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作家 長月達平の「#蓮ノ空感想文」-初心者編-

 『作家 長月 達平の「#蓮ノ空感想文」』とは?
ライトノベル作家である長月達平 氏が、『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』(蓮ノ空)の活動やスクールアイドル応援アプリ「Link!Like!ラブライブ!」(リンクラ)についてアツく語る、『ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』公式noteと長月達平 氏との投稿企画です。複数回にわたりお届けする企画となっており、今回は「蓮ノ空」・「リンクラ」をまだ知らない方向けに、わかりやすくまとめられた感想文となります。どうぞお見逃しなく!スキもぜひお願いします!



■挨拶

 最初に自己紹介をば。作家をやっております、長月達平というものです。
 このたびは公式noteアカウントの方で『Link!Like!ラブライブ!』(以下、リンクラ)の感想文を書くという役目を仰せつかりました!
 実はこの前書き、すでに書くのが二度目です。
 自分はリリース当初からリンクラをプレイしているファンなのですが、まだ未プレイの人たちに向けた感想文を書くはずが、怒涛の勢いで完全に既プレイ者向けの感想文を全力で綴ってしまい、当初の目的と完全に違ったものを仕上げてしまったんですね!
 なので、そちらの文章は既プレイ者へ向けたものとして発信させていただくとして、改めてこちらでは未プレイの人たちがリンクラに興味を持っていただけるよう、欲を言えば『蓮ノ空のこと好き好きクラブのみなさん』の一人になってもらえるよう、本来の目的から脱線しない形で感想文を書きたい所存です! 対戦よろしくお願いします!


■本文

 さて、リンクラの魅力を伝えていくにあたり、まずはざっくりと『ラブライブ!』というシリーズの話と、シリーズの中でのリンクラの特色に触れねばなるまい。
『ラブライブ!』というのは多くの人に愛されてきたコンテンツであり、大勢の『ラブライブ!』ファンを生み出した罪深き作品でもある。何を隠そう、自分もそんな『ラブライブ!』好きの一人だ。
 学生が『スクールアイドル』として活動し、そのスクールアイドルの祭典である『ラブライブ!』という大会の優勝を目指すというのが主な筋書きで、これまでにも様々なスクールアイドルが生み出され、人気を博してきた。
 リンクラはその『ラブライブ!』シリーズの最新作が展開されるアプリであり、『蓮ノ空女学院』という全寮制の学校を舞台にスクールアイドルの活躍を描く物語となっている。
 そんなリンクラの特色は、何と言ってもリアルタイム「スクールカレンダー」連動プロジェクトを採用しているという点にある!
 何のこっちゃと思うかもしれないが、早い話、リンクラという作品の中で流れている時間は、自分たちプレイヤーが過ごしている時間と連動しているのだ。
 つまり、彼女たちは多くの人が新生活を始める四月に四月の物語を始め、暑い夏の八月には同じように八月の物語を、涼しい十月には十月の物語を、そして年の瀬の十二月には十二月の物語を送り、また新たな四月には現実と同じ環境の変化を迎える。
 自分たちプレイヤーが過ごす一年と、リンクラの中で蓮ノ空女学院のスクールアイドルが過ごす一年とは同じ時間が経過しているということなのだ。
 これに加えて、定期的に配信されるFes×LIVEの公演に、蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブのメンバーたちが日常の様々な出来事を共有してくれる配信まであって、この瞬間をスクールアイドルたちと一緒に体感しているという一体感が非常に強烈な感情を覚えさせる。
 常に、今この瞬間を楽しませることに全振りしているコンテンツ――それがリンクラの大きな魅力であり、知るのが早ければ早いほど彼女たちと過ごせる時間が長く、それだけ存在が大きくなっていく作品なのだ。
 このチャレンジはとにかくすごい。
 リアルタイムに連動するということは、作中の登場人物たちの時間が進むということであり、それはつまり、いずれ必ず来たる別れをも意味する。
 その瞬間を見届けたとき、プレイヤーが味わうことになるのはとんでもなく大きな満足感と喪失感――それはまだ誰も知らない、味わったことのない感動になるはずだ。
 その瞬間に辿り着いたとき、自分がどんな顔をしているかは想像もつかない。
 だが、一人でも多くの『蓮ノ空のこと好き好きクラブのみなさん』がその場に辿り着けるよう、自分の文章が未プレイのみんなの興味を引ければ、これ以上のことはない。

