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【マンガ業界Newsまとめ】確かにあんまり業界では異例でなかった講談社のamazon直取引 など|9/18-018

マンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。堅い内容だからか反応がなかなかいただけなくて、SNSシェアや感想いただけると、とても嬉しいです!

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これについては、われらが竹村響さんが強烈な解説記事をだしてはりますので、まずはご一読をです。

さすがわかりやすいです。

私は以前の仕事で、紙の本を作り、ISBNコードを取得し、印刷してリアル本を倉庫に収め、紙の取次会社に口座を開いてリアル書店に卸してもらい、amazonとは件の「e托」で直接取引しEC化を行い、電子書籍も作って法人KDPにてamazonで販売しました。

合理的行動をとっても一つの本でもチャンネルがすぐに3つ出来、そのうち2つがamazonなわけですね。この辺りの実務がイメージできないと、記者さんにはちょっと判らないかもしれません。あと、書き方の意地が悪いかな。なので、私もちょっと今回はこんな感じです。

ちなみに、記事はリアル本の話ですが、電子書籍においても直接取引は沢山あります。電子書籍取次大手のメディアドゥ社業界内シェアは約3割ですが、他の企業の分を入れても電子書籍4000億円以上の6割くらいは直接取引ないしは直販になっています。

amazonや他のデジタルプラットフォーム企業では、在庫、発注、販売などのデータが即時入手できるダッシュボードを公開している場合があります。販売の現場においてデジタルマーケティングの重要性が増している現在、これらの情報を即時的に得られることも、こうした動きに拍車をかけていると言えるのではないでしょうか。


映像の世界ではDisney+というブランドで、1パブリッシャーでありながら、NetFlixやamazonなどと真っ向から勝負するディズニーグループのマーベル社が、米国にてアメコミのサブスクサービスを始めたというものです。

システム開発では、Disneyも支援しているようですね。月額プランは10ドル(約1100円)で、蔵書は2万9千冊とのこと。

作品数の規模感的にはちょっと小さいですが、イメージとしては集英社が単体で全マンガをサブスクサービスしたような感じでしょうか。アメコミにおける電子書籍の市場規模が非常に小さいことから成立しているという見方もできますね。

当然、日本語訳はまだというか、あってもこれからと思いますが、英語以外で進出する場合も単体で出てるかどうか。日本に来るならどこかのプラットフォームと組むのが良いようには思います。


ルックバック現象の議論、長引いています。

今回は日経新聞の取材で、京都精華大学の吉村和馬氏、東京工芸大学の伊藤剛氏と、こうしたことへの知見が高いお二人がコメントしています。

お二人とも、単純な規制には慎重にとしながらも、配慮の仕方について持論を展開されていて興味深いです。

個人的には、いたずらに人を傷つけることはないとは思いますが、〇〇を助長するという点で思考停止し、その時代の人や社会を映す物語を、一概に規制することにはナンセンスと思います。ただ、一方で作り手たる作家が考えた末にリアクションするなら、それはそれで良いのではとも思っています。


ビーグリー社が運営する電子コミックサイト「まんが王国」にて、comico社が制作・提供している縦スクロールカラーマンガを配信開始するというNewsです。

2013年からスタートし、日本国産=日本の漫画家が制作する縦カラーマンガを配信し続けてきたcomicoですが、この機にこの作品を外販することから、プラットフォームだけではなくパブリッシャーとしての道もとるということになります。

---追記  すでに2018年に「Renta」や「めちゃコミック」にて販売を開始していたとのことでした。今回は、少し間が空いてその拡大ということになりますね。ご指摘ありがとうございました。---

ピッコマ社の大型資金調達、アカツキ社による国産縦カラーマンガプラットフォーム立上など話題に事欠かないこのジャンルですが、このニュースとは少し違う所があります。

主に日本国外で評価されている縦カラーマンガは、韓国のWEBTOON文化の流れからスタジオ制の制作体制を取り、原作と作画が別れるなど、役割分担された体制で制作されます。

comicoやそこに続いたLINEマンガほか、現在の日本のマンガアプリで展開されている縦カラーマンガは、これまでの日本の制作体制同様、1人の漫画家と編集者が向き合いとなり、サポートはアシスタントという流れで作られているものが多いです(もう、現場では色々混ざってきてはいますが)

