【マンガ業界Newsまとめ】LINEマンガ&ebj流通総額1000億円!ACCESS電子出版事業譲渡・ライコミ開始 など|12/3-130
マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ業界向けイベントIMARTを運営する筆者が、動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、マンガ業界の方が短時間で1週間分の情報をチェックできることを目指しています。
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「LINEマンガ」「ebookjapan」両サービスを合わせた2023年度の国内流通取引総額が2023年11月時点で1,000億円突破!
LINE Digital Frontier社の「LINEマンガ」とイーブックイニシアティブジャパン社の「ebookjapan」2サービスの2023年度の国内での流通取引総額の合計が2023年11月時点で1,000億円を突破とのこと。
経営統合が進む両サービスですが、実質的にひとつの会社で、電子コミックの売上(ここでは流通総額)が1000億円を超えるという公式の発表は国内初かと思います。
期がずれますが、純粋なコミックの売上となる2022年の国内漫画市場は6770億円、電子コミック市場は4479億円でした。2021年に対する前年比で0.2%増(電子コミックは8.9%増)というのが現状です。
その規模感に対して、約1000億円がこの2社によるもの。
ここから全くの推測ですが、コミックに限らなければ、Kindleはこの前後か少し超えるくらい?
シーモア、ピッコマが、1000億円に近いくらいの水域にあるか、近づいているプレーヤーかなと、過去の断片的な数字からのなんとなくの筆者肌感です。
ACCESS最終赤字14億円 2〜10月、電子出版事業売却
ACCESS社の決算発表ですが、以下が業界にインパクトありでした。
ジャンプ+、DMMブックス、芳文社COMICFUZ他、多くの企業に導入されていたコミック、電子書籍リーダーのPUBLUSですが、検索機能での実装を過去に発表されているBOOK☆WALKER社が事業譲渡を受け、以降の開発やメンテナンスを担うという文脈に読み取れます。
BOOK☆WALKER社は、一迅社の公式Webマンガサイト「一迅プラス」の開発などをするなど、システムの外販も行っています。
こうした文脈から、既存運用先のメンテナンスや、場合によってはより積極的なシステム外販なども選択肢として見えてくる、事業譲渡の発表となりました。
『暴食のベルセルク』『組長娘と世話係』『賢者の弟子を名乗る賢者』の「コミックライド」が、「コミチ+」のシステムを用いて「ライコミ」にリニューアル!
*: 筆者に関連するサービスです。
マイクロマガジン社のWEB雑誌「コミックライド」が、同社5レーベル全ての作品を掲載する形で「ライコミ」としてリニューアルしました。
システムにはコミチ社の「コミチ+」を導入。ヤングアニマルWebやヤンチャンWebといった、全7媒体でIDやポイントを共通化し、自社で集めたユーザーに限らず、多くの新たなユーザーとの接点を作っています。
スタート時には、映像化作品の『暴食のベルセルク』『組長娘と世話係』『賢者の弟子を名乗る賢者』はじめ、全19作品の無料話増量など、多くのキャンペーンを行っています。
「JEPA電子出版アワード2023」、“広義の電子出版”として生成AIやタテスクマンガがノミネートされ、一般投票受付中
*: 筆者に関連するサービスの話題も含まれます。
一般社団法人日本電子出版協会(JEPA)は11月24日、「電子出版アワード2023」の候補プロダクトを発表し、一般投票の受付を開始した。投票締切は12月4日23時。投票フォームより誰でも投票可能となっています。
今年のアワードには、“広義の電子出版”として生成AIやタテスクマンガもノミネートとのこと。出版を英語にするとPublishで、これを訳し戻すと「情報を公にする」という意味でも捉えられますが、ビジネスの変化に応じて出版の概念も変化しつつあるかなと感じるところですね。
ところで、筆者が営業を担当しているサービス「コミチ+」も、エクセレント・サービス賞にノミネートいただきました。
本noteをご愛顧いただいている読者の皆様には、今年既に「白泉社:ヤングアニマルWeb」「秋田書店:ヤンチャンWeb」「小学館:ビッコミ」「Amazia社:マンガBANGコミックス」「GOT社:COMIC Medu」「マイクロマガジン社:ライコミ」と、6社の導入をお知らせさせていただきました。年内にもう1社サイトがオープン予定で、来年にも同じ規模感、ペースでローンチが続く見通しです。
