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【マンガ業界Newsまとめ】2020年韓国Webtoon産業規模が大台の1000億円に到達!|1/16-035

1/17修正:本記事の公開後、タイトル及び記事に修正を入れました。
元:タイトル内「2021年韓国Webtoon産業規模が、、、」
修正後:タイトル内「2020年韓国Webtoon産業規模が、、、」

マンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。なによりも皆さんのSNSシェアや感想が嬉しくて書いてます!

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韓国の2020年(「2021年を2020年に訂正」1/17)ウェブトゥーン産業の売上高が1兆ウォン(1000億円)を超えたのとこと。他にも、興味深いデータが沢山ありますの箇条書きします。

・産業規模:1兆ウォン(1000億円)超え
・作品数:2617件(↓)
・新規独占配信数:1671件(↑)  独占/全作品数≒約61.8%
・連載作家年収:546万円
・収入:レベニューシェア 63.2%
    原稿料 60.3%
    ミニマムギャランティ(MG) 47.7%
・男女比: 女性:男性=66.5%:33.5%

推測も入りますが、韓国のWebtoon産業において、カカオ、NAVER両社の寡占も強く、この売上の中に、日本のピッコマ、LINEマンガなどの売上も含まれるとは思います。日本の2020年漫画産業規模6000億円の約1/6(16.7%)ほどとなりますね。数値に日韓で重複もあると思います。

新規独占配信数が、6割と非常に多いですね。数値も上がっているということで、日本もいずれこうした比率に近づいていくのでしょう。

連載作家の年収ですが、スタジオ制が取られている中で、そこで働くメインの作家の収入がこれくらいということなんでしょうね。恐らく。

収入のうちレベニューシェアは、アプリやサイトの売上、日本で言う電子書籍印税ですね。原稿料はそのまま、MGは連載開始時に最初に支払われるいわば準備金で、数値の%は額ではなく発生してる率なのでしょう。

そして、女性作家が多いですね。これは日本でも同じような傾向が見て取れています。

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参考:



日本にはコピンコミュニケーションジャパンという企業が進出してる韓国企業のCOPIN社ですが、NPX Capital社から4200億ドル(約48億円)の投資をうけたとのこと。

NPX社は、VC、プライベートエクイティ、不動産など多角的に投資する企業で、今回は同社が運営するプライベートエクイティを通じて投資をした模様です。

COPIN社は、Webtoon作品制作の他、プラットフォーム運営や、AI翻訳の開発などWebtoon周りの事業をテック面も含めて多角的に取り組んでいます。

VR/ARやメタバースなどにも意識を向けているようですが、今回は欧州、日本、南米、東南アジアなどのグローバル市場攻略を資金使途とするとのことで、この資金は日本のWebtoon事業へも投下されるのでしょう。


フーモア代表芝辻さんのnoteです。

韓国のWebtoonでは、OST(オリジナルサウンドトラック)の事業で、アニメや映画、ゲームなどでは一般的なものですが、それがWebtoonにも合せて作られ、ヒットも出しているとのこと。

もともとは、Webtoonを読みながらBGM的に聞いたもののようですが、それに歌詞が入ったり、人気グループが楽曲を提供したりなど進化し、BTSに続いて韓国チャートで2位になるなどするに至り、現在では韓国大手プラットフォーマーや人気歌手なども新曲をリリースしているようです。

これを受けての流れなのか、日本では少年ジャンプ+とエイベックスが、“漫画(COMIC)と音楽(MUSIC)を繋ぐ”プロジェクト「PROJECT COMUC」を開始するとのこと。

Webtoonに合せて音楽を聴くというよりは、作った楽曲をYoutubeのジャンプチャンネルに投稿するなどの流れのようですが、アニメを介さないでマンガと音楽が直接コラボする形は進化していくようです。

