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【マンガ業界Newsまとめ】ジャンプ他誌連載作家募集開始で執筆条件が凄い、IMART2023全登壇者情報公開 など|11/5-126

マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ業界向けイベントIMARTを運営する筆者が、動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、マンガ業界の方が短時間で1週間分の情報をチェックできることを目指しています。

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数々のヒット作を生み出してきた「週刊少年ジャンプ」が、他誌連載経験のあるプロ作家向け説明・相談会を開催! 参加募集中!

週刊少年ジャンプが「他誌連載経験のあるプロ作家向け説明・相談会を開催」と発表しました。

1968年創刊の週刊少年ジャンプは「ジャンプ生え抜き作家でヒット作品を出す」ことで、その王国を作ってきました。とはいえ近年『Dr.STONE』のBoichiさんや『約束のネバーランド』出水ぽすかさんなど、他誌連載掲載者がヒット作品を作る例も増えてきました。

創刊から55年、今回の発表はその王道的作り方に、新しい仕組みを入れることを公とすることになります。付帯して発表された条件が以下です。

https://jump-keikensya-soudankai.com/ より引用

モノクロ、カラーの原稿料が発表されていますが、この金額はこれまで様々な形で公表されてきた数多のマンガ原稿料の中でも、基本金額として破格です。
また同時に、1年という期間内はジャンプ以外に作品発表をしない代わりに一定金額を期間内に受け取ることができる「専属契約」についても触れています。この「専属契約」の公式な明言も筆者は記憶にありません。

この発表には多くの漫画家も驚きの声を上げています。

説明会は11月と12月にリモートで行われるとのこと。聞いてみたいですね。

王者ジャンプ「王は王であるがゆえに王である」とも言えるような、王道を行く一手が打たれております。ジャンプの才能総取り的な見方もあるやもですが、これまでこの「漫画界の蟲毒」は、多くの作家にとって強烈な切磋琢磨の場となり、力を得た方々はジャンプは勿論他誌でも広く活躍されてきました。これはこれである種多様性を産むのかもなぁと思ったりもします。


国際マンガ・アニメ祭「IMART2023」11月24日~26日開催決定! 全登壇者&セッションを公開

*:筆者が運営に関わるイベントです。ご了承ください。

今年開催4回目を迎える、マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTが全登壇者を発表しました。詳細は以下ページより。

基調講演に、鳥嶋和彦さん、loundrawさんらが登壇、マンガ・アニメ業界で現役の現場プレーヤーたちが70人ほどあつまり、議論や事例共有などを行います。

今年は過去最大の30社以上にご協賛いただきました。ご協賛企業の皆様には、おかげさまで無事開催に至り、大変感謝しております。誠にありがとうございます。なお、基調講演やセッション視聴は有料ですが、協賛企業や日本漫画家協会に所属する方は無料で参加・視聴が可能です。サイトのフッターをご確認ください。

「作り手さんにこそ、見て欲しい」ということが、運営スタッフのいつわらざる気持ちです。

今年は、セッションを検討する委員を新たに6名迎え、セッションの内容も多様化いたしました。

その、新たな委員など中心に企画されたものとして、抜粋要約で、
「漫画賞の今」「2.5次元舞台」「漫画家とAI」「「息の長い推し」を生み出す仕掛け」「Webtoon制作/販売」「原画保存」などなど、IMARTらしい業界特化なトピックが盛りだくさんです。

なお、私個人は以下のセッションを企画・担当しています。

デジタル起点のコミック海外展開(MANGA PULUS,K MANGA,KADOKAWA海外)
データサイエンスピッチ(1)「カンテラ・and oneのご紹介」
データサイエンスピッチ(2)「PubteXのご紹介」 

