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【マンガ業界Newsまとめ】ジャンプマンガの海外展開に対する内外の反応 など|10/16-073

マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。

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今週は、海外とマンガ・アニメという内容の記事が多かったです。

「少年ジャンプ」と集英社が世界に拡げる、日本の「マンガ」文化の可能性

今週沢山記事のあった中で、恐らくもっとも多く読まれたであろう記事が、ブロガー徳力基彦さんのこのYahoo個人記事だったと思います。

ジャンププラスの海外版「MANGA Plus」の展開やその検索トレンド、比しての「Webtoon」や「Manga」の検索トレンドなど、なるほどなぁと思う所です。その他、当まとめでは既報のことも続きますが、上手にまとめられています。

「ジャンプ」のブランドが「マーベル」や「DC」に比肩するブランドへと言うことですが、これは確かに業界の悲願ですね。これについては後程また。


日本のアニメがアメリカで爆発的な人気を集める理由と事例3選

こちらは、北米最大の日本アニメイベント「AnimeExpo」(以降AX)を起点に、『ヒロアカ』『鬼滅』『SPY×FAMILY』など、全てジャンプ作品ですが、これらが人気になっていった過程の考察です。

よく読むと、この記事の中では「マンガ」という言葉がほとんど使われていません。上記のジャンプ原作漫画はほとんどアニメとして伸びたと紹介されています。

ライターも日本人の方ではあるようなのですが、これはなにもこの方がマンガを軽視しているということでは恐らくなく、AXに実際に行ったときに感じるファンの空気感や、実際に作品が広がっていった際の過程を数字で見ると、やはりアニメとして伸びたという実感があったのでしょう。

これは、実際にAXに行った際に感じるファンの雰囲気も確かにそんな感じであろうというのは、私も行ったことあるのでちょっとわかります。あれはちょっと実際行ってみないと判らない空気感です。みんな漫画を知らないわけじゃないんですけど、やっぱり多くの人に触れるのはアニメなんですよね。

一つ具体例を出すと、記事にもあるMyAnimeList(英語圏の日本アニメ・マンガ最大のコミュニティサイト)上で、『鬼滅の刃』のアニメ版、漫画版のメンバー数を見ると、圧倒的に違ったりして、伝わり方のボリュームというのはこの辺りがリアルだと思います。(アニメ250万に対しマンガ35万)


日本のアニメが苦境にあえぐアメリカの映画館を救う

では、日本のマンガが軽視されているかと言うと、ことBtoBの領域では全くそんなことありません。この記事にもあるように、アニメ配信大手のCruchRollなどは、ジャンプ原作の作品をもってヒットアニメを提供し続けていますし、ここには少なからず「ジャンプ原作」であることは影響を与えていると思います。

先日は、『BLEACH』が日本漫画原作で実績のある、クランチ、NetFlixではなく、Huluから配信が決まったということでちょっと話題になりました。

環境の変化があるとすると、海外へのダイレクト配信が強くなったMangaPlusや、韓国勢Webtoonプラットフォームの影響で、マンガ/Webtoonの時点で、どれくらいのファンがついているか?ということが、データで判り易くなっているのが昨今です。

そのため、原作選定の時点で日本での販売データではなく、英語圏でその原作候補マンガやWebtoonがどれくらいウケているのか?というのは数値として把握され、選定に加味されていくようになります。

そうした現状を踏まえると、集英社MangaPlusや、KADOKAWA/BOOK☆WALKERなどが打ち出している、海外サイマル配信の動きは、海外プラットフォームに原作として選んでもらうためには必須のアクションとなっていくのではないでしょうか。


「チェンソーマン」がハーヴェイ賞の「Best Manga」部門受賞、2年連続は史上初

そんな中で、先週アニメ放送/配信が始まった『チェンソーマン』が、マンガとして評価されているのは頼もしいのではないでしょうか。この作品、英語圏でも評価されそうですよね。期待したいところ。

この『チェンソーマン』『SPY×FAMILY』の編集者、林士平さんが、先日WBSで、しかもトップ特集としてとして出演されてました。上記両作は地上波がTV東京系なので、ちょっと番宣気味なのはご愛敬ですが、硬派なビジネスニュースであるWBSで「漫画編集者」がフォーカスされるのは大きな変化ですね。

放送を見ると、マンガの内容そのものを語ることもそうですが、マンガの周辺で何をしているのかというのを、一般の方に向けて語る存在として、編集者の立場は良い立ち位置なのだなと改めて思いました。

個人的には、初めて林さんにお会いしたのは約10年前で、その際は『青の祓魔師』の担当者としてプロモーションをお手伝いさせていただいたのですが、もう数多のヒット作品を手掛ける化け物編集者になられましたね。すごいです。なにか、これまでの編集者像とはまた違う印象を受けるように感じます。


海外News

ワコム社のペンタブレットに、セルシス社のクリスタがバンドルされて販売されるというニュースです。Webtoonクリエイターが世界中に拡がっていってることにより、両社のこうした世界同時展開が進んでいると言えそうです。


