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上肢リーチ Part2

本日の投稿は前回の続きです!

今回はより細かく0〜1相までの動作パターン
みていきたいと思います!

では0相についてです。

0相はリーチが始まる準備段階
(物品を認知する段階)
です。
この時、『何もしていない』というわけでは
ありません。

例えば、目の前に『未開封のビールの缶』
あるとします。

皆さんはこの缶の重さや硬さがどれくらいかを
想像しどんな持ち方を選択するでしょうか?

多くの方がこのような持ち方を選択すると
思います。

ポイントは
どうしてそのような持ち方を選択したかです。

それは『準備段階』で『未開封のビール缶』
というものを認知し、今までの経験から運動を
選択した結果だからです。

ここから少しだけ脳科学に触れます。

私達はリーチ動作を行う前に物品との距離や方向
物品の重さや形状を事前に脳で考えリーチ動作を行っています。

どこの距離に?どの方向に?その物品が
何であるのか?を私達は事前に脳の中で
整理し準備しているのです。

その為、例えば頭頂葉での障害が起きてしまうと
物品にリーチしていく前の段階でエラーが起きてしまうのです。

動作パターンとして

0〜1相にかけて体幹の伸展と肩甲骨の下制・内転の
活動が伴ってきます。

体幹が伸展することによって
腹斜筋群や腹横筋の活動が入りやすくなります。
結果として効率的な上肢リーチとなります。

しかし、脳卒中患者さんの多くは
体幹を伸展させるのが難しい為
腹斜筋群や腹横筋の活動も入りにくく
土台である体幹が不安定となり結果として
肩甲骨や上肢が過活動を起こしてしまうのです。

その為、臨床で上肢を操作する際、まずは
『患者さんの座位姿勢』をみることが大切です。

『姿勢』に関して1つ面白い文献があります。
下記4つの姿勢によって
腹横筋の肥厚が変化するという文献です。

引用文献
Effects of posture on the thickness of transversus abdominis ln pain-free subjects

腹横筋の肥厚が立位姿勢では 
スウェイバック時(3.32±0.95mm)に比べ
正常立位(4.63±1.35mm)で優位に増加し

座位姿勢でも円背座位(3.46±1.13mm)に比べ
正常座位(4.30±1.58mm)において優位に腹横筋の肥厚が変化したと報告しています。

腹横筋は骨盤帯と体幹の安定性に寄与すると
言われている為、大事になってきます。


次に1相についてです!

1相で上肢の運動が開始していきます。
2相にかけて肘関節が屈曲し肩関節が軽度伸展します。

『肩関節が軽度伸展する』ここが重要!
伸展する理由としては
肩甲骨の内転・下制が得られやすく
姿勢が安定してくれます。

また、ローテーターカフや三角筋前部・後部繊維が先行的に活動する事で肩甲上腕関節の安定性に寄与するのです。

脳卒中患者さんの多くは
肩甲上腕関節が不安である為に上腕骨を
内旋方向へと働かせ骨性の安定性を使おうとします。

また、胸鎖乳突筋や僧帽筋上部繊維の活動が
先行的に活動しやすくアウターマッスル優位に
なってしまうのです。

その為、1相での肩甲骨の位置や
どこが1番最初に動き出すのかを評価し観察することが大切です!

こういった代償を使う患者さんは
最終的にどのようなリーチに繋がっていって
しまうか次回見ていきます!


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