新しい委員が参加してくださったおかげで、自分の関心分野に深く全振りすることができました。お楽しみにです。


国内News

双葉社の月刊まんがタウンが休刊。掲載していた『新クレヨンしんちゃん』はWeb連載となり、以下のサイトに移行しています。

同誌は2000年発刊で、2024年1月に約23年の歴史に幕を閉じます。

双葉社では『かりあげくん』のWeb掲載(旧エピソードも含め)が近年好調で、その露出Upをもとに映像化やIPコラボなどが増えました。クレしんについても同様に、Web上の露出を強めることで、IP展開やコミックスの売上に繋がっていくか?注目したいところです。


系列のKADOKAWA作品を中心に、読み放題サービスを行っていたBOOKWALKERですが、その枠に講談社マンガが投入、単行本序盤の1巻~3巻まで等、限定的な範囲が多いようですが、新作認知につなげる狙いなどのようです。


KADOKAWAが2023年4-9月の半期の連結決算を発表、昨年まで絶好調だったフロムソフトウェアの「エルデンリング」の影響で減益とのこと。とはいえ、同じくフロムの「アーマードコア6」が8月から好調とのことで、下期には取り戻せるか?といったところ。

コミック・ラノベ等は2022年の創出数が5500点に対して、2023年は7000点に着地予定とのことで、IP創出は大きく積み重ねているようです。


「小説家になろう」のWeb小説ですが「出版社から問合せが無い日は無い」くらいの盛況とのこと。最近では、サイト内で歴史ジャンルの企画を実施し、150を超える作品が集まったとか。


Pixivのオンラインカンファレンス「PIXIV MEETUP 2023」のログミーです。最近、ログミーの記事、良いもの多いですね。

同社は現在「pixiv」「pixivコミック」「Palcy」「pixivコミックインディーズ」と4つのマンガ系事業をしており、この中でクリエイターが循環する形が出来つつあるとのこと。良いプレゼンです。


東京との取組である池袋の「アニメ東京ステーション」の話題です。結構がっつりアーカイブの取組があるんですね。


そうした、アーカイブ関連の取組も踏まえて、日本漫画家協会の理事トップ2の、ちば先生、里中先生がアドボカシー(政策提言)的な動きを強めています。背景にはやはり、日本漫画家協会理事の赤松議員の努力があるのでしょうね。


里中満智子先生、おめでとうございます!


東京コミコン、今年は12/8-10とのこと。
海外だと、コミコンはなんだかんだ日本のマンガも混じると思うんですが、コミコンが日本に来ると、純粋に日本向けのアメコミ展示になる感じでしょうか。まだ行ったことないので、今年は行ってみようかな。


これは、本来日本以外でしか見れないはずのCrunchRollが日本でも見れるということなのでしょうか。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

マンガのデジタルエージェンシー、及びWebtoonSTUDIOのナンバーナイン社(No9)が、ゲーム制作のサイバーコネクトツー社(CC2)と資本業務提携を発表しました。

もともと、メディア系企業インクールシブ社のグループにいましたが、今回、『NARUTO』『ジョジョ』などマンガIPのゲーム化で実績もあり、自社でマンガ制作も行うCC2社に移った形ですね。インクルーシブ側からも発表が出ています。

客観的に見ても相性の良い形と感じられますし、個人的には関係者がみんな知人だらけなので、親戚の結婚式を目を細めながら眺めている気持ちです。


Webtoon新規参入ですね。ボルテージ社は電子コミックストアの運営や オリジナルレーベル作品の制作・販売、投稿型のチャット小説アプリ配信などもしているとのこと。


SORAJIMA社がWebtoonを制作し、これを実写ショートドラマ化する取組ですが、本年11月下旬にBUMPというアプリ上で発表とのこと。動画制作には「ごっこ倶楽部」が当たるとのこと。


「【着彩編】縦スクロールマンガを描いてみよう!by pixiv」とのこと
動画の作りで、とても良く出来ていますね。


個人的に、最近このWebtoonが新しいなと思っていまして、野球漫画なのですがWebtoonではなかなか難しいとされてる格闘以外のスポーツものとして良く出来ていると思いました。作品として面白いです。

