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【マンガ業界Newsまとめ】国内サービスAI規制相次ぐ、出版社のグッズ製作・EC 、進化するマンガのデジタル戦略 など|5/14-101

マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。今週は、先週お休みしたので連休中のニュースも入って少し多いです。

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国内主要サービスのAI規制相次ぐ

国内の主要な成人向けCGM系サービス(クリエイターが個人などで自ら作品をアップするサイト)にて生成AIを使用した作品についての取り扱い停止、及びアップロードの制限が相次ぎました。

特に、クリエイター個人がサブスクで作品を提供する、大手3社fantia-とらのあな、Fanbox-Pixiv、Cien-DLSite、についてはAI作品の取り扱い停止を発表。

マンガやCG集などの単品作品を販売するFANZAでは、作品数のアップを月間一本に絞り込みPixivでも悪質行為への取り締まりを強化、など、コンテンツの性質や各社のスタンスなどから、若干の違いはありながらも、概ね規制と言う方向に動いています。

いち早く、AIを使用した作品の提供を禁止していたSkebのなるがみさんも、この状況に対してツイートしています。

各社現時点は「取り扱い一時停止の上、今後の対応を検討」とありますので、今回以降のタイミングで、なるがみさんの言う通りある程度足並みを揃えていく協議がなされるかどうかというところでしょうか。

今回動いているところは、いずれも、
・個人作家の自主製作作品がコンテンツの中心
・成人向けコンテンツが大きな売上
というサービスが、個人クリエイターの早い動きに対していち早く対処した形です。

非成人コンテンツや、大きな版元・企業が関わるところではこうした対応もまだこれからというところで、引き続きAIとエンタメ界隈のせめぎあいは続いていきそうです。

クリエイターからの反応や反発は大きく、当初AIに寛容な動きを見せたPixivについては、かなり大きな動きがありました。時系列で言うと、上記の動きの前の話ですが、この動きが各社の対応を生んだとも言えそうです。

大手出版社の知財を担当するなどする福井健策弁護士も、弁護士ドットコムからコメントを出していますが、具体的な対応がかたまるまでは、各クリエイター(ここでは出版社なども含む)は、現状を正しく把握して、冷静に対処するように呼び掛けています。


出版社各社グッズ展開・EC直販進行

小学館、人気漫画のグッズをネット販売 EC限定商品に注力、原作ファンに訴求

白泉社マンガ公式ECショップ「白泉社漫画商店」が5月11日オープン!

大手出版社が、自社作品に関わるグッズなどを直接企画・制作、ECなどで直販する動きが進んでいます。

講談社は2010年代前半からライツ事業を強化、アニメ製作委員会への投資から、一部グッズなどの権利取得や、池袋に2.5次元対応の芝居小屋など含めた、ミクサライブ東京を作るなど、ライセンス周辺ビジネスを自社で行うビジネス化を積極的に続けています。

集英社は、ドラゴンボール専門部署の設立や、イベント・グッズの専門部署を立てるなど、強いIPの周辺ビジネスを自社で行うようになり久しいです。 

中堅の目立つところでは『北斗の拳』『シティーハンター』等を擁し、最近は新たなヒット作の開拓も著しいコアミックス社や、現在『ぼっち・ざ・ろっく!』が好調な芳文社も、数年ごとに出現するヒット作品をのイベント・グッズ展開などを丁寧に監修しながら、IPとして積極的に収益化しています。

今回の記事では、小学館が自社企画のグッズなどを製作のうえECで直販することについて「コアなファンの反響」にこたえる例もあげられています。

白泉社は自社運営の公式ECショップ「白泉社漫画商店」のオープンをリリースしていますが、最近では『ベルセルク』のコアファン向けフィギュアを自社製作したりしています。

『エンタメビジネス全史』が話題の中山淳雄さんの『推しエコノミー』によると、鬼滅の刃のビジネス規模を1兆円とすると、そのうち9割の9,000億円は商品化によるライセンスビジネスということ試算しています。

9,000億円と言うと、これだけで国内漫画市場規模を超えますが、この売上はこれまで、ライセンスフィーとして一部出版社に戻るのみで、会社や市場として売上に計上するインパクトは小さかったです。

これが、出版社が自社でIPビジネスを直接的に行うとなると、売上・利幅ともに向上し、出版社の経営規模が大きくより盤石になり、作家への還元も大きくなります。

商品化の中には、コアファン向けに「気の利いた」アイテムが求められるところもあり、このあたりは作家に近い出版社が動くほうが商品としても、作家性と言う意味でもクオリティを担保することは容易です。ビジネス的にはチャレンジも多いですが、悪いことではないです。

そのうえで市場も大きいとなると、こうした出版社企画のIP展開、ECなどの直販など、ビジネス展開が加速することは容易に想像できます。


進化するマンガのデジタル戦略 紙のマンガ誌低迷も出版社は好調 なぜ?

