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【マンガ業界Newsまとめ】電子&リアル書店/メディア各社2022年ランキング発表・Webtoon各企業の動き など|12/11-81

マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。

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電子書店・リアル書店・メディア等各社、2022年ランキング発表

コミックシーモア、honto、ダヴィンチ、TSUTAYA、日販、など複数の書店やメディアが今年のコミックランキングを発表しています。一方、Pixivコミックでは、過去10年間という長いスパンでのWebマンガ総選挙実施です。各社ともにランキング発表による販売掘り起こしなどを狙う季節です。

見て回りますと、電子書店、リアル書店ともに、少年誌はジャンプ作品中心のランキングとなっておりますが、女性向け作品については場所によって大きなジャンル差が出るなどしています。この辺りは、各展開先ごとに売れ筋作品の分化、クラスター化が一層進んでいると見て取れます。

個人的にも、今年もアンケート回答に参加した「このマンガがすごい!2023」の献本が手元に来ていまして、来週はこの発表があると思います。年の瀬になってまいりましたねと言う季節を感じるところです。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

今週は、各所でWebtoon周りの新しい動きのNewsが相次ぎました。

12/9 かねてからWebtoonプラットフォームの進出を発表していたGREE社のマンガプラットフォームアプリ「DADAN」がリリースされました。

Webtoonに限らず、コミック全般の販売を行うかたちで、形式としてはオーソドックスなマンガアプリの操作性に、いわゆる「0円チャージ」で23時間で1話チャージされる形式をとっています。

トップページから、横読みの作品に交え高い位置より「タテヨミ」と称したWebtoonも上目に推して配置しているスタートで、作品としては既存の各社Webtoonを広く準備しているようです。


ヒットメーカー編集者北室美由紀さん擁するMIXER社提供で、マンガアプリ「マンガMee」上で連載し、出版社発のWebtoonとしては国内初のヒット作とも言える『サレタガワのブルー』著:セモトちか、の連載が最終回を迎えました。

累計で4億5千万PV、映像化もされ、コミックスは11巻まで販売。
@BAILAにて、著者のセモトちか先生へのインタビューも公開されています。


SORAJIMA社が、中国最大の漫画アプリ「快看」に向けて、『逆行令嬢の復讐計画』を展開開始、韓国カカオページの他10か国への作品展開をしているとのこと。

中国のコミック市場において、日本作品を展開する先としては、市場規模で3位のビリビリ動画が強いとされていますが、Wentoonとなると快看が強く、純粋にWeobtoonとしての展開先として快看を選んでいるものと思われます。


taskey × キングレコードによるOST(オリジナルサウンドトラック)制作第2弾発表とのこと。この動きは韓国で先行して様々に展開されていますが、国内ではこの両社の座組が第2弾と言うことで先行していますね。反響や結果はもちろん、積みあがっているノウハウなどが気になるところです。


先日、WEBTOONに特化したアニメ風撮影処理サービスを提供開始していたNOKID WEBTOON社ですが、今度はプロデューサー支援とのことで、STUDIO制作の支援事業第2弾というところですね。


MMD研究所の調査によると、スマートフォン、タブレット、PCいずれかを所有する15歳~69歳の男女14,534人を対象とした調査で、5割以上がWebtoonを週1回以上読んでいるとのこと。

Webtoon閲覧に使用するアプリとして、従来通り「LINEマンガ」「ピッコマ」と続きますが、5位の「comico」より前に「めちゃコミック」「シーモア」と、国内老舗プラットフォームの名前が上がっています。ひとつ前のニュースの『サレタガワのブルー』を提供する集英社「マンガMee」も、10代においては上位に顔を出していますね。

今年、沢山立ち上がったWebtoonSTUDIOの中では、Webtoonに強いとされる先行3プラットフォームの他に、既存電子書店への作品提供を開始しているところも増えており、少し様子が変わってきています。


海外News

「BTS」や「イカゲーム」から、韓国のヘッジファンドはWebtoon関係を将来の投資先として定め、未上場企業に照準を定めているとのこと。国内の新しい立上げや出資などは落ち着きつつありますが、韓国では主に米欧向けに引き続き動きがありそうです。