 ところで、ずいぶんと熱量を込めた文章を書いているが、そもそもリンクラという作品の何をそこまで楽しめばいいのか、と疑問の方々もいるだろう。
 もちろん、リンクラの最大の見所は『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』に所属しているスクールアイドルたちの魅力にある。いずれ劣らぬ個性豊かな彼女たちの存在がリンクラの魅力の全てと言っても過言ではないが、そんな彼女たちをより輝かせるのが、『活動記録』と呼ばれる『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』の物語だ。
 登場人物を好きになるルートは様々ある。ビジュアルが好みであったり、担当しているキャストさんが好きだという入口もある。楽曲を聞いて好きになったという人もいるだろう。ただ自分は、その登場人物が物語の中でどんなドラマを紡いだか、好きになれるような活躍をしてくれたかの部分に注目することが多い。
 無論、ビジュアルで好きになるキャラも多い。銀髪というだけで補正がかかる。
 ともあれ、このリンクラにおいても『活動記録』という形で語られる彼女たちの物語、そのドラマの数々は自分を大いに感動させ、その中で色々な問題に直面し、乗り越えていく彼女たち一人一人を好きにさせるのに十分すぎるパワーがある。
 今回の感想文を書くにあたり、改めて『活動記録』を見返して万全な体勢で臨もうと考えた結果、しばらく頭の中が『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』のことで埋まってしまったぐらいだった。……いい、いいお話だった。

 しかし、いざ実際に『活動記録』の内容を事細かに綴ると、それは一度没を喰らった既プレイ者向けの感想文の二の舞となる。なので、今回は読んでくれているみんなをリンクラへ沼らせるため、物語を新鮮な気持ちで楽しんでもらうため、頭を使った。
 大事なのはどんな子たちがいて、どんな面白さが待ち受けているのかとみんなをワクワクさせることだろう。
 そんなわけでここからは、自分がこれまでの『活動記録』の中から各メンバーの好きな台詞を持ってきつつ、『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』の魅力的な彼女たちを紹介させていただこうと思う!


■日野下花帆

『これで明日から毎日ライブができます!』

 まず一人目は、このリンクラにおける主人公とも言える『日野下花帆』だ。
「花咲きたい!」という希望を抱いて蓮ノ空女学院に入学した新入生の彼女は、とにかく行動力の怪物であり、その細い体の内側にはすさまじいエネルギーが発散の場を求めて常に光を放ち続けている――と、そんな印象がある。
 選んだ台詞はスクールアイドルクラブに入部し、初めてのライブを経験した彼女がそのあまりの楽しさに心を奪われ、学校の中庭の使用許可を一週間ぶっ続けで取り、本当に一週間ぶっ続けでライブをすることを決めたときのものだ。
 物語の始まった最初期、彼女がこの言葉を発した瞬間、自分は稲妻に撃たれたように日野下花帆という子のことが好きになってしまった。
 ――物語の主人公には、物語を動かすという一番大事な役割が与えられている。
 花帆の行動力はまさしく、彼女がこのリンクラにおける主人公である証だ。失敗と成功を繰り返しながら、少しずつスクールアイドルとして花咲いていく彼女の姿を追い続けることで、自分たちもまた日野下花帆というスクールアイドルを好きにさせられる。
「花咲きたい!」という彼女の人生の目標は、どんな人にも達成感や満足感を味わってもらいたいという気持ちの表れであり、彼女はその真っ直ぐで物怖じしない性格と爆発的な行動力を武器に、あらゆる問題に真正面から突っ込み、それを乗り越えていくのだ。
 誰にも諦めさせたくないと、誰よりも最初に問題に取り組み、最後まで息切れせずに全員の笑顔の決着を目指す彼女に、次はどんなことを見せてくれるのかとワクワクしながら物語を追い続ける体験を自分はさせてもらった。
 そしてこの先も、「花咲きたい!」と大輪の花のような笑顔で言ってのける日野下花帆の活躍から目を離すことができないと、そんな確信が自分にはあるのだ。
 見ていて飽きない、応援したくなる素敵な主人公、日野下花帆。好きな女です。


