【マンガ業界Newsまとめ】トキワ荘プロジェクト16年目の第2フェーズ移行 など|9/18-069
マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。
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マンガ家育成住居「多摩トキワソウ団地」の総居室数を50室以上に拡大
トキワ荘プロジェクトを運営するLEGIKA(レジカ)は、東京日野市にある多摩トキワ荘団地を50室以上に拡大するなどし、第2フェーズに移行するとのこと。
これまでトキワ荘プロジェクトでは、若手作家がプロデビューを目指す住居支援を中心に事業を行ってきましたが、今後は「作家として中長期的に活躍できるエコシステムの実現」を主眼にしていく。
強化施策の第1弾として、Webtoon制作に関するプロジェクトを韓国企業と行うなど、レジカスタジオの活動を広げていく。(Webtoon関連は、別項でも紹介)
このトキワ荘プロジェクトは、2006年に当時の代表が自分のおばあちゃんが住まなくなった一軒家を、金銭的に厳しい環境の漫画家志望者に安く貸す。というところから始まり、以降もう活動16年となります。途中2010年から2016年くらいの間、私も代表をしていました。
肝心のプロデビューした漫画家も100人をとうに超え、代表や組織も大きく変わり、活動内容はどんどん進化しています。なんせ、おばあちゃん家が団地になり、海外企業と提携して、WebtoonStudio事業に進出というのですから、隔世の感で、元代表としても感慨深いです。今の現場の皆さんの頑張りや努力、工夫の積み重ねがこの発展に繋がっていると思います。引き続き頑張っていただきたいです。
国内News
二次創作といっても、このニュースの中ではサムネイルの通り、モナ・リザなど、マンガでは無いものの版権展開を例にしています。
とはいえ、これがエンタメ系の版権に影響しないかと言うとそういうこともなさそうです。マンガなどの作品の版権展開を考える際、版権の権利者が亡くなったり、企業が解散しているなどで、過去作品の展開が難しいケースなども良くあります。
こうした二次創作に関する権利調整まわりが整備されることにより、これまで触れなかった過去作品の展開が出来たり、権利者にしっかりお金が戻るなどの好影響は考えられます。
一方で、コミケなどの日本独特な二次創作文化は、こうした考え方とは上手くバランスを取る必要もあります。その辺りの良い落としどころを見つけて行って欲しい取組とも思います。
面白い観点の記事だと思いました。
旧来、漫画と言えば、男性誌の少年青年漫画、女性誌の少女女性漫画と言ったくくりが大きかったと思います。しかし、現在はその括りに入らないユニセックスな作品が増えたり、少年誌・青年誌にあたる媒体から女性をターゲットとして比重を置いた作品が生まれたりもしています。
結果的に、少女誌の作品が占める割合としては少なくなっているかなとは思います。しかし、少し引いた目線を取ると、マンガの市場そのものは大きくなっていて、恐らく売上の総量で言えば必ずしも以前より小さいとは言えないとも思います。
現在の少女漫画は、マンガを2分する半分の一方というよりは、マンガの発展の結果、1ジャンルになってきているのではないかなと思います。
この取組は、小学館マンガワンと白泉社マンガParkが、それぞれに作品を乗り入れて掲載するもので、既に第4弾となるとのこと。同様の見え方として、主に電子コミックで、A社の出す単行本の最後にB社作品の第1話が載るといういうような取り組みも増えています。
これは、ネット・アプリ業界で言う「相互送客」という取組です。特にマンガアプリについては、唯一のユーザー獲得手段である広告出稿がコスト割れを起こして久しく、こうした広告に頼らないユーザー獲得が一般的となっているかなと思います。
そのため、この取組が第4弾と続いていたり、その期間も2023年4月まで続くなど、定着化・長期化しているものと思われます。
DLSite/comipoを運営するviviONが、紙の単行本を購入したら、電子書籍も手に入るという取組を開始しました。
これまで、紙書籍と電子書籍の間では、どちらかを買ったらもう一方が手に入るという作品販売方式を模索してきました。これは紙と電子の両方を買ってくれる読者分の売上を毀損することもあり、実はあまり続いているものは少ないのですが、この施策にはひとつこれまでと違う点があります。
それは、この紙単行本を買った結果、電子書籍が手に入るサイトも発行元でありプラットフォームでもあるcomipoであるという点です。viviONは、単体作品としての売上の毀損をしたとしても、ユーザーを新たに獲得できる可能性が増えます。(ひとつ上に記事でも説明した、ユーザー獲得環境変化とも関係します)
いうなれば、大型プラットフォーム運営者でもある同社が、版元として作品を作っているため出来る施策かと推測します。ここまで書きましたが、このリリースだけだと、必ずしも上記指摘のように電子コミックはviviONのプラットフォームで読めるものと明言してないため、実際違っていたら申し訳ありません。事実関係が判ったら、また訂正するかもしれませんが、ひとつの考え方として一旦です。