韓国コンテンツ振興院などが、韓流を広めた事業の功労を称える賞「KoCoLo Award」に、カカオピッコマを選んだとのこと。なるほど。


BTSをプロデュースなどするHYBE社が、日本の男性グループ「&TEAM」ともコラボするWebtoon及びWeb小説を、10か国に同時展開とのこと。

Webtoon、小説、音楽の複数ジャンルを、10か国と複数国に展開するいわゆるブロックバスター戦略を代わらずとっており、韓国エンタメが仕掛ける規模の大きさを感じます。

対して、日本のWebtoonではこうした形で一気に展開するものはあまり馴染みが無く、長く日本エンタメに関わる人ほど、「単独IPでヒットの兆候が出る前にメディア展開するのは、手順的に違うのでは?」みたいな感覚を持つのが普通なのではないかなと思います。こうした違いがどう出るか?というのは、今後も気になるところです。


『女神降臨』ちょ著者で「美しすぎる漫画家」としても知られるヤオンイさんが結婚され、写真が出ています。存在からしてフォトジェニックなクリエイターさんです。


PixivでWebtoon事業を担当している遠藤氏による、韓国AGF視察レポートです。小野賢章さん、どこでも人気ですね。そして、日本コンテンツの韓国での温度感など、参考になります。


こちらは、米国ロサンゼルスコミコンのレポートです。すっかり元に戻っているように見えますね。


libroさんによる、北米エンタメニュースまとめです。

アニメNYCに『進撃の巨人』の諌山創さんがリアル講演に行ってまして、諌山さんのリアル講演は日本でも珍しいので、これはまた貴重だなと思いました。日本からこれを聞きに行っても良いくらいにはレアですね。


国内News

個人的に注目したいNewsなのですが、昨年行われた集英社の取組「MILLION TAG」の優勝作品の連載が、2023年2月から開始とのこと。

この取組は、新人漫画家が編集者と6組のタッグを組み最高のデビューを目指し競いあうというもので、最終的に藤田直樹×林士平コンビが優勝しました。昨年8月に作品が決定しているのですが、連載開始まで実に1年半。やっぱり連載を開始するのは大変なことなんだなと思います。

また、この企画では漫画賞の受賞作品が、そのままNetFlixでアニメ化されることも賞品となっておりました。過去「漫画賞で大賞を取ったらアニメ化する」という取組はなくはなかったのですが、実際大賞が出てアニメ化にこぎつけたことはあまり聞きません。その点、本当にアニメ化したら新しいなと思うのでした。


DMMグループの出版系3社「フューチャーコミックス」「コミックストック」「ギガトゥーンスタジオ」が、漫画編集者を100名採用するという打ち出しをしました。

ここ数年、漫画編集者の採用はどこでもひっ迫しており、基本的に「編集者を積極採用中」でない、コミック出版社やWebtoonスタジオは存在しないのではないという売り手市場が続いています。

そんな中で、新興企業を中心に、未経験者を編集者で採用する取り組みが増え、それでもなかなか人が集まらない、ないしは編集者の仕事にマッチする人がなかなか採用できないという状況が続いた中で、この施策はなかなかのインパクトです。

「100名採用するっておもしろい!」というフューチャーC代表の石黒さんの言葉ですが、確かにもうこうなってくると、こういう思い切った施策が必要なんだろうなと妙に納得してしまいました。あと資本力ですね。はい。


サービス開始をしたばかりのDMM-TV内にて、漫画総合バラエティ番組開始とのこと。FODにおける「有野屋書店」のような位置づけになりましょうか。動画配信とコミック販売の連携も多様化していきますね。


この記事、漫画家さん向けにとても良い記事だと思います。昨今の現実です。

個人的にトキワ荘PJ時代は、商業誌連載一本を目指して活動開始して、1年~3年やってきっかけがつかめなかったときは、こうした多面的な活動に入っていったほうが、結局長くチャレンジを続けられ、必然プロになれる可能性、生き残る可能性が上がると、若い漫画家志望の方には伝えてました。真理だと思います。