確かに、特にWebtoonにおいては中国も韓国も日本も判別不能というか、読み手はあまり気にしない状態で日本で読むことが出来るようになり、中国の作品に気軽に触れられるようになりましたね。個人的には『Retry』という作品が癖になり、ここのところ毎日読んでいます。


日本では、SNS上で話題になった程度でしたが、日本時間で10/15の15:30~18:30の間、ピッコマが読めなくなったとざわつきました。

これは、韓国の大元カカオのサービス全般が接続障害を起こしたとのことで、韓国では大統領の指示が飛ぶほどの一大事であったようです。日本で言うと、LINEが止まるくらいの一大事だったということですね。


国内News

先日、新潮社バンチ、双葉社アクションなどの雑誌が掲載を開始したピッコマの「チャンネル」機能に、一二三書房が「コミックポルカ」「コミックノヴァ」という2レーベルで参入とのこと。


絶版して入手困難なマンガを1冊単位で注文できるサービス「コミックパーク」がサービス終了を迎えると話題になりましたが、駆け込みで通常の25倍の発注があったとのこと。なかなか難しいですね。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

WebtoonInsightJapanの福井美行氏が、かの「アタリショック」になぞらえてWebtoonの現況について警鐘を鳴らされています。この論は、最近特に韓国事情に明るいWebtoon関係者の中で良く語られております。

以下の、LINEマンガインディーズ企画の動画の中でも、Red7社代表のイ・ヒョンソク氏が、より細かく語られています。

この、福井美行さんが司会、イ・ヒョンソクさんが登壇してディスカッションをするセッションが、今週末10/22(土)19時より、以下のIMARTの中で行われます。



Flashの雄、鷹の爪団のDLE社がWebtoonに進出ですね。第1弾はDMMのGIGATOON Studioと共作で、国内はDMM、海外はレジンコミックによる展開するようです。作品は鷹の爪団とも違う完全オリジナルのようですね。


ラノベに強い主婦の友社が、中国はじめ海外Webtoonを2本、日本にローカライズして配信するとのこと。

ちょっと特徴的だなと思ったのが、LINEマンガとebookjapanという同じグループの2サービスへ同時に配信展開しており、この2社については「独占配信先」としても、一本化してきていることが見て取れますね。

逆に言うと、ユーザー層が被らないので並立可能な2サービスとしてブランディングされていくのかなと思いました。


WebtoonStudioのソラジマが、Webtoonアプリを展開。実は少し前からやられてはいたのですが、展開の公表がこのタイミングというところですね。

作られ方のストーリーも面白いのですが、要は作品の1次情報を取得するための布石としてアプリを立ち上げたとのこと。ある程度の作品を他社プラットフォームで展開した実績がある同社らしい、ひとつの到達点かなと思いました。


AIイラスト・画像生成関連

ピクシブにおいて、ここのところ、AIイラストがのアップが増えていることに対する見解で

「この先、創作のワークフローに何らかの形でAIおよび機械学習技術が組み込まれることがより普及していくと捉えており、AIが関与した成果物の完全な排斥は考えていない。一方で、技術の急激な発展により、その利用方法に関してさまざまな議論や不安があり、倫理や規定といったものが追い付いていない過渡期であると理解している」

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2210/13/news123.html

運用的には、本当にそうとしか言えないだろうなと思いますね。

クリエイター直接アップロード作品が、100%販売に直結しているFANZAでも、AIに関するキーワードタグ付けの徹底など、対応がされています。


漫画家によるAI作画に関するお話、マンガや動画で引き続き出続けています。どう見るかということについて色々知れて面白いです。

VTuberさんの場合、SNS上で、自分のファンアートをRTすることなどが、通常の活動の中で重要だったりしますので、AI画像生成のツイートをRTするとファンに叩かれるというようなことになると、なかなか振る舞いが難しくなりますね。


実在の作品と実在の俳優を掛け合わせたAI画像を生成すると、実際の映画ポスターと見まごうばかりと申しますか、すごいですね。


これは、検索した結果の一部がAI画像になるというハイブリットですね。いち早くこうしたものが出てくるのは、本当に動きが早いですね。


記事のみ紹介

告知関連

IMART2022 10/21-23開催

今週末IMART2022が開催されますが、本まとめのニュースにかかわるところで言うと、以下の2つのセッションなどはおすすめです。

開催日時:2022年10月23日 [日] 13:30-14:30 
タイトル:日本マンガ文化と海外での広がり-韓国とフランスを例に-
登壇者: 鵜野 孝紀 フランスコミック翻訳者
     具 本媛 京都精華大学マンガ学部講師 など
モデレーター:椎名 ゆかり 海外マンガ翻訳者な など


開催日時:2022年10月23日 [日] 18:00-20:00
タイトル:Webtoon販売セッション:海外との比較から考える日本市場の課題とこれから
登壇者: 
宣 政佑 ライター、翻訳者。出版企画会社コミックポップ代表
金 春成 株式会社ビリビリ(bilibili動画) 版権事業部 Senior Manager
寺谷 圭生 (株)KADOKAWA出タテスクコミック部部長など
モデレーター: 
飯田 一史 ライター

他のセッションなどはこちらです。


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現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。

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