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リヨンの現状①~2度目のロックダウン~

フランスでは10月30日(金)から2度目となるConfinement(ロックダウン)となり現在は外出制限が実施されている。日本にいる方はロックダウンと言うとかなり物々しい雰囲気を受けているのではないかと思う。ただ、実際にフランスで生活していると今回の2度目のロックダウンはそこまで重苦しい雰囲気を感じていないのでそのあたりを2回に分けてお伝えしたい。今回は実際にリヨンがどうゆう状況なのかをお伝えする前にフランス全体のコロナの感染状況をまずは数字から説明した。

数字から見るフランスのコロナ感染状況

フランスの現状を述べる前にまずは下記のグラフを見て欲しい。これはフランス政府公表のコロナの感染者数、回復者数、死者数の累積グラフである。なお日付についてはフランス(イギリス式)の記載方法となっているため日/月の順番になっている点は注意いただきたい。

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グラフを見て頂ければわかる通り8月後半頃から急激に感染者数が伸びているのが分かる。そして11月15日時点で感染者総数が198万人超となり世界で4番目の感染者数となっている。また人口当たりの感染者数はフランスの人口が約6700万人のため100人当たり3.0名ほどが既に感染している計算となり人口当たりでは世界で2番目に高い国となっている。ちなみに一位は米国で感染者数が1092万人、100人当たり3.3名が感染の計算である。100名あたり3名と言えば小中学校のクラスに一人くらい感染者がいる計算でフランスではコロナが既に日常に入り込んでいる状況が分かっていただけると思う。実際に筆者の身近なところでも感染者が出ている状況である。

一方で上述の通り8月後半から感染者数が急増している状況にも関わらず2回目のロックダウンが10月30日まで実施されなかった理由は下記の1日当たりの感染者数と死者数のグラフを見て頂ければわかる。

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こちらのグラフを見て頂ければわかるように2度目に感染者数が増えだした8月末~9月時点では死者数はほとんど伸びていないのである。一方で2回目のロックダウンを開始した10月末時点では死者数が急激に増加し始めている。つまり政府は死者数やここには記載していないが集中治療が必要な患者数を見てロックダウンを判断したと考えられるのだ。もちろんロックダウン前にも政府から警笛はならされており10月中旬には一部の都市部で夜間外出禁止も実施されていた。しかし状況が全く改善されず死者数や重篤患者数の増加が顕著になってきたためロックダウンに踏み切ったと理解すべきだろう。ちなみにロックダウンなどの強制力のある措置を取らないと収まらないのが良くも悪くもフランスのお国柄なのだろう。

一方で第一波の3月~4月頃は感染者数に対して死者数の増加が圧倒的に大きいことが気になる読者の方もいると思う。これはおそらく3月時点では感染者数を正確に把握できていなかったためと考えられる。3月時点ではPCR検査数も十分に確保できておらず感染が高い確率で疑われた人にしかテストが実施されていなかったのだ。そのため本当の感染者数を把握できていなかったと考えた方が自然だろう。一方で今は十分にPCR検査が実施できる状況となり死者数増加の前に感染者数増加をしっかり把握できるようになった点は進歩だと思う。

では2度目のロックダウン開始後どうなったのかを見ると10月30日のロックダウン開始から10日程過ぎたあたりから感染者の増加分が減少しているのがわかる。これはまさにロックダウンの効果だと考えられるがまだまだ予断を許さない状況である。そのため政府からも油断しないようにとのコメントが出ており、現時点では一般の商店の再開ターゲットを12月1日以降で据え置いているが外出許可書の持参やレストランやバーの再開は12月に入ってもまだ先になるとのコメントが出されている。

このようにフランスでは感染者の急拡大、それに遅れて死者数の増加が発生している。そのため政府は一部都市の夜間外出禁止、それでも足りずに2度目のロックダウンをスタートさせている。ロックダウンの効果は少し見え始めているがまだ予断を許さない状況が続いている。次回は2回目のロックダウン生活がどういった状況となっているのかを1回目のロックダウンと比較してお伝えしたい。

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