捕され、営業停止に追い込まれる
結局、チェメゾフとその一味は、それらの企業をバラバラに解体し、建設用の土地を売って大金を懐に入れた、大金のためなら手段を選ばない
Rostecをチェメゾフ一味が経営し、それをガラン自身があらゆる行政手段を駆使してサポートしていることは、とっくに明らかになっている
保証人がいる限り、この暴力団に危険はない
そして、Rostec以外にも、ガスプロム、ロスネフチ、露鉄道などにも同じような暴力団が存在しているのです
特別軍事作戦はRostecの一味の犯罪を顕在化させたに過ぎない
(終わり)

コメントから引用2:
これらの修理工場は国有化すべきではない
工場では戦車の英雄でも使い道はありません
総じて、製造業のことを知らない退職した役員が会議の席を占めているように感じます
それゆえ、国有化、逮捕、銃殺というアイディアが生まれるのです!!!
私は40年以上、製造業に従事してきたので、これらの工場の状態は想像がつきます
まず、人材がいません
労働者も技術者もいない
習慣的に出勤する年金生活者が数人いるでしょう
そんな工場は、賃金も悲惨だから若い人は行かないし、わが国には職業訓練もありません
専門学校は閉鎖され、大学は「経済学者と弁護士」を有料で養成する
学期に一度、わずかな料金を払えば、勉強する必要はまったくありません
とにかく、私たちは学生時代と同じように技術研究所で一生懸命働いていたのです
第二に、機械や設備の状態です
死ぬほど錆びついて、ほとんどの機械は大規模な修理が必要か、スクラップです
新しいものを買う場所も何もない!?
それでも、国有化して、銃殺と言うのか!?
経済の産業化のためのプログラムが必要であり、少なくとも5年間の計画が必要です
(終わり)

コメントからの引用3:
だって、最近のロシアはこんな感じで、後進国だし、疑問も多いし...
そして、記事は悲しいです 悲しい、辛い、憂鬱
戦争も、世界の何もかもが、ロシアの泥棒と貧乏人の状況を変えることはないように見える
(終わり)

コメントからの引用4:
これが、私たちのあるべき姿です
軍部は常に泥棒と輸入業者であった
90年代には、軍隊が手に入れられるものはすべて盗んでいきました
そして今、軍隊と沈黙から多くのものが失われています
酔っぱらってるのでしょうか?
戦えないなら将軍は少佐に降格させるべきです
シュウゴウの女性側近全員に大将軍の称号を与えてください
そうしないと、寝る前の絵本を読んでくれないし、朝も読んでくれない
悪気はないのですが、ウクライナ姓の人にトップの仕事をさせてはいけないのです
警察でもです
なぜなら、いつも何かが爆発したり、離陸に失敗したりするからです
なのに、責任を取る人はいない
スターリン時代には、ある国籍の人間を採用してはいけないという暗黙の了解がありました
そして今、数十億ルーブルの横領で捕まったのは......ウクライナ人の苗字の人たちです
なぜウクライナは我々の部隊の動きを全て知っているのですか?
誰かが密告しているのです
外国の銀行からの送金や、振込などの決済システムが禁止された後でも、突然お金が出るのです
個人口座になる前ということです
また、なぜ外国の銀行に外貨準備金を置いていたのですか?
武器もすべてドイツに預けておくべきだった
(終わり)

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じゅん
サポートしようと思って下さった方、お気持ち本当にありがとうございます😣! お時間の許す限り、多くの記事を読んでいただければ幸いです😣