講談社の漫画IPサーチ機能に、新機能としてマンガの販売ランキングや、漫画賞の年表が追加されたとのこと。こうしたものは、実際運用を続けていく中で、あったほうが良いなと気づいて改善されていくのでしょうね。


界隈において、NFTやWEB3と言ったワードは、すでに忌避され気味なところではありますが、そこに対してマンガ・Webtoonの制作データの根本に関わるセルシス社が取組を行うことは意味があるように思います。

ここでは、ビジネスのプラットフォームを提供するというより、大元になるデータ部分のモジュールを提供するということで、根本的なサービスを提供していこうということなのかなと理解しました。


もともと、アニメの製作やプロモに強く関わり、出版社との取組も多い電通ですが、それらをパッケージングした「Manga Anime Growth Partners(マンガ・アニメ・グロース・パートナーズ)」という取組を開始するとのこと。

事業内容を見ると、もともとやってたんじゃないかな?ということも多いのですが、銘を打って行うということは、実際この領域のビジネスが閾値に達するくらい大きくなったんでしょうねぇと推察されます。


権利不明著作物も含めた、著作物使用の一元窓口化、法制化についてはついに2023年に向けて改正法案を出すということなのですね。

記事には明示されていませんが、これに関わる分科会が12月5日に文化庁から報告が上げられています。

「簡素で一元的な権利処理方策と対価還元」ということで、ともかくなるべく簡単にこうした権利処理が出来る窓口を作ろうということで、音楽におけるJASRAC的なものを作ろうということだと思うのですが、この辺りは本当に実務や、二次創作の文脈を理解したうえで、「現状に対して余計なことをしない」法制化が切にのぞまれます。

審議会の参加メンバーを見ると、大学の先生と弁護士さんだけで構成されてまして、その中にただ一人、実務に明るい福井健策先生が名をつらねておりまして、なんとか民を邪魔しない動きに落とし込んでいただきたいと、本当に思う次第です。福井先生、何卒よろしくお願いいたします。


AIイラスト・画像生成関連

AdobeがAI画像のアップや使用に関する新たなガイドラインを発表とのことで、世界的に見てもクリエイティブ制作者がもっとも使用しているツール提供者ですので、事実上の業界標準となる可能性も秘めたものになります。

AIにより生成されたコンテンツには出どころを明確にするために「AI」のラベルを付けるなど、一先ず模索している感がありますね。


こうなっていきますよね的記事ですね。「同じキャラを描き続けられない」みたいな弱点はありますが、この辺りは機能的にカバーできそうな気もします。


記事のみ紹介


告知関連

バキ展 inサッポロ

場所:サッポロファクトリー 3条館
期間:12/9-1/9
先日東京ドームで開催されていたバキ展、札幌に巡回です。



今週は、古巣トキワ荘プロジェクトによる、今年頑張った漫画家さんを応援するイベントに参加してきました。2010年から7年ほど関わり、かれこれ5年前に若い世代に運営をお任せした経緯なのですが、すっかり私には及びもつかない進化をとげておりまして、大変頼もしかったです。

今いる作家さんたちの漫画も、かなりレベルが向上してまして、沢山漫画を買わせていただきました。作品制作だけではなくて、Vtuberとコラボなど、ほんと隔世の感です。

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主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに別途特集を書きます。マガジンTwitterのフォロー、よろしくお願いします!

現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。

コミチ+は、来年に向けて大手出版社やWebtoonSTUDIOなどの大型受注を複数控えておりまして、絶賛エンジニア、Webディレクター(運用担当・データアナリスト等)などを募集中です。サービスがどんどん大きく広がっていく、これから滅茶苦茶楽しくなっていくタイミングです。一緒にやりませんか!私も力を出し切るつもりですし、一緒に働く方には私の持ってる知識や人とのつながりを最大限提供したいと考えています。詳細は以下より。

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