■乙宗 梢

『上に積み重なっているものをひとつひとつ取り除いていけば、いつかは机の天板が見えてくるものよ』

 二人目の紹介は、二年生にしてスクールアイドルクラブの部長である『乙宗 梢』だ。
 蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブでは、部内でユニット活動を行っており、梢は花帆と一緒に『スリーズブーケ』というユニットを組んでいる。
 音楽一家の出身であり、一人で作詞に作曲もこなせる万能選手である梢は、スクールアイドルに対して並々ならぬ情熱を注ぎ、日々成長を志す努力家だ。
 自分が選んだ台詞にも、梢のそうした実直な性格がよく表れている。
 梢はおおよそ、努力すればできることのほとんど全部をこなせてしまう人間で、蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブの活動は彼女のワンオペに支えられていると言っても過言ではない。実際、彼女が風邪でダウンしたときは危うく部が機能不全に陥りかけた。
 そんな梢は花帆のメンターとして、彼女をスクールアイドルに成長させる後押しを続ける完璧超人に思われるが、実際にはそうではない。それは機械オンチといった可愛らしいポンコツさもあるが、彼女もまたスクールアイドルとしての活動の中で成長する一人であり、破らなければならない殻を被った等身大の少女ということだ。
 その梢の変化と成長には、当然ながらユニットを組む花帆の存在が大きい。だが、スクールアイドルクラブの関係は二人だけで完結しない。花帆たちが入学する前からスクールアイドルであった彼女の、花帆たちの知らない一年間に何があったのか。
 それが明らかになったとき、望外の驚きと、その後への期待が溢れたことを、自分は鮮烈に覚えている。
 個人的には現在まで語られている『活動記録』の物語は、その全体を通して、梢の見ている夢に花帆が追いつくためのお話だったと思っているぐらいだ。
 自分がそう思うに至った経緯がどんなドラマと共に描かれたのか、それは実際の『活動記録』を堪能して確かめてもらいたい。一つ言えるのは、ただでさえ素敵な彼女がより素敵になっていくのは胸を熱くする物語であった。好きな女です。


■村野さやか

『努力を怠って試合に臨めば、たとえ結果を得られたとしても、きっとわたしは満足できません』

 三人目は花帆の同級生であり、新入生枠の二人目である村野さやか。この『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』に欠かすことのできない、ツッコミ役である。
 悪ふざけしたように感じるかもしれないが、これがかなり大きくさやかという子の良さの一つを占めていると自分は思っている。というのも、ユニークな小ボケを連発する他の子たちの受け手として非常に優秀というだけでなく、彼女には相手からの言葉のトスを受け止めるのがとても上手いというキャラ性があるからだ。
 入学初日に花帆と出会い、浮かれた彼女の話し相手を務めたのが二人の馴れ初めだが、その後も後述する夕霧綴理を日々世話し、花帆と楽しく語らい、梢の真面目な話にもしっかりついていく彼女は、あらゆる局面でなくてはならない存在である。
 そんなさやかは幼い頃からフィギュアスケートを続けていて、その精神性はストイックなアスリートのそれだ。
 そもそも、蓮ノ空女学院への入学も、芸術の分野に秀でた学校の門戸を潜ることで、フィギュアに伸び悩んでいる自分の殻を破れればという考えからだった。
 何事にも真面目で、着実に努力を積み上げることを好むさやかは、スクールアイドルとしての活動にも同じモチベーションで臨んでいる。
 自分は彼女の台詞の中で一番好きなものを選んだが、これ以外にもさやかの芯の強さを示した台詞は数多くある。不断の努力を続け、しかしそれを他人に強要しない彼女の精神性はすごい。花帆を行動力の怪物と評したが、彼女もまたメンタルお化けである。
 今日も今日とて、おはようからおやすみまで綴理の面倒を見つつ、合間で花帆ややたらと個性豊かなクラスメイトたちとの会話に花を咲かせ、その頑張りを梢にいたわられる彼女の姿が目に浮かび、微笑ましい限りだ。
 なお、今回の感想を書くにあたって彼女が繰り出した数々の好きなツッコミをスクショし続けたのだが、それだけで一本感想文が書けそうな分量になってしまったので泣く泣く掲載を諦めた。村野さやか、おもしれー女。好きな女です。


