見出し画像

【マンガ業界Newsまとめ】赤松健先生「表現の自由を守る」ため来夏参院選出馬 など |12/19-031

マンガ業界の日々のニュースをまとめるマガジンです。業界の皆様の情報収集時間短縮になればとまとめています。SNSシェアや感想いただけるとむせび泣いて喜びます。

―――

漫画家で日本漫画家協会理事でもある赤松健先生が、与党自民党から来夏に参院選に出馬することがご本人のツイート等から公表されました。

これを受けて、様々な意見が出ておりますが、同じく日本漫画家協会の理事である森川ジョージ先生のコメントが、「士を良く知る」コメントだなと思い、紹介させていただきます。

旧Jコミ(現マンガ図書館Z)の時代から、一貫して「海賊版対策」を訴え、連載マンガ家であるにもかかわらず、並行してマンガ図書館Zの事業を推進。近年は日本漫画家協会の理事となられ、ちばてつや先生などとともに政策提言(ロビー活動)や、啓蒙活動をされていました。

今回の与党自民党からの出馬は、成果を最短距離で出すことを常に志向している赤松先生らしい「政策を作る立場になる」ための最速手段であったのであろうと推測します。「口で言うだけ」では何もならないのが現実の世ですものね。

現役の漫画家でありながら政治家にもなり、海賊版撲滅などの実現を目指す赤松先生は、近年既に「政策に影響を持つ」業界の代表者ではあったわけですが、今後は多くのリスクを背負いながら、実際に「政策を作る」業界の代表者となられていくわけです。

業界の皆様におかれましては、引き続き応援することはもちろんのこと、出来るならお手伝いや後押しをと思います。私も中学校の後輩として出来る限りのことをと考えています。


電子書店の老舗で大手「コミックシーモア」が、新ブランド「MangaPlaza」で、米国の漫画市場に向けてのサービスを、2022年より開始とのこと。

協力出版社は講談社、白泉社、新潮社など30社以上4万作品以上でスタートするようです。国内でも開始しているサブスクのサービスには1万点以上ラインナップしているようです。

また、事前登録キャンペーンや、英語化した動画など、施策を準備しているとのこと。

Webtoonも含め、海外向けの動きが各社積極化してきましたね。聞く限り、このMangaPlazaの展開以外にも、いくつか水面下で動いている海外向けの未発表施策が、これからも出てくると思います。

J.Manga.comの撤退から8年、2020年代は今度こそ日本漫画の海外進出が本格化するタイミングとなりそうです。


Webtoon関連の国際的な動きを2つほど。

韓国Webtoon大手、NAVER Webtoonは、米国において出版事業を開始、『女神降臨』などの人気作品を単行本出版するそうです。紙の本を出すというみでしょうね。

現在の北米におけるコミック市場の実情を見ると、その大部分の売上は紙のコミックスになります。韓国や日本のコミックスは過半がデジタルに移行して久しいですが、そうした国はまだまだ稀で、米国においてマンガのビジネスを考えると、紙の市場は無視できなかったと考えての展開かなと思います。

2つ目の記事は、Google自動翻訳をかけているものですが、韓国大手もう一方の雄のカカオエンターテイメントが、Wuxiaworldというファンタジー小説などを翻訳するプラットフォームを買収したとあります。

記事中で特に謡っていないのですが、このサイトはいわゆるScanlationサイトで、説明を読むと「好きな作品を翻訳しよう!」と元気よく書いてあります。端的に言えば海賊版サイトなのかもと。(個人的に少し調べまして、そういう判断をしました。違ってたらごめんなさい。)

大手アニメ配信サイトCrunchRollも、元々は海賊版サイトであったところから正規軍化した経緯がありますし、このあたりは各社各国の事情やタイミングが大きいのでしょう。

SimilerWebで調べた所、セッションで4200万/月、PVで2億PV/月ほどのサイトでした。口コミコミュニティもありサブスクサービスもあるようです。ユーザーの30%が北米、20%がアジアとのこと。こうしたサービスも韓国Webtoon展開の先兵となっていくと思われます。


国内Webtoonの老舗comicoは、サービスの大幅リニューアルを実施、UIを刷新し、無料チャージチケットの配布について大きく調整をしたようです。

現在のcomicoは「米国、カナダ、シンガポール、イギリスなどの世界各地で展開し、世界累計のダウンロード数は3,500万件」とのこと。前回の本まとめnewsでも触れた通り、世界的なWebtoonの市場の伸びはこれから大きくなっていくことが予想され、既に各国展開を済ませているcomicoとしては、そこに向けてUIの改善などに余念が無いといったところでしょうか。


[LINEマンガのPR記事です。PRですが面白かったので取り上げてます。]

LINEマンガでは積極的に新人漫画家獲得を行っており、なかでもWebtoonの作家を広く募集しています。硬軟様々な施策を行っているのですが、その中にはこの記事のように日本の漫画家に対して、Webtoonそのものについて啓蒙する趣旨のものもあります。

Webtoonの基本となる、縦スクロールの際のコマ割りノウハウや、逆に縦スクロールで制作したマンガを書籍化する際の比較画像などがあり、目で勉強になります。

ただこの、作家の平均年収が3000万円というあたりは、恐らくスタジオ単位で制作をしているであろうことや、ここで作家と言っている定義の範囲がどんな人かというあたりについてもう少し知りたいところではありましたね。

