【マンガ業界Newsまとめ】漫画/Webtoonともに世界市場拡大中・日本ではミニ書店増加 など|4/23-99
マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。
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漫画/Webtoonはフォーマットに関わらず世界で成長中、2019年以来米国では売上高が4倍に。
<紹介記事は英語記事になります。自動翻訳など活用ください>
一つ目の記事では、横マンガ、Webtoonに関わらず、市場規模が世界で拡大中、各社の参入や、ビジネスのグロースを伝えています。ちなみに、翻訳するとライターさんの名前が「デブ青木」と出てしまうのですが、この方は米国在住のDeb Aokiさんというベテランのマンガ・アニメライターさんで、こうした記事を書く存在としては、北米で最も有名かつ実績のある方の一人です。
2つ目の記事は、米国におけるマンガの売上が2019年から4倍になっているというリサーチ会社の数値を伝えています。この記事の中で、2022年の世界のマンガ市場が116.8億ドル(約1.5兆円)あるとも伝えています。
この数字は初見であったため調べたところ、これも米国のリサーチ会社Polaris Market Researchのもので、グローバル調査を行い、横マンガもWebtoonも合わせた形で、9年後の2032年には500億ドル(6.7兆円)を超えると試算しているようです。(レポートは最安値で4,250 US$~)
これを見ると、これまでなかなか海外輸出は難しいと言われてきたマンガではありましたが、やはり海外へ作品を出していくことに積極的になるべきであろうことが考えられますね。近年、Webtoonだけが伸びるという雰囲気もありましたが、横マンガも伸びているのですね。ただ、国内はデジタル、海外はアニメ化作品中心に紙でという大きな傾向はあるのですが。
黙っていると、成長著しい韓国・中国のクリエイター・企業にシェアを取られてしまうだろうということも、簡単に予想できます。これは、横マンガ、Webtoonに限らずですね。
東映アニメーション、韓国のコンテンツスタジオ・Studio Nと共同開発を発表 韓国発ウェブトゥーン「高手」アニメ化に向け
東映アニメーションが、韓国のWebtoonStudio「Studio N」と、ヒット作品『高手』のアニメ化に向け、共同開発・業務協約締結とのこと。
既に、CrunchRoll、AniplexやNetFlixと言った大手企業がWebtoon原作のアニメ化などを手掛けていますが、そんな流れから、国内でも保守ともうしますか王道アニメを多数つくってきた本丸の東映アニメも、韓国スタジオと直接作品制作をしていく形を取るというのは、またひとつフェーズが進んだ印象です。
やはり『ドラゴンボール』や『スラムダンク』を映像化している、東映アニメーションは韓国から見ても「日本最高峰の製作会社」というコメントが、StudioN代表の權娓慶氏からも出ておりますね。
なお『高手』は、いわゆる武侠物で、日本で言えば王道ファンタジーバトルに通じる韓国中国ではメジャーなジャンルになります。その辺りも興味深いところです。
書店閉店の報続く中、ローソン「20坪戦略」、NPOほんの学校「書店開業入門講座」
地方書店閉店の報が止まりません。無書店自治体が2022年9月で26.2%にのぼるという声も聞きます。そんな中でも、新しい取組が増えていっています。
もともとコンビニは雑誌コーナーや、小さな棚の小説・漫画コーナーなどありましたが、ローソンによる主に地方の大型店舗向けの書店コーナーづくりの話題があがっています。文化うんぬんという記載もありますが、圧倒的に利便性が高いと思われます。
現場の店主さんからは、からあげくんと子供の絵本の買い合わせに触れられたりしています。想像しやすいですね。
こちらは、NPO本の学校による「書店開業」のオンライン講座です。
とあります。
私の身近ですと、マンガ版『日本沈没』の漫画家「一色登希彦」さんが、現在三重で飲食店を営んでらっしゃるのですが、お店の中にミニ書店コーナーを設け、ご自身のチョイスのマンガを販売されているとのこと。
元漫画家さんが飲食店を営みながら、チョイスした作品を販売するミニ書店。ということですけども、とても良いですよね。
デジタルコミックは内外で大きなビジネスへと変貌して久しいですが、紙の本やマンガは、こうした方向に形を変えていくのではないかと、興味深く見ております。あと、一色さんの料理、本当に美味しそうです。行きたい。