サブカル専門ライターの河村鳴紘氏の記事3つです。マンガ雑誌のWeb化ということで、白泉社「ヤングアニマルWeb」秋田書店「ヤンチャンWeb」の展開に触れています。

大きな流れでは2000年代にガンガンオンラインによるWeb化から始まり、その後の電子書店・マンガアプリの台頭からの各出版社によるマンガアプリ続出、大広告競争時代に入ってのち、ヤンマガWebなどの話読み課金も出来るマンガ雑誌の確立という流れから、今に至っています。

「ヤングアニマルWeb」と「ヤンチャンWeb」は、私の所属するコミチ社が「ヤンマガWeb」で培った「コミチ+」という仕組みを導入していただいています。

この「コミチ+」は年内かなりの導入実績を上げそうな手ごたえを得ておりまして、デジタルマーケティングや運用ノウハウを駆使した、単にWebにマンガを載せればOKという単純なものではないため、詳しいことはお問合せいただけますと幸いです。


国内News

AIの話題が付きませんが、少年ジャンプ+編集部が「AI編集者」機能をリリースしました。漫画家のアイディア出し、校正、漫画家を励ますなど、ユニークな機能をもったAIチャットBotサービス「ComicCopilot」を、アル社と共同でリリースしました。Copilotですから副操縦士なわけですね。

AIへの批判議論も多い中で、一部の作家が好意的な反応を見せるアイディア出し面特化の素早いサービス開始、ジャンプをしてこの使い方を打ち出すことや、最後の「励ます」機能の実装など、アルらしいユニークな取組です。


これも集英社からで、少年ジャンプ編集部から学習マンガ雑誌「勉タメ」リリースとのこと。各出版社による学習マンガは様々ありますが、Boichiさん、田村隆平さんなど、現役感あるジャンプ作家を投入しているところがジャンプの強みと言えそうです。


DAYSNEOに少年画報社が期間限定で参加とのこと。


KADOKAWA直近23年3月期決算を、売上高2554.29億円(前の期比15.5%増)、経常利益266.69億円(同31.9%増)と発表しました。引き続き、エルデンリングの好調が増収増益に貢献しているとのこと。出版部門は売上増、営利は減。


「めちゃコミ」のインフォコム社が決算発表しました。売上は過去最高で、めちゃコミックの部門売上も462.4億円(14.1%増)、広告出稿への投資で営業利益は60.4億円(17.1%減)としています。昨年、売上伸び率が下がったところはありましたが、「踊り場から脱出」というテキストも記事中にあります。


主催のKADOKAWAによる、ネット上での大きなプロモーションや、「Webマンガ部門」の存在から、ネット上で最大級の盛り上がりを見せる漫画賞「次に来るマンガ大賞」のエントリーが開始しました。今年もこの季節ですねぇ。


GW中に別の意味でも話題になりましたが、アフタヌーン編集部のnoteかなり読まれてますね。この書きぶりからして、恐らく編集長のK井さんだと思いますが、それこそここで紹介されてる映像化作品も立ち上げた凄腕です。

そのアフタヌーン、月刊誌2誌と一部Webと言う運用ですが、年間で11作品映像化とのことで、とんでもなく凄いですし、編集さんたち目を回すくらい忙しいんじゃないでしょうか。お疲れ様です。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

国内Webtoonスタジオが、とにかくLINEマンガで売上作りたいという情勢の中で、LINEマンガインディーズやオリジナル作品の責任者をしている小室氏のインタビューです。お話を読むに、この小室さんのお仕事は日本のWebtoonの中でも非常に重要な部分を担われており、その様子がうかがえます。

個人的に、前職のトキワ荘PJ時代に一緒にテレビの取材を受けてもらうなどした、山下将誇さん原作の『コミュ障、異世界へ行く』が超推しです。

編集者のコバさんも、この小室さんも前職からのお付き合いなのですが、こういう作品を産んでくださったこと、大変感謝しています。個人的にも好みにストライクですし、とにかく課金して推してます。「ゴブリン1匹に22ページ費やす異色作」というキャッチも良いですね、確かにそういうお話です。