見慣れた転生異能ものがスポーツに味付けされるとこうなるのですね。これなら、他のスポーツにも展開できそうです。ただ、キャッチャー、バッター、ピッチャーと切り取って描きやすい野球ならではというところもあるかもです。この切り取った描き方もある種発明だなと。制限下でのDo the Bestですね。


海外News

*:外国語記事の海外ニュースを紹介します。自動翻訳などご利用ください

タイトル訳:ネイバーコーポレーション(035420)決算:第3四半期連結営業利益が予想を上回る

NAVERの3Q連結決算で、そのレポート中にNAVER WEBTOONの売上が北米中心に、昨年比で約40%ほどというくだりがありました。ユーザーは取れるがなかなか売上が上がらないというNAVERでしたが、新アプリ移行やマネタイズが進んでいると読み取れます。


タイトル訳:NAVERウェブトゥーン、海外違法サイト150社を摘発

売上が上がるとつきものの海賊版対策ですが、これも並行して進行中のようです。


タイトル訳:Dashtoon は AI を使用してストーリーテラーを漫画家に変える

映像制作のコンテですから、要はネームをアップすると、選んだキャラに合せて作画してくれるというAIツールです。マンガを作るAIという意味では、漫画を作ってる感が高い仕組みですね。

まだ触れてないのですが、日本でもアプリのダウンロードは出来ました。


タイトル訳:Kindle ダイレクト パブリッシング、AI 音声を使用して電子書籍からオーディオブックへの変換を開始

地の文に対して、吹き出し内は声色変えたりしてくれるのでしょうか。


タイトル訳:2023 年のベスト無料漫画サイトとアプリ

海賊版ではない、無料コミックサイトの紹介記事です。北米のIGN社の記事ですが、やはりWebtoon・アメコミ系が多く、日本関連だと、ジャンプとBIZが入っています。


2022年北米漫画市場規模、627M$≒約1000億円と、やっぱりそんな感じですよね。リーフとグラフィックノベルの切り分けの解説もとても勉強になりました。良記事です。


タイトル訳:DCコミックスがコンパクトコミックスの新ラインを発表

意味としては、日本の漫画単行本と同じサイズのB6判のコミックスを、DCコミックスも新シリーズとして出していく。とのこと。米国での日本コミックスう人気にフォーマットを合わせて行く感じでしょうか。

ちょうど上の記事で、リーフは原則コミックショップでしか流通しないとありましたが、このB6版なら書店でも並べられるということですね。

タイトル訳:ウェブトゥーンはグラフィック ノベルとコミックの世界に革命をもたらしています

ここでもグラフィックノベルの話題ですが、紙で発行していた内容を配信で素早く出せることを解説しています。実際はそこから、カジュアルにWebtoonで作品作って、好評なものだけを更に紙単行本にしたりするのが、今の流れかなと。


AI・画像生成関連

確かに、検索した時点で判定してくれたら便利ですよね。このAI判定はこれまでも紆余曲折というか、本当にうまくいくのか?という段階ですが、世界で一番データを持っているGoogleは頼りになりそうです。


これは相当な高いクオリティのイラストが出ていますねぇ。ちょっとすごいです。


小説プラットフォームのテラーノベルの取組ですが、イラスト以上に進んでいるテキスト分野ですので、実装も早そうです。


ほんとに、どう使い分ければ良いのか?と。


今週のセール・キャンペーン・新人賞

BLのセールが多いのですが、秋はBLの季節なのでしょうか。


記事のみ紹介


告知関連



インプレス社が『電子書籍ビジネス調査報告書2023』のWebtoonパートの執筆を担当させていただきました。

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現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。

コミチ+は、ヤングアニマルWeb、ヤンチャンWeb、ビッコミの他、来年に向けても大手出版社やWebtoonSTUDIOなどの大型受注を複数控えておりまして、絶賛エンジニア、Webディレクター(運用担当・データアナリスト等)などを募集中です。サービスがどんどん大きく広がっていく、これから滅茶苦茶楽しくなっていくタイミングです。詳細以下より。

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