国内News
4/20でピッコマが7周年とのこと。かなり大きなキャンペーンを実施しています。
このタイミングで、映像化が伝えられていた『静かなるドン』の映画PVが公開されました。連載が終了して数年を経てのこの作品のヒットや映像化は、ピッコマ上でのリバイバル人気がきっかけということは多く語られております。ある種、ピッコマによる実写化とも言える流れですね。
コミックエッセイを得意とする竹書房が、総合サイト『竹書房コミックエッセイcafe』をオープンしました。『本当にあった愉快な話』の読者投稿フォームを作ったとのこと。こういう意味での公式読者投稿コーナーはユニークですね。「怖い話」とか「嫁舅どろどろ」とか、そういうジャンルでコーナー作ったら、沢山投書が来そうです。
めちゃコミのクリエイター投稿サイト「めちゃコミック クリエイターズ」で広告収益化が可能になりました。この取組自体は、流れ的にジャンプ+やコミチなどでも実施されており、珍しい取組と言うことでもありませんが、C2Cが着々と進んでいるなと言う感はあります。
マンガ・アニメの街と言えば、東京なら秋葉、池袋、中野ですが、大阪では日本橋ですね。NIHONじゃなくて、NIPPONBASHIです。
その難波・日本橋のアニメイトでも大きな展示スペースがオープンとのこと。アニメイトの本拠地池袋でも、先日大型スペースを内包する新本店がグランドオープンしましたが、大阪もですね。
インバウンドの影響で、難波の街も外国人観光客が大変な数訪れていると思うのですが、東京・大阪双方でそうした需要の期待に応えることは重要な準備と思います。
コルク社佐渡島氏と、ナノベーション中野社の代表中野氏による企業マンガ(広告マンガ)の対談です。
新人漫画家が経験を積んでいく過程で、広告マンガを受注することは、経験を積みながらお金も稼げるという意味で、合理性のある取組に思えますよね。
ただ、普通に世にある広告マンガの仕事をしようとすると、ギャラが安く、ケースによっては取材が重たかったり、マンガに慣れないクライアントからの要求が重かったりと、難しさもあります。
そうした意味では、大元の広告案件をしっかり大きな案件として企業に提案し、大きく取ってきた予算を漫画家に還元できる仕組みを確立しつつ、しっかり一般企業のクライアントに対する防波堤になる編集者が入る形が出来れば、それは非常に素晴らしいものになると思います。そうしたことで、先行している企業もいくつか出ていますね。
マンガ同様アニメや音楽などの海賊版対策をの先陣を切るCODAのニュースです。
なんとなく、これまで海賊版のニュースと言うとマンガの話題が多かったように思いますが、現状試算する被害総額が2兆円程で、その中ではアニメ・映像ジャンルの被害額が一番多いのとのこと。これは世界的に見てもそのようなのです。
今回はブラジルでの大型摘発にも触れていますが、中南米のスペイン語・ポルトガル語圏などは、正規の翻訳版も英語版に比べると少なく、映像・漫画ともに海賊版が横行しやすいところがあります。こうしたところAIでどうにかなったりすればと思ったりします。
今週のWebtoon新規参入・新たな動き
大手電子書籍プラットフォームの一角、BookliveがWebtoonにPFとして参入、大きなキャンペーンを行います。集英社『氷の城壁』、GIGATOON『夫を社会的に抹殺する5つの方法』のほか、『ヒョウ系彼氏の恋愛戦略』あたりはオリジナル作品のようですね。
同社は先行して、中国Webtoonの邦訳などのプロジェクトが動いており、そのあたりからのオリジナル作品なのかもしれません。
LINEマンガで5億回読まれた『私の夫と結婚して』の記事です。広告にもかなり出ていましたね。韓国での復讐劇人気や、ローカライズの工夫などが書かれています。
ウェブトゥーン関連ビジネスを行うNKT3社が、『韓国ウェブトゥーン業界カオスマップ』を制作、発表しています。日本でも良く聞く名前や、作品で見かけるロゴなども多くありますね。NAVERとKAKAOのグループなど、判り易くなっています。
これ、作るの大変ですよね。制作者の方お疲れ様でした。
海外News
先週報じられたAppleのWebtoon進出ですが、こちらの韓国メディアによる英語記事が詳しいです。日本でのリリースでは触れてなかった内容です。
これは恐らく、日本で販売開始してはいるが、クリエイター確保は韓国で行っていたため、むしろ事情通が多いということなのでしょうね。