韓国の事例のほうはNAVERが始まりのようですから、音楽サービスとWebtoonサービスが同一IDで連携できそうで、色んな楽しみ方が考えられそうですね。これから伸びていくジャンルになるのでしょうか。日本のサービスは、マンガアプリが直接的に音楽サービスと同居しているケースは少なく、そういう連携も増えるかもしれませんね。


同じくフーモア芝辻さんの記事ですが、今度は中国のWebtoonスタジオ、「漫漫漫画」「冬漫社」「夏天岛工作室」の3つにヒアリングしています。

曰く、中国でも複数人スタジオ体制もあれば、個人製作もあるなど、伸び行く中国のWebtoonスタジオのリアルな話が聞かれています。


こちらは日本のLINEマンガのお話で、1/14~1/31で200作品以上のWebtoonをLINEマンガで特集とのことです。

いつの間にやら200作品以上のWebtoonをラインナップしているLINEマンガですが、PFの推しもわかるということで、この機会にLINEマンガのWebtoonをチェックすると良いかもしれません。恐らく、この推し作品の中から映像化作品など、今年ステップアップしていくものも出てくるのでしょう。


DLsiteのアプリ「comipo」や、ASMRなど、音声周りのデジタルコンテンツを扱う企業vivion社が、WEBTOONスタジオ立上のリリースです。

「心にひびく、、、」というよな表現も多用され、なんとなく音楽とコラボした作品など作ってくれるのではないかなと期待してしまいますね。


既報で、インクルーシブ社から1億円の資金調達を行い、Webtoon事業を推進することを発表していたナンバーナイン社が、ギルド型スタジオ「Srudio No.9」というブランドでスタートすることを、代表小林氏のnoteで発表しました。

『終極エンゲージ』『鉄輪のカゲ・ルイ』の原作者である江藤俊司さんを中心に、働き手は身軽なフリーランス、組織は企業の機能を持つ「ギルド型組織」で、Webtoon制作を進めるとのこと。

この記事はTwitter上でも話題となり、中でも、工程別に参加される制作メンバーについて、着色やアシスタントなど、全行程にかかるメンバーにも印税を支払う仕組みを取るということで、漫画家さんなどの間で話題になりました。

これはなかなか新しい仕組みですね。なお、2022年は年間で15~6本ほどの制作体制を取るとのこと。各スタジオの制作数がこうして見えてくると、なかなか面白いですね。


そうしたWebtoonを取り巻く動きが、多くかつ早いため、全体図が見えにくくなったということで、コミチ社代表の萬田さんが、国内ウェブトゥーン業界のカオスマップを作成しました。1/16時点ではこんな感じです。

20220114国内Webtoonカオスマップ

私も少しお手伝いしたのですが、とにかくスタジオに新規プレーヤーが沢山いるため、そこに注力して書いたところ、販売や出版社側の情報が薄くなってしまい、個人のfacebook上では多くのご指摘をいただいてしましました。

これについては、どんどん更新していきますので、noteのSNSボタンなどから萬田さんなり私なりにご指摘いただければ、順次反映してアップデートしていきます。ちょっと販売関連でWebtoonを立ち上げているところが数多あり過ぎて、どう書くか困ってはいいたりします。怒らないで、優しく指摘してくださいませ。頑張ります。


集英社ジャンプ+編集部の籾山さんが、ジャンプ+が海外向けに展開するアプリ「MANGA Plus」の運営を通じての海外展開についてnoteを書いています。

日本から直接海外へマンガを販売する時、その知名度を考えるとジャンプ作品の認知の広さは圧倒的です。ドラゴンボール、NARTO、BLEACH、近年では、鬼滅の刃、呪術廻戦、などなどなど、海外のアニメファンの多くの割合がジャンプ作品の名前やキャラを良く知っています。

その状況下で、ジャンプ作品を直接海外に発信し、そのデータを把握しているジャンプ+編集部(=MANGA Plus編集部)は、これから世界のアニメ市場・漫画市場で起きる未来を、先取りできる情報を把握していると言っても過言ではありません。