マンガとNFTの取組は多く行われていますが、現状の電子書店による閲覧権販売型、マンガアプリ型などのビジネスモデルが十分に浸透した中、2次流通の考え方が適用されることに難しさがあるとされています。
また、結局のところマンガをビジネス化する場合、大手出版社のヒット作がラインナップされない限り大きくビジネス化することは難しいですが、現在はそこまで至るためには大きな努力が必要です。そのあたり、新規参入企業は突破しないといけない壁になっていくかなと思います。
この記事はこの引用のくだりに尽きるのかなと思います。
選挙の際に、「かつてマンガを弾圧した政府与党自民党に与するとはけしからん」といったご意見を言う方もいらっしゃいましたが、政治は投票をして意思を示した先にある実務ですので、思想信条はともかく、現況で実際に結果を出したいなら、当選して実務に落とし込むしかないかと。
『ブラックジャックによろしく』(以降ブラよろ)の作者で、取次サービス「電書バト」を運営する佐藤秀峰さんによるnoteです。
ブラよろの二次利用フリー化の際には、革命が起きたのかというほど話題になりましたが、あれから10年が経ちました。もうそんなになるんですね。その間、電子書籍の売上は紙の売上を超え、IT企業や海外企業の業界進出、新たな存在Webtoonの台頭など、いろんなことがありました。
さて、記事では申告式の二次利用フリーということで、その申告件数が4000を超えることや、フリー化したとはいえ、単行本としての販売は続けられており、その電子書籍販売のロイヤリティの合算が5.5億円を超えることなどが淡々と説明されています。
漫画の売上がこうした形で公開される機会はなかなか無く、生々しい数字となっておりますが、特筆すべきは、二次使用をフリーにしているにもかかわらず、その間の売上だけで5億円以上のロイヤリティが入っている点です。
ブラよろはこの取組の前から大ヒット作品ではありましたが、電子書籍ビジネスはロングテールビジネスである代わりに、継続的プロモーションは難しい面もあったりします。
この二次創作フリー化は、ひとつの継続的プロモーションであり、これだけの結果が出ていれば、それは十分成功と言えると思いますし、逆にやっていなければここまでの結果は出なかったのではないでしょうか。ネットビジネスの玄妙さを感じます。
今週のWebtoon新規参入・新たな動き
トップの続きとなりますが、トキワ荘プロジェクトを運営するLEGIKAがWebtoonスタジオ「レジカスタジオ」を開始。取組第1弾として、韓国ドラマ輸入などてがけるインタラクティブメディアミックスと連携し、Webtoon制作に関するプロジェクトを開始するとのこと。
色々スタジオ進出はありましたが、恐らくNPOのスタジオ進出は初めてではないかと。
最初の取組は9/14開始、賞金付き作家オーディション企画「戦略的マンガ制作サービス『レジカスタジオ』×IMXTOONコラボオーディション」とのこと。
小説プラットフォームBookBaseとWebtoonスタジオKnockToonの提携です。
韓国におけるWebtoonヒット作品の公式である「小説原作+専門スタジオのWebtoon制作」と言う型を、この業務提携により共同で事業推進する狙いですね。
小説投稿プラットフォームは数あれど、こうしてWebtoonについて直接的な業務提携をはかる形はまだ目立っては無かったと思います。新しい展開に期待したいところです。
エンタメコンテンツ翻訳のボイスルジャパン社が、HykeComicと、翻訳業務の基本契約を締結。HykeComicは開始当初から海外進出を視野に入れており、その一環とみられます。独占契約といったような縛りは無いようです。
Webtoon販売については、大手プラットフォームと専売契約しているスタジオが連携して仕掛けを打つことのほうが一般的ともいえるため、こうして1スタジオが複数プラットフォームに渡って販促をするというのは珍しい型かなと思いました。
全く私信なのですが、個人的にROCKETOONの方にお話したいことがあるのですが、全く接点がなくて、どなたかおつなぎ、ご紹介いただけませんでしょうか。私と連絡CHない方は、最下段の問合せおフォームから連絡いただけますとです。(まとめで呼びかける試み)
サイバーエージェントグループ内のスマホ広告代理店「CyberZ」のWebtoon進出にあたってのインタビューです。個人的に、同グループ内で先行するマンガアプリ「サイコミ」との関係性を気にしていたのですが、このインタビューでは終始、Webtoonの可能性や、映像化などへのメディア展開ということのみ語られています。
そういう意味では、CyberZとサイコミは全く違うものとして開始しているのだろうなと確認できた気がします。元々CAグループはグループ内に似た事業が存在して領域被りが起きても、両社普通に進めたりする文化があるので、そうしたことはあまり気にしてない感じなのかなとも。
海外News
DNPとAKIBA観光協議会が、海外の日本マンガ・アニメコミュニティである、MyAnimeList(MAL)と協業をスタートします。