編集長の松井さんは、前職の頃から存じ上げてて素敵な方なんですが、このF子調で描かれている時の目のεεがまた良いですね^^


講談社ヤングマガジン誌上で12/27より連載する『code:ノストラ』という作品をNFT化するとのこと。受入するNFTプラットフォームの創業者の中に、ライフネット生命創業者の岩瀬大輔氏がいるなど、大物の名前もあります。

NFTのビジネスとしては、マーケットプレイスでの二次取引も視野とのことで、具体的なコンテンツなど詳しいことはこれからのようです。


株式ニュースですが、アートスパーク社(セルシス社親会社)の株価がストップ高とのこと。

原因は、前回まとめnewsでも紹介した国内ペイントツール最大手、クリップスタジオのセルシス社を子会社に持つ同グループが、韓国Webtoon大手と資本業務提携を行ったことです。

爆速拡大をみせるWebtoon業界内で、制作ツールとしてクリスタが標準となれば、その将来性は大きいということですね。

日本のマンガ業界は、主要出版社の中に上場企業が少ないため、こういうマンガ関連銘柄でストップ高は、ちょっと珍しいです。電子コミック急成長時代にいくつかの会社ではあったんですけどね。

それだけ「Webtoonへの展開」は、これまでの「マンガ業界内での展開」に比べスケールが大きいため、株式市場においてはより大きなビジネスに繋がっていくという評価されての、一連の各社資金調達や株価高騰であると思います。

ここにきて、マンガ業界を取り巻くゲームが少しずつ変わり、スケールが大きくなってきていることに、注意を払うべきと思います。


飯田一史さん安定の記事。「学習マンガ」と「児童マンガ」という、近そうでいて全然違う両者についてです。内容がとても示唆深く濃密でまとめきれないので、これはもう記事を読んでくださいませ。

図書館指定図書ということなら「これも学習マンガ!」という取組もあったりして、マンガと図書館の融和施策が出たりもしてるのですが、その本質はかくのごとしですね。


個人的に面白かったのですが、これがあると同人誌づくりに必要な情報が全て載ってるのだそうです。

ネタとしても面白いのですが、2021年秋以降、しばらく開催が見送られていた同人誌即売会が復活しつつあり、久々に活動する方々のチェックリストになったりしたら、色々はかどります。ありがとうございます。


これも前回まとめNewsで触れたことの続報ですが、やはり従来通り規約通りで、たんたんと大人の対応をしたということですね。正しいと思います。さすが老舗の安定感です。


これはマンガの話題ではないのですが、気になったもので。

『くるみ割り人形』の初演は1892年、その内容が人種差別的ということで講演が中止となったということですが、これを言い出してしまうと、どんなジャンルでも、そんなことばかりになってしまいます。

別けても古くから作品が作られ性質上多様性のあるマンガなど、多くのものが出せなくなりますね。こうした面において、冒頭の赤松先生の活動などには本当に頑張ってもらわないと、これからはそういう時代になるのだなという話題でした。


これは本当に良くないですね。処分はなされていますが、まずは関係者の方のお心が慰撫されることを願います。

少し気になったのは、原作者の配偶者の方が作画担当ということでSNS上でも活動休止の声明を出されているのですが、これがまた事態へ火に油を注いでおりまして、このあたりは個人の責任に基づくこととはいえ、発信者として自身の見え方などを学ぶ機会がもっとあればと思うのでした。


U4近藤社長の行為以上に、近藤社長コメントの「クライアントから提示される制作費が安価なため、毎回、作品を作ると必ず赤字になる。」など、押しも押されもしないトップアニメ制作会社の実情が話題になっている本件ですが、改めてこの窮状吐露が話題となりました。

地裁の裁判官より「業界のベースを変えることは難しいのか」と尋ねられるなど、最早なんの事案なのかわからない様相を呈しておりますが、これは「脱税」の話ですよね。。。『鬼滅の刃遊郭編』も絶賛放映中の現在、あらゆる意味で状況が改善されることをのぞみます。


今度は野村萬斎さんで『鬼滅の刃』が能狂言化されるのですね。
確かに、作品として能狂言はぴったりかもしれませんね。

野村萬斎さんは『のぼうの城』も良かったですが、あのシンゴジラで「ゴジラに振り付けをした」という異才です。伝統芸能が演じる水の呼吸を全集中して見守りたいところです。


毎度、liboroさんの北米Newsコーナーです。北米Newsではあるんですが、韓国のニュースが日本語にならずに韓/英で発信されてることも多いらしく、韓国のNewsも読めていいですね。

Webtoon作家の収入というところでは、日本と違い単行本収入が無い分、映像化収入が多きいということみたいですね。

あと、アニメイトの米国進出とか、一緒に一迅社海外ライツの話など、英語のニュースでしか読めないから逆輸入されるという感じでしょうか。興味深いです。


―――Newsまとめここまで。

主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに特集を書きます。

編集後記的なものですが、今週の水曜日にスピリッツ伝説の作品「サルまん」の舞台を見てきました。ものすごく面白かったです!

原作の竹熊健太郎さん、相原コージ先生とご一緒してみることができまして、大変楽しい経験が出来ました。公演は12/19(日)で終わったしまうのですが、配信チケットでは、12/19~12/25でアーカイブを見ることが出来るようです。

『サルでも描けるまんが教室』が好きな方なら、みなさま楽しめると思うのですが、小学館の社員や当時を知る漫画家さん達には「白井編集長」があんまりに爆笑必須なので、ぜひ見てください。原作者周辺席は、とにかく白井編集長が出る度に他のお客さんそっちのけで笑ってました(笑




この記事が参加している募集

Twitterもやってます!フォロー、よろしくお願いします! https://twitter.com/t_kikuchi