それぞれ、恐らく最適な販売場所や売り方があると想像されます。そうしたことが実際の動きで証明されていくフェーズに入ってきていると言えるでしょうか。


ニュースというよりは2021年夏現在の、縦カラーマンガについてのまとめ記事ですが、内容的にもビジュアル的にも非常に良く出来ているので、現時点の保存版としても抑えておいた方が良い内容です。

良く見たほうが良いと思ったのは、例えばコミチ社が提供している、通常の横読み作品の縦化の部分や(これはじっくり眺めると面白いです)NAVERのマンガアプリ(Webも含むか)が世界各国では1位だけど、ブラジルなど通用しない所もあるという点など、資料として面白いと思います。

第3話では『怪獣8号』をモチーフに、スマホを意識した横スクロール白黒漫画の見せ方を語っています。『怪獣8号』は中でもスマホ最適化が非常に優秀で、縦カラーマンガを制作する現場のほうでこの作品がそうした視点で話題になったこともありました。それくらい良く出来ているということですが、それが非常によくわかる解説ですので、関係者は熟読をおすすめします。


電撃ブランドの作品が読めるWebコミックマガジン「レグルス」が開始というニュースです。KADOKAWAグループでは先日、MFC系の「アパンタ」も開始したばかりです。

KADOKAWA内には、旧角川書店系の電撃やASCII、メディアファクトリー系のMFC、ビームやアスカを擁するエンターブレイン系など、元々の媒体や企業の系統がそれぞれの事業部となって残っており、それがComicwalkerに集約されて発信され、BOOKWALKERを通して外部に販売されるという流れになっていました。

先行するMFC系アパンタや今回の電撃系レグルスなど、Webコミックとして謡って新サイトをリリースしています。それぞれURLを見ると、
https://comic-walker.com/apanta/
https://comic-walker.com/regulus/
と、なっており、両ブランドがComicwalkerのものと、個別のブランドとして立ち上がっていることがわかります。

これは、Webコミックという名前からも、Webにおいてそれぞれのブランドの雑誌を再構築していってる流れと捉えることもできます。ComicWalkerはこれまで大きな役割を担いましたが、先述の通りかなり系統の違う作品を一カ所に掲載してきました。これらが近しいところで雑誌機能を再考構築して、Web時代の「新しい雑誌のかたち」として表れてきたのが、今回の流れかなと思います。


この記事を紹介する前に先に説明したいのがこのKomifloというサービスです。

漫画のサブスクは成功してない、なかなかできないと言われますが、実はコンビニや書店の成人コーナーに並んでいた、いわゆる商業アダルト雑誌の分野で、このKomifloというサービスに移行して密かに成功しています。

快楽天などのワニマガジン社、コアマガジン社など、商業アダルト雑誌を出版している会社が、毎月1000円程のサブスク料金で、アダルトマンガ雑誌を読み放題で読ませてくれるWebサービスです。

ご存知の通り、コンビニも書店も、ほとんど成人向け書籍を置かなくなって久しいのですが、それがためにこの分野ではDXが進んだともいえるでしょうか。

確かに作品の読み方を考えるとサブスクで毎月新しいものが読めるというのは合理的なのですが、あとは実際にユーザーがシフトしたのかどうかが気になるところです。

俗に「仕事帰りのおっちゃんが、コンビニでワンカップと一緒に快楽天を買って帰る」というような買い合わせなどが実績として残っていたこのジャンルですが、実際にKomifloにそうしたおっちゃん達がシフトしたかどうかは気になります。おっちゃんにも色々ありますし、このジャンルではなにせFANZAの存在感が大きそうです。

ニュースはそうした商業アダルト雑誌の世界にも「異世界もの」が進出したというものです。

この方向性だと、猪熊しのぶさんの『異世界ソープランド輝夜』(非成人)や、これをアニメ化するとはおい正気か?!と話題になった『異世界レビュアーズ』あたりから、抜け感というか色んなものが世に出てきていたように思っているのですが、雑誌ブランドが一つできるということで、面白い作品が増えることに繋がれば良いなと思います。


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