ご時世柄なかなかインバウンド観光客に秋葉原へ訪れてもらえない昨今、VR内で秋葉原に来てもらい、越境ECでビジネスモデル化するという狙いのようですね。なるほど。
北米の出版社と米国当局の間では、M&Aなどによる出版社の巨大化、独占力の強さなどの調整に、難しいやり取りがなされているようです。相対する企業がamazonや巨大小売店などであれば、出版社が大きくなろうとすることも無理からぬものとは思いますが、米国当局にも思惑があるのでしょう。
この点、日本の出版社は非上場が多く、かつ現在ビジネス的に成長しているのはマンガが唯一無二というところもあり、だいぶ状況が違いますね。
BTSのプロデュースも手掛けるHYBEが、アーティストTOMORROW X TOGETHERのWebtoonをOST(Orignal Sound Track)とともに提供開始するというものです。
HYBEはNAVERの資本も入っており、単純に曲だけ売るとかWebtoonだけ売るというよなことではなく、アーティスト、コンテンツ、プラットフォームを総合的にプロデュースしていく動きを、BTSの仕掛け以来しています。
パッと我々が見た時に、その絵柄や、例えば唇の描き方など、日本で一般的に見る絵柄とはだいぶ違いますね。ただ、HYBEはNAVERグループの北米進出の中核を担う企業であるため、マーケットイン指向の強いNAVERから十分にデータをもらっての展開をしているはずで、この絵柄やキャラ造形は、北米市場のマーケット傾向を十分に掴んだうえでの取組なのではないかと、おもったりもします。推測です。
有料記事のため全て読めないのですが、この手の話題、こと中国のものに関しては、そもそも日本の文化、文字、宗教や思想など、その源流は中国にあるものがほとんどで、親戚の孫みたいものですから、もっと仲良く出来ないものかとは思います。色々ありますけども。
とのことで、韓国コンテンツ振興院(KOCCA)の取組とのことなんですが、毎度のことながらちゃんと仕事してますね、KOCCA。
AIイラスト・画像生成関連
過去2回にわたり「ミニ特集」とさせていただいたAI画像生成関連のニュースですが、あまりにニュース量が多いので、コーナー化します。
まず、大きな流れとして、この画像生成AIの世界で何が起きているのか、読み応えのある記事ですが、ご興味ある方は必読です。
それで、この記事の主題になってるStable Diffusionについてまとめた記事が以下です。(無料登録で先が読めます)
先週も色々紹介しましたが、新たな機能を実装したサービスや記事が次々と現れています。これも、上記の記事でも書かれている通りオープンソース化した展開の恩恵なのでしょう。
特にこの2つ目の記事は、リバースエンジニアリングというか、不安なクリエイターたちの気持ちを和らげるアプリケーションですね。こういうものがすぐに出てくるのもすごいことです。
また、先日国内で炎上して話題になったmimicについても続報と言うか、新しい動きがありました。
この改善版は、概ねクリエイターには評価されているようです。一方で、生成したイラストに透かしを入れるという、大胆な手を打っているため、このままだとビジネス的には成立しえないだろうという声も多く、このmimic制作者の方の次の一手は注目かなと思います。
記事のみ紹介
告知関連
矢口高雄の展覧会「矢口高雄展 夢を見て 描き続けて」
会期:2022/10/14~2023/2/13
会場:米沢嘉博記念図書館
「賭博黙示録カイジ」企画展「墓場昇天録カイジ展」
会期:前期:9/29~10/17 後期:10/18~11/6
会場:東京・中野ブロードウェイ内「墓場の画廊」
大ベルセルク展 ~三浦建太郎 画業32年の軌跡~ 銀座Edition
会期:9月21日から10月4日
会場:東京・松屋銀座
ほくろに特化した漫画イベント「ほくろ展」
会期:10月3日まで
会場:「マンガ展 池袋」(豊島区西池袋3)
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ネットでの活躍を経て、ウルトラジャンプで連載デビューした千田浩之先生のインタビューは、現在の漫画家さんたちに大切な気づきを伝えています。
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主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに別途特集を書きます。マガジンかTwitterのフォロー、よろしくお願いします!
現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販促・販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。
コミチ+は、来年に向けて出版社などの大型受注を複数控えていまして伸び盛りのサービスです。絶賛エンジニア、Webディレクター(運用担当)などを募集中です。これから、サービスが大きく広がっていきます。一緒に働きましょう!詳細は以下より。
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