もし、本noteがお役に立てておりましたら、何卒この賞へ「コミチ+」の投票をお願いできませんでしょうか。筆者へのご褒美と思っていただき、何卒でございます。
「コミチ+」についてより詳しい説明は、11/27に行われたウェビナーでコミチ代表の萬田大作氏が語り尽くしております。よろしければこちらのアーカイブ動画もご覧いただければと思います。泥臭いがゆえに着実にです。
国内News
なかなかのデータかなと思うのですが、2023年1月~10月のIAP(アプリ内課金)収益をもとにした、世界のマンガアプリのデータです。
まず、世界でのマンガアプリのIAP収益が、2023年1年間で28億$(≒4111億円:150円/$計算)とのこと。主要なトップアプリ16で計算すると、このうち約77%が日本のアプリとのことで、合計約3156円程ということになります。Web電子書店のamazon、シーモアなどは入らない試算です。
ここで、ピッコマでの10か月間の売上が6億$、LINEマンガの年間売上が4億$などとあり、年間試算まで並べると以下になります。
あくまで試算なのと、各課金額の粒度が1億$単位とかなりざっくりしておりますが、そこから150円/$で試算すると上のような表になります。実際は相当ブレると思いますが、ひとつの指標にはなるのではないでしょうか。
この表だと、今年ピッコマも1000億円到達ということになりますね。おかしくない数字という肌感です。
もう一つ興味深い数字です。
これもあくまで、アプリ内課金の試算に限りますが、市場内訳は以下。
日本 77%
韓国 10%
米国 7%
その他 7%
と、あります。
Webに比べてアプリは課金しやすいかなと推測します。
その中で、日本が大きいのはともかくとして、韓国、米国、中国も含めたその他、このあたりの割合がまだ低いところですね。別のレポートにおけるWebtoon市場の数値では、5年後にはこの主従が逆転するくらいの規模間で数字が出ています。ここから数年間のこのバランスがどうなるかですね。
マッグガーデン社で連載していた作品『魔法使いの嫁』が、ブシロードワークス社に連載移籍とのこと。同作はコミックス累計1000万部以上、2度のアニメ化等と大きな作品ですね。
2つ目の記事では、担当編集者のこの2社間での移籍が影響しているのではとありますが、記事にもあるとおり影響があるかも。くらいのところですね。
マッグガーデン社のほうでは、同作の連載は終了しているので業績への影響軽微としており、ブシロードワークス社側では、配信サイト「コミックブシロードWEB」の名称を、「コミックグロウル」とリニューアルし、新サイトオープン時に同作の新章連載開始ということになるようです。
契約清算の補償金というのは、漫画家のケースでは初めて聞きました。野球のFAみたいですね。
集英社の女性向けWebマンガサイト・デジタルマーガレットが、新たな電子書籍レ-ベル・異世界マーガレットを立ち上げとのこと。
デジタルマーガレットに掲載・連載中の計17作品と、ジャイブの少女マンガレーベル・ネクストFより発表されている計5作品が同レーベルに移籍とのこと。
ネクストFはメディアドゥグループの版元で、同グループがポプラ社から継承し2019年からネクストFレーベルで新刊刊行を開始したもので、今回この集英社の異世界マーガレットに合流するようです。
主婦の友社の大人女性向け新コミックレーベル「TOMO COMICS」が「めちゃコミ」独占配信で始動とのこと。
中央線沿線の漫画家さんと打合せする際など、個人的にも大変良く利用させていただいておりましたが、業態変更ということで長期休業に入るとのこと。
今年はちょうど、同じくコアミックス社で北斗の拳の40周年イベントが六本木でありましたが、一区切りというところでしょうか。改装後も、あの美味しいお肉はまた食べたいなぁと。
2023年3月にVer2.0へのメジャーアップデート(大きな仕様変更)があったクリスタですが、来年2024年の3月にもVer3へのアップデートがあるようです。機能的なことにはこの記事では特に触れていませんが、使用料金支払いのことなどの周りに変更があるようです。
Adobeのソフトは完全に月額使用に移行していますが、クリスタは次のバージョンアップでも買い切り版を維持するようですね。
漫画家は収入が安定しない生業ですので、なかなかサブスクのみでは厳しいところがあるのかと思います。そのあたり、対応しているところが日本の漫画家さん向けサービスらしいところですね。
おめでとうございます!
