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僕は君のまつげばかり見ていた。

#詩

君とはなんどもここに来たのに

きょうは君のことばが聞こえない

なぜだろう。君がいつになく遠い

君が一生懸命話すことばは音になって空気に溶けて

やがて店のラテンにかき消された

君の顔がゆがんで見えて 

僕は君のまつげばかり見ていた

電波が立ってネットでもつながりそうなそのまつげ

小さな鳥でも飛んでくるだろうか

けれど上向きな先端はチクチクするから

鳥はとまらずに飛び立った

どうしたらそんなに立ち上がるのだろう

口角はえらく下向きなのに

まつげだけはなぜか上を刺している

僕が君のまつげばかり見ていたら

ちゃんと聞けよと水を放たれた

僕のまつげから水が滴った

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