■夕霧綴理

『ボクたちは先輩だけど、先輩としてはまだ、一年生なんだから』

 夕霧綴理はスクールアイドルクラブに所属する二年生で、周囲からは天才と持て囃される天稟の持ち主だ。芸術分野において並々ならぬセンスを持つ彼女は、スクールアイドルでなくても大成しただろう能力を、惜しみなくスクールアイドルに注いでいる。
 と、こう書くとものすごくちゃんとした子に感じられるが、多くの天才が秀でた分野にのみ天才性を発揮するように、彼女もそれ以外の部分はダメダメな子である。どのくらいダメかと言われれば、彼女の身の回りの世話をしているのは、一緒に『DOLLCHESTRA』というユニットを組んでいるさやかなのだが、さやかと出会う前はどうやって生きてこられたのかわからないぐらい生活力がない。
 独特の感性で生きる綴理の心は読み解くのがとても難解で、一方で彼女はその鋭い感性で物事の正解を直感的に理解したり、言い当てたりもしてくる。
 その一端が、自分が綴理の台詞の中から好きなものとして選んだ一言だ。
 前述の通り、二年生である綴理は梢と同じで『先輩』というポジションとして登場する。そんな彼女のこの一言は、自分には結構衝撃的だった。
 大抵の場合、物語の先輩キャラというものは頼もしく、後輩キャラを正解へ導いていくことが役割であることが多い。が、綴理のこの一言は先輩キャラに抱かれるそうした先入観を真っ向から否定している。
 そして、自分は『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』で描かれる物語において、綴理たち二年生が直面する問題の数々がこれに集約されると感じるのだ。
 だが、物事の本質を直感的に言い当てる綴理が、それなら全能で達観した子なのかと言えばそんなことはない。彼女は自分で口にした通り、『先輩としては一年生』の立場として幾度も壁にぶつかり、仲間たちと乗り越えていくことになる。
 自分の感じているものを、自分の好きな相手に伝えるために懸命になり、それを表現するスクールアイドルをこよなく愛する、そんなスクールアイドルの一人として。
 無論、お察しの通り、作中でも屈指のボケ役でもある彼女のユニークな発言に、切れ味の鋭いさやかのツッコミが今日も冴え渡る。正しくおもしれー女。好きな女です。

