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名探偵ボディビルディング ep final  記憶の中の男 毎週ショートショートnote

名探偵の敗北は全世界に伝わる。『彼はシンジケートと結託していた完全なヤラセだ』と中傷も拡がり彼の栄光は地に落ちた。

有名作家たちがこぞって書いていた「名探偵ボディビルディング」は週が変わりお題が新しくなると皆、彼を忘れた。

そして彼を語る者は誰もいなくなった。

勝利に歓喜したシンジケートのボスは彼を陥れることに夢中で警察の前で名乗ったものだからその場であっけなく御用。シンジケートは壊滅した。

年月は流れ

メクレは退職後別荘で隠居生活をしていた。
彼の孫はメクレが書いた伝記を読んでいる。
「ねえ、ここに出てくる探偵さんは今も探偵なの?」
と聞く。
「さあな、彼は消えてしまったからな」
「この人とは違うのかな?」
孫はスマホで動画を再生しメクレに見せる。

そこにはボディビルの大会でポージングの際に「俺の名は…」と叫んでいる老人がいた。

メクレは気付いた。

奴は自らを名乗りたかった。ただそれだけだったんだ。

メクレは両腕で力こぶを作る。

「俺の名は…」

完410文字

[和訳MV] Sting - Englishman in New York / スティング - イングリッシュマン・イン・ニューヨーク [公式]


ヘッダー画像 ケンコウ様 ありがとうございます。


たらはかにさんの毎週ショートショートの企画、今週のお題「名探偵ボディビルディング」の7作目、最終話です。

掟破りの連作はここまでです。たらはさん、勝手してごめんなさい。
次週からはまじめにやります。
だから破門しないでね。


ヘッダー画像はケンコウさん。名探偵ボディビルディング① ep1 ep2 ep3 ep4 ep5にも使わせていただきました。セガールの目の雰囲気がすごく良くてずっとこれを使いたかったのです。

EPエンディング曲はSting の Englishman in New York
自分に誇りをもつことは大切なことなのです。
他人に自らを表すことができる人
それが言いたくてこのシリーズを書きました。
「それなら他でかけばいいやん!なんでこのお題で?」
え?それはそうやけど‥‥
やってもうたもん、しゃーないがな、今更(逆ギレ)




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