寄せ書きが豪華。出版社からも声があって面白いです。
「少年ジャンプ+」の「ラーメン赤猫」、TVアニメ化とこのこと。
内容はほっこり目の作品ですけども、ジャンプ+インディーズからのし上がったという意味では、少年漫画的ですね。これもめでたい。
今週のWebtoon新規参入・新たな動き
ソラジマ作品の『傷だらけ聖女より報復をこめて』オリジナルMV公開とのこと。
これは私もそうで『テムパル』という作品の2度目の読みなおしで、今絶賛はまっています。全知的も行ってみようと思いました。
海外News
*: 英語はじめ外国語の記事があります。自動翻訳などご利用ください。
Topのニュースと同じ内容なのですが、こちらは韓国目線です。
LINEマンガ運営LDF代表キム・シンベ氏は「LINEマンガとebookjapanを通じてより多くの読者に面白い作品を提供すると同時に、才能ある作家を発掘し、日本のデジタル漫画市場の成長に貢献する」と表明とのことで、NAVERグループが世界全域で展開する「現地の作家を現地の読者へ」の方針を強調しています。
タイトル訳:Wattpad WEBTOON スタジオのグローバル アニメーション共同責任者へのインタビュー
NAVER系の北米PF、Wattpad の記事です。北米で注目を浴び続ける作品『ロア・オリンポス』のアニメ化に期待しており、かつLGBTQ+のキャラなどにも紹介を努めているとのこと。
タイトル訳:Wattpad Webtoon Studiosのデビッド・マッデン氏、市場トラブル後もバイヤーは依然として「神経質」だと語る:「約60%回復している」
クリエイターのストライキの影響や、課金型ビジネスモデルへの移行などの影響で低迷した売上が60%は回復しているとしています。そうした成長痛もあるようです。
「どれも一巻がない」は、昔よく見た人気コミックの現象ですね。紙のコミックの人気にも触れています。結局比較論で、紙で買うのが一番安いという感覚なんですね。
フランスで3番目の出版社「オノ」社もWebtoon進出とのこと。
タイトル訳:国境を越えて:インドネシアと台湾のウェブトゥーンがタイと日本の視聴者を魅了
インドネシア産、台湾産のWebtoonが日本でもうけているとのこと。
インドネシアの作品「Pasutri Gaje」が邦訳『My Pre-Wedding』以下です。
もう一つの台湾作品『My Roommate, Handsome Senior』は、国内サイトでは見つけられませんでした。知ってる方いたら教えてくださいませ。
タイトル訳:ポルノ ウェブトゥーンの台頭: アダルト エンターテイメントの新時代
新技術はエロから、、というのは良く日本で言われてきたことですが、各国の事情を重視するアプリサービスにおいてはなかなか難しいものでした。
記事を見ると、なかなかハードルが多そうだなとは思いましたが、アダルト向けWebtoonは、日本でも既にある程度の市場規模になっていると思われ、世界のWebtoonでもWebを中心に今後伸びていくのではないかなと。
AI・画像生成関連
AIブラックジャックの記事が各方面から出ています。
この辺りの記述を見ると、世の中の作者も読者も、少しずつAIに慣れて行っているのかなと思えます。AI作品を読むために紙の雑誌を買いに行くというのは、なんとも面白い構図ですよね。
韓国のWebtoon業界と、AIとのつばぜり合いは、まだ落としどころには遠そうです。
ある意味世界最大の人数が使っているペイントソフトではないかと思われる、Windowsのペイントですが、生成AI実装とのこと。私のPCではまだでした。いつの間にかレイヤーとか使えるようになってるんですね。
リアル画像では、非現実との区別がつきにくい、、、というのは確かに。
今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等
記事のみ紹介
告知関連
インプレス社が『電子書籍ビジネス調査報告書2023』のWebtoonパートの執筆を担当させていただきました。
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主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに別途特集を書きます。マガジンかTwitterのフォロー、よろしくお願いします!
現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。
コミチ+は、ヤングアニマルWeb、ヤンチャンWeb、ビッコミの他、来年に向けても大手出版社やWebtoonSTUDIOなどの大型受注を複数控えておりまして、絶賛エンジニア、Webディレクター(運用担当・データアナリスト等)などを募集中です。サービスがどんどん大きく広がっていく、これから滅茶苦茶楽しくなっていくタイミングです。詳細以下より。
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筆者個人へのお問い合わせなど、以下まで。