■大沢瑠璃乃

『え、ヤバ! 独り、めっちゃ楽しいじゃん! って!』

 一年生組最後の一人にして、カリフォルニアからの刺客『大沢瑠璃乃』である。
 めちゃめちゃ派手な見た目の印象を裏切らない、非常に明るく賑やかな瑠璃乃は、カリフォルニア留学から戻った帰国子女であり、物語の途中から入部してくる五人目だ。
 その持ち前の異常なコミュ力が災いし、留学したにも拘らず、英語を全然勉強しないで二年間のカリフォルニア生活を乗り切れてしまった逸材であり、同級生の花帆やさやかとも一瞬で打ち解けて大親友に収まるなど、八面六臂のコミュ力魔人である。
 怪物とお化けと魔人って、今年の蓮ノ空の一年生は化け物か……!? 心配せずとも、二年生組も蓮ノ大三角なんて呼ばれる問題児なので大概だった。
 ともあれ、そんなコミュ力魔人である瑠璃乃の台詞の中から自分がチョイスしたのは、彼女が『お独り様』を満喫するというまさかの発言だった。
 大沢瑠璃乃には二面性がある。――などと書くと、明るく人懐っこい性格の彼女に実は人嫌いの一面がなんて思われそうだが、彼女の二面性はそれとはちょっとズレる。
 瑠璃乃の二面性とは、人の輪の中で明るくはしゃぐ朗らかな彼女と、その輪を維持するために気を遣いすぎて途中で気力が尽きるミジンコな彼女とである。
 誰かとの語らいが終わり、ふっとそれまでの態度と一変するキャラは見かけるが、彼女の場合は語らいの最中に力尽き、たびたび行方をくらませる。そして次に見つかったときには貝の中ならぬ箱入り娘として発見されるのである。
 コメディ的な要素として頻出するこの二面性だが、瑠璃乃本人にとってはかなりちゃんとした悩みであり、『お独り様』を歓迎する姿勢もその影響の一環だ。
『充電が切れる』と称し、みんなに楽しい気持ちでいてもらいたいという善良さから端を発するこの問題に、瑠璃乃はスクールアイドルとしての活動で希望を見出す。
 ――どんなスクールアイドルがいてもいい。
 それは瑠璃乃が希望を見出した理由であり、同時にこのリンクラという作品がものすごく真摯にスクールアイドルについて向き合う内容なのだと確信させる思想だ。
 選出を迷ったが、瑠璃乃は「好きなことをガマンしない!」とも明言していて、カラッと晴れやかにスクールアイドルへの希望を描く姿に誰もが眩しさを覚えるだろう。
 たびたび炸裂するカリフォルニア帰りの英語力と共に、そのちまちました可愛い一挙一動から目を離せない、そんな子が瑠璃乃だ。好きな女です。


■藤島 慈

『完璧なダンス、歌、パフォーマンスを見せつけて、ちゃんとひとりひとり応援してくれる人の心をぐっと掴むべき!』

 蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブを紹介する上で、そのトリを飾るのが二年生にして遅れてきた世界中を夢中にさせるスクールアイドル、『藤島 慈』である。
 慈は自分の可愛さに自覚的で、それを公言することにも表現することにも躊躇がない。
 ただ一方で、生まれ持った自分の容姿や才能にかまけず、それらを磨き上げ、鍛え上げる努力も欠かさないという不屈の魂を持ったスクールアイドルでもあるのだ。
 事情があってスクールアイドルクラブを休部していた彼女は、瑠璃乃の入部を切っ掛けにスクールアイドルに復帰するが、そのスクールアイドルとしての意識の高さが表れに表れた台詞を、自分は好きな台詞としてチョイスさせてもらった。
 慈は可愛くて、歌もダンスもこなせる完璧な自分を大勢に見せたいと全力だ。
 そのために可愛さを磨き、歌もダンスもしっかり練習し、本番に万全な状態で臨む。そしてその努力を人には見せたがらないが、詰めが甘いのでそれはバレバレという子。
 優雅に水の上を泳ぐ白鳥が、水面下では足をバタバタさせているという話があるが、そのバタバタしている足が全然隠せていないのが藤島 慈の魅力だ。
 慈には「人に期待させた分、それ以上のもので応えなくてはならない」というような、非常にストイックな精神性がある。彼女は理想をとても高いところに置くが、その理想を自分なら――自分たちなら叶えられると確信しているのだ。
 幼馴染みである瑠璃乃と二人、『みらくらぱーく!』というユニットを組む慈は「世界中を夢中にさせる」と子どもの頃からの夢を惜しげもなく宣言し続ける。
 思い込みが激しく、思いつきで突っ走るトラブルメーカーな部分はありつつも、根底にあるのは自分への期待と、同じぐらい大きな仲間たちへの期待。
 慈の発する一言一言には、自分がスクールアイドルをやれることへの感謝と喜びが溢れていて、自分もまた全国五千万のめぐ党の一人として、その彼女の水面下のバタバタに気付いていないふりをしつつ、その活躍を応援し続けるのだ。好きな女です。