Appleは今回この日本へのWebtoon進出に3年の準備をし、180人以上のクリエイターと100以上のWebtoonを制作する予定なのだそうです。思った以上に大規模ですね。この日本進出ののち、北米市場への参入を検討しているとのこと。
つまりAmazonにしてもAppleにしても、韓国で作品集めをしてはいるのですが、Webtoon事業を最初に開始する国は日本なんですね。既存のマンガ市場の大きさを重視したんでしょうか。興味深いです。意外と両社で密接に連絡とりあってたりして。知りませんけども。
ピッコマの日本での売上が累積で22億5000万ドル到達とのことで、だいたい3000億円弱くらいでしょうか。日本では、1作品の売上にでも触れない限りプラットフォームの累積売上みたいな数字に触れることは少ないので新鮮ですね。投資対効果を追う文化だと、年度ではなく長い目で見る、そうした見方もある気はします。
韓国カカオとNAVERの攻防についてですが、カカオは「カカオフレンズ」というキャラクターでキッズ向けの展開なども行っており、これがアニメ化されるなどしているようです。
対して、NAVERは海外向けの作品展開で、日米中に限らずタイへの展開を行うなど、それぞれの戦いを行っているようですね。
ビジネスニュースともいえないんですが、アメリカで、15年前に亡くなったおもちゃ屋さんのご主人の住んでいた家が廃墟化してて、家に入ると未開封のプレミアおもちゃ(主にアメコミキャラで、ここが漫画のニュース)が大量に折り重なっていて、何百万ドルも価値があるかもしれないとのこと。
これ、内容もすごいですけど、発見の状況とか、この発見者は誰なのかとか、それまで盗掘されなかったかとか、色々気になりますね。
AIイラスト・画像生成関連
今週マンガ業界でかなり話題になったAI関連の話題は2つとも漫画家さんによるものでした。そのうちひとつが、成人向け漫画家のヒツジさんによるアダルトマンガ制作のAI活用法です。
あまりに興味深くて私も数字を暗記してしまったのですが、あらゆるツールを駆使し、28ページのカラーマンガを2日で完成させているそうです。
「28ページのマンガを2日で完成」です。やばいです。
ただ、いまのところはマンガ制作経験が豊富にある人だから出来てることだとは思うのですが、それにしてもですね。
漫画家のうめ・小沢高広さんによる、物語づくりのChatGPT活用法です。
これはもう、最初の経緯からnoteを読んでいただければと思うのですが、確かにこの通り進めるとストーリーが出来てしまいそうです。とても良く出来ています。
全く個人的なことなのですが、わたくし以前、とある「NovelJam」というイベントで、小沢高広さんに編集者になっていただいて、小説を書かせていただいたことがあるんですが、ちょっとその時のことを思い出しました。私の個人的な経験から、上手にネタを掘り出していただきました。ちなみに、以下のショート(2000文字ほど)を書きました。
これ、判る人には判るのですが、「男の作法」という表紙のオマージュを、作中に出る料理(日光金谷ホテルの千年カレーなど)をイメージして、デザイナーさんに作っていただきました。+和綴じのイメージです。表紙はもうベストセラー級の出来です。
AdobeがAIでイラストレーター上で自動配色をしてくれる機能を実装とのこと。これ、モンスターの配色や、幻想世界の下塗りとかによさそうですね。
これは、コペルニクス的展開でしたね。面白いです。
記事のみ紹介
告知関連
次週、このニュースまとめもついにナンバリングで100回を迎えてしまいます。ということで、Twitterスペースをいつもの筋肉さんと5/1夜21時からやります。
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現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。
コミチ+は、来年に向けて大手出版社やWebtoonSTUDIOなどの大型受注を複数控えておりまして、絶賛エンジニア、Webディレクター(運用担当・データアナリスト等)などを募集中です。サービスがどんどん大きく広がっていく、これから滅茶苦茶楽しくなっていくタイミングです。一緒にやりませんか!私も力を出し切るつもりですし、一緒に働く方には私の持ってる知識や人とのつながりを最大限提供したいと考えています。詳細は以下より。
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