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5月、情報戦の行方について

5月12日 CEPA:(2,562 文字)

ロシアのウクライナ侵攻の失敗は、クレムリンの偽情報武器戦術を終わりに導く

Twitterは先月、ロシアのプーチン大統領のアカウントを含む、300以上のロシア政府のアカウントを制限した。
この動きは、ロシアがウクライナに侵攻した3日後の2月27日、欧州連合(EU)がロシアの2つの国営プロパガンダ機関、RTとスプートニクの禁止に従ったものだ。
メタはそれに続き、「EU全域でRTとスプートニクへのアクセスを制限する」ことにした。
これらの措置は、欧米メディアやSNS空間からロシアの偽情報ネットワークを排除する先例となった。

ジョージアにおける失敗の教訓

プーチンが、ウクライナへの全面的な軍事攻撃は簡単にだと予想し、2008年にNATOの庇護下にあったジョージアを侵攻した戦略を踏襲できると考えていたことは明らかになっている。
クレムリンはジョージアに対し、情報戦・サイバー戦・運動戦の三位一体作戦を実験的に行った。
ウクライナにおいても、ロシアはサイバー攻撃を開始し、国営メディアを駆使して侵攻正当化の物語を作り上げ、軍事行動を開始した。
2008年、北京オリンピックに世界が気を取られている中、クレムリンは情報世界の間隙をついて「ジョージアは自国のツヒンバリ地方で少数民族に対する虐殺を開始した」という作り話を世界中に広めたのだ。モスクワは南オセチア人を救いに来た、と。

14年後、クレムリンは世界が2022年の北京オリンピックとCOVID-19に気を取られ、ウクライナでの冒険に目をつぶると計算し、ウクライナ人が民間人に対して大量虐殺をしており、それをロシアが介入して彼らを守る義務があるという2008年と同様のストーリーの口実を作った。
しかし、今回、ロシアのサイバー情報作戦は、空・海・陸の能力を強化するものとはならなかった。

What changed since 2008?

2008年、ジョージア侵攻に対する西側の決意と対応は弱く、ロシアの利益に迎合的だった
しかし、このウクライナ侵攻では、ホワイトハウスはとても積極的にコミュニケーションをとり、ロシアの計画について前例にないほど情報資料を提供し、ロシアの軍事増強に光をあてた。
さらに米国とヨーロッパの同盟国は、ウクライナにおけるクレムリンの意図を明らかにし、支持を集め、制裁を実現し、団結して断固たる行動を取る準備を行った。
マイクロソフトのスレット・インテリジェンス・センター(MSTIC)などのIT大手がロシアのサイバー攻撃から身を守るためにリアルタイムの支援を提供した。
決定的だったのは、ウクライナの物語が世界の聴衆を惹きつけたことだ。
この数年のヨーロッパ最大のニュースとして、ロシア軍の行いはメディアによって報道された。
クレムリンとその代理人には、彼らが侵略者ではなく、「表現できないほどの」残虐行為などしていない、と言い逃れるのはもはや困難だ。

デジタル外交の採用

ウクライナのメッセージングの核となっているのは、ゼレンスキー大統領と彼のチームの卓越したリーダーシップとコミュニケーション能力だ。
ウクライナに新設されたDigital Transformation Ministry(DTM)は、若く大胆なミハイロ・フェドロフが率い、デジタル外交を駆使してウクライナへの支援と対露制裁を後押しした。

フェドロフの有能さを示す一つの事例が、ロシアの無差別な初期攻撃のさなかにツイッターでイーロン・マスクに呼び掛け、ウクライナが戦略的インターネット技術「スターリンク」を受け取ったことだ。
ブロードバンド接続を提供するこのシステムは、非常に貴重なものであったと言われている。
フェドロフ大臣は、情報とサイバーは戦争の重要分野であると認識し、ウクライナIT軍を創設し、国内外のボランティア市民がノートパソコンでロシアの戦争マシンを打ち負かそうと努力している。
同軍によると、Telegram Channelだけで30万人近いメンバーがいるという。

私たちは何をすべきか?

包括的な制裁と制限を含む積極的な同盟国の措置は、ロシアの偽情報マシーンを弱体化させた。
欧米や支援国政府および民間部門は、主要なデジタルおよびメディアプラットフォームからロシアの主要アカウントをすべて禁止する必要がある。

ロシア政府は、自国民が欧米ベースのSNSアプラットフォームを活用することを禁止しているが、同時に、ロシア政府は自国民に禁止しているプラットフォームを使い続け、ウクライナ侵攻を正当化し、民主的な議論の正当な当事者であるかのように自らを見せようとしている。
ロシア政府、議員、提携メディア、インフルエンサーが所有するアカウントを永久に削除することは正当かつ公平なことだ。
これらの人々や団体は、Facebookのコミュニティ基準などの規則に積極的に違反し、言論の自由の概念を悪用し続けている。
スプートニクとRTはほとんどのヨーロッパ諸国で禁止または制限されているが、RTの子会社で世界中のテレビ局に映像素材を提供しているRuptlyは、Facebookを含むソーシャルメディア上で存在感を示し続けている。
すでにYouTubeはRuptlyをブロックし、他のIT企業やSNS企業もこれに追随する可能性がある。

米国と欧州の政府は、ジョージアやモルドバのような西側の同盟国や支援国にも同様の措置を取るよう促し、ロシアの偽情報ネットワークが支援国から偽情報促進キャンペーンを展開できないようにする必要がある。

ロシアのオリガルヒ(偽情報工作の資金提供者)が西側で厳しい制裁を受け、クレムリンのメディアマシンが禁止され、SNSがロシアのシナリオを拡散する役割を果たさなくなれば、クレムリンの偽情報が蔓延ることは、はるかに難しくなるだろう。

ロシアは自国民に偽情報、不正情報、プロパガンダを流し続けるだろう。
しかし、彼らがそれに従うべきか、それとも体制から脱却することを決めるべきか、最終的にはロシア国民が決める問題である。
(終わり)

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