過去、海外でのマンガの売上と言えば、個々の国で別々に契約した出版社の販売力に依存した限定的な戦いを示していました。同じ言語の違う国で、翻訳も販売ルートも印刷部数も、全部バラバラで制約される。なんてこともあったわけですが、MANGA Plus開始に先んじてこの辺りは整理されています。

MANGA Plusが直接海外に作品を届ける新しい形が出来た現在は、ジャンプ作品の正規版のPVや直接課金など多くのデータがジャンプ+編集部に圧倒的なデータがあります。それを起点に手を打てる状況が確立しつつあるのは、非常に頼もしいですね。


Yahoo個人の月刊『創』編集長篠田博之氏による記事ですが興味深いです。

所謂マンガ出版社とは違う、光文社、文藝春秋、マガジンハウスといった出版社のコミックに対する取組です。

それぞれ、
マガジンハウスではリイド社のトーチ編集長関谷氏をマンガ準備室に据えての新規事業立ち上げ。
文藝春秋は、好調な文春オンライン上で、新たなマンガ媒体を立ち上げることなく、スムーズにマンガ事業を立ち上げる形。
光文社では、もともと好調なWeb部門を踏まえ、コミック総合サイトを複数ジャンルで立ち上げる。

などなど、興味深い動きが見えています。マンガ、別けても電子コミックが好調な現状で、独自性のあるアプローチが成功に繋がっている(繋がりそう)ということで、面白い動きですね。


引き続き、集英社・ABJの伊東氏による海賊版の記事が各社から出ています。

新しい情報は少ないですが、意識としてネットの場合100人いたら50人が海賊版を読んでいるかもしれないという危機感は、それだけの数読まれているなら確かにということですね。現状、海賊版サイトのリストは400サイトもあるそうです。


昨年末に開催されたコミックマーケットで、スタッフにコロナ陽性者が出たということについて、コミケ準備会がかなり丁寧な発信を行っています。

陽性者が出ることは好ましいことではないですが、これが第2報ということですが、極めて詳しい報告・情報開示で、ここまでやるとむしろ体制に対する信頼感が増すなぁというくらいの綿密さでした。

イベントを運営することが多い身としては、個人的にも一つの基準がここに出来たのではないかと思います。もっと注目されても良いような気もします。


--個人的お知らせ。

当まとめでも度々紹介している、note:フーモアコミックスタジオを書いている、芝辻幹也さんと一緒に、漫画業界Newsをより掘り下げるPodCast「漫画業界News語り」を開始しました。今のところ不定期更新の予定です。

芝辻さんも私も、2010年代の中ごろから、マンガ業界情報のBlogをそれぞれ書いてきた長い知り合いなのですが、今回それぞれnoteもやっているということで、2人で一緒にNewsを更に掘り下げる語り合いをしてみようということになりました。

端的に言うと「マンガ業界オタク」の2人が飲み屋語りのようなことをしている体です。2人の共通点は、元々外資系コンサル会社にいてマンガ業界に入ってきたということでしょうか。

ラーメンチェーン「天下一品」のメニューに、ただでさえ濃厚なスープを、さらに2倍に濃縮して、もっとドロドロなスープを作る「重ね」というメニューが稀に見られると噂に聞くのですが、かのラーメンのような、麺を持ち上げるとスープが全部一緒に持ちあがるみたいな、濃厚な内容に陥ってしまいました。

そうした酔狂に付き合っていただける覚悟をお持ちの方は、リモートワークのBGMにでも是非聞いてください。感想やご要望など、Twitterで好きな方にメンションしていただけたりしますと、リアクション出来たりするかもしれません。

更新は、それぞれのTwitterなどでお知らせしますので、フォローしていただけると、濃厚な情報がよりお手元に届きやすくなるかと思います。

芝辻幹也:@mikiya_4822

菊池健:@t_kikuchi

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