■終わりに

 という感じで、拙い言葉ではあるが、自分なりの言葉で『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』のスクールアイドルたちを紹介させていただいた。
 正直、魅力の一端は語れたと思うものの、やはり彼女のたちの真骨頂は実際の物語を見てもらった中で、実際に目で見て、耳で聞いて、魂で感じてもらうのが一番だ。
 一つ言わせてもらえれば、『ラブライブ!』シリーズはその華やかな印象と裏腹に、とてもしっかりとしたスポ根のエッセンスが含まれている。
 彼女たちはスクールアイドルという存在になり、自分たちの夢や憧れ、好きを全力で表現するための努力を重ね、『ラブライブ!』という証明の場へ挑む。競い合えば勝ち負けや優劣が発生し、喜ぶだけでなく傷付くことももちろんある。
 それでも、かけがえのないひと時を大切な仲間たちと確かな形にするため、スクールアイドルたちは「花咲く」ために頑張り続けるのだ。
 このリンクラという作品の利点に、アニメの尺に縛られずに表現できる物語の良さというものがある。物語は限られた尺に左右されず、必要なお話を必要な形で、納得いくお話として綴るために必要なことが全部詰まっている。
 そこにあるのは濃厚で、必然的で、納得させられるパワーのある巨大感情のぶつけ合いで、はっきり言って自分だけでなく、人類の好きなものの詰め合わせと思う。
 自分はこの一年、ひと時も飽きることなく『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』の活動に魅せられ、彼女たちの歩みが与えてくれる感動を堪能してきた。
 だが、冒頭で語った「まだ誰も知らない感動」は、この先に控えている。
 同じく冒頭で語った通り、先に控えているその瞬間を一人でも多くの人が感じ取れるようになれば、自分が思いの丈をこうして綴った甲斐があるというものだ。

 大変長らくお付き合いいただき、ありがとう!
 これでも全然語り尽くせてはいないのだが、より詳細にあれこれに触れている感想文は実際の『活動記録』を読み終えたあと、ネタバレOK状態で見てもらいたい。
 そちらと合わせ、自分から言える言葉は言い尽くしたと思うのだが、このぐらい強烈な熱量を以て誰かに勧めたくなる物語とスクールアイドルたちであることは、改めて言うまでもないことながら改めて言わせていただく!
 それではこれにて筆を置かせていただこう。次に相見えるときには、みんなも自分と同じ『蓮ノ空のこと好き好きクラブのみなさん』の一人となっていることを切に願うばかりである! まる!

次回は 作家 長月達平の「#蓮ノ空感想文」-第1話編-


【長月達平(作家) プロフィール】
代表作『Re:ゼロから始める異世界生活』のほか、『異世界スーサイドスクワッド』『Vivy -Fluorite Eye’s Song-』など多数のアニメやゲームにも携わっている。

▼『長月達平』公式X(旧Twitter)
https://twitter.com/nezumiironyanko?lang=ja


バーチャルだけどリアル
少女たちと「いま」を描く青春学園ドラマ、新年度スタート!

蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブは、 1年365日、入学から卒業までの限られた時間のなかで、 彼女たちと喜び、悲しみを共にし、同じ青春を過ごす、 リアルタイム「スクールカレンダー」連動プロジェクトです。

スマートフォン向けアプリをメインに、メンバーおよびキャストによる動画配信、雑誌展開、楽曲CDのリリース、ライブイベントなど、オールメディアで展開していきます。

▼スマートフォンアプリ「Link!Like!ラブライブ!」

▼『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』公式サイト https://www.lovelive-anime.jp/hasunosora/

▼『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』公式YouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/@lovelive_hasu

▼『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』公式X(旧Twitter)https://twitter.com/hasunosora_SIC