成人向けの作品に実績のあるウェイブ社の「Studio73」ですが、Webtoon制作スタジオとして「横読み漫画」を始めるとのこと。

週刊少年サンデーとLINEマンガで、Boichiさんがサイマル連載をすることでも話題になりましたが、縦で作ったマンガを横にするのはなかなか大変と言われていますので、それだけ大変な手間をかけても価値があるという判断なのでしょうね。興味深いです。


「ちるちる」は、知る人ぞ知る最大級のBL情報サイトで、そこからマンガ生まれるというのは興味深いですね。ノックトゥーンが取り組むというのことはやはりWebtoonなのでしょうか。


Webtoon制作を謡っていた一角、まんがたりの第1弾作品『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』がスタートです。


こちら興味深いのは、インドネシア企業を受け手としてカラーリング事業を行うことを発表している点です。インドネシア、ベトナムなどは、アニメやゲームのカラーリングなどの下請けをする企業が多く、その辺りがWebtoonにも進出中です。


こちらの調査も話題になりましたが、個人的に直近1年に制作経験のあるマンガの種類で、縦読みが46.8%という割合に驚きました。投稿先はLINEマンガが34.2%でトップとのこと。なるほど。


and factory社が横読み漫画のWebtoon化にAI活用を研究とのことでリリースしています。需要ありそうですね。株価にも好材料とか。

外部提供してサービスとしても出来そうですが、プラットフォームを運営する同社のことですから、翻訳も絡めれば、AIを活用した作品のサイマル配信を世界同時に行うなんていうこともできそうです。


海外News

伝えられていた講談社の米国市場向けプラットフォーム「K MANGA」がアプリでリリースとのこと。400タイトル扱いで、60作品の最新話はサイマル配信とのこと。サムネイルの色味がマガポケと一緒だなーと思いました。


主に小学館と集英社が運営する北米企業VizMedia社が、月額2ドルのサブスクマンガアプリ「VizManga」をスタート。既に集英社ジャンプ作品を中心とした2つのアプリを出しているが、このVizMangaは小学館作品に力を入れるとのこと。


韓国は、漫画家が法人なりして作品を作るケースが多いので、スタジオの企業としての売上を指してるのか純粋な個人の所得(そう書いてはいますが)なのか、ちょっと気になるところではありますが底上げが進んでいるようです。


ここから英語記事になります。自動翻訳機能などご利用ください。

NAVERのWEBTOONとDiscordeの新しい取組で、DiscordのキャラをWebtoon化するようです。現時点ではTwitterがコミュニティとして不安要素多いので、Discorにも広げる意味合いがありそうですね。


米国では、5月の第1土曜日は「Free Comic Book Day 」とのことで、読み放題を1日でまとめてやるみたいなんですが、その記事です。現在の日本だと、さすがに1日では知れてるので、結構長めに期間を取るようになってきた気もしますが、その過程というところでしょうか。そのうちWeekとかになるかもですね。


カナダのカルガリーと、ニューヨーク州のサラエボで行われたイベントのレポートです。楽しそうです。


インドネシアのWeb-Comic「Tahilalats(タヒララッツ)」リアルレストランとコラボして繁盛させたり、Netflixなどでも普通に映像化されてるとのこと。


今年、人口世界最大になったインドですが、内国産のコミックと言うことだと、ヒトコマ漫画の風刺画が一般的なんだそうです。靴を履いてる人が少ない国に、靴を売りに行くような状況でしょうか。ブルーオーシャンと言えるかどうかですが、ここにWebtoonと横マンガで競争してはいると、なかなか厳しいだろうなとは思います。


ハンガリーで、コミック発売記念イベントです。 こう見ると、マンガと言うよりは絵本に近いですね。バンドデシネに近いのかも。

ユニバーサルスタジオが、ナイジェリアとの取組を開始。ついに「アフリカマンガ」だそうです。広がっていきますね。


AIイラスト・画像生成関連

LINEでお友達になるだけで、画像を作ってくれるサービス「AI画王」とのこと。


サムネイルの絵柄が気になりました。ちょっと技術的なことによった記事です。


この記事も各所で話題になりました。


記事のみ紹介

以下、主に英語記事です。


告知関連

これは良さそうですね。


こうしたことを調べ尽くして、様々な出版社・WebtoonスタジオのWebマンガ雑誌を運営するコミチでは、エンジニアや運営インターンを絶賛募集中ですー。一緒に伸び盛りの企業で